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マシュマロ
2021年5月18日 08:03
うわー、傘さしてる。ブラインドの隙間から外を覗き見ると、通行人が傘をさしていた。その割合は7割。という事は、確実に雨が降っている。最悪。全部やり直しじゃん。クローゼットのハンガーに掛けられた洋服を、手当たり次第にめくってゆく。メイクも髪もやり終えたのに、最後の最後で全部台無しになった。雨。着ていくつもりだった洋服は、店にディスプレイされているのを一目惚れして買ったものだった。白い
2021年5月13日 04:00
「私不安になったわ。結婚するのが」「まだ言ってる。俺たちが住むのはあそこじゃないだろう。マンションなんだから」私が溜息をつくと、光はおもむろに私のバッグを腕から引き剥がし、肩に掛けた。今頃気付くなんて。私は閉口する。私のバッグが重いのを歩いてから15分経って気付くなんて、無頓着にも程がある。帰りに林檎の山を貰ったの、隣りで見てた癖に。何を今更。機嫌でも取ってるつもり?電車は行
2021年5月12日 06:14
都会には排気ガスが多いという。そんなの小学生の頃に習っていて、誰でも知ってる。でもここに来るとしみじみ思う。空気がまろやかだな、と。東京に毒されているつもりはないけれど、普段金魚みたいに呼吸する訳にはいかないから、何気なく息してる。提供されたものを、右から左に受け取って。でもここに来ると、東京の空気が刺々しいのだと分かる。やわらかい、と思う。風がやわらかいのだ。余白の多い空がなでる
2021年5月9日 04:00
読みかけの漫画雑誌が床に転がってる。ベットから落ちたらしい。どうして漫画雑誌って転がるとああなるんだろう。くたっとなって、背表紙だけオットセイのように浮き上がって、数ページがうねって折れる。うんざりして床から拾い上げると、キラキラした男の子が目に入った。ああ、この子。既に読み終えていたので、その子の背景まで容易に頭に浮かべられる。その子は中学生の主人公が憧れている、隣りに住んで