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2019年12月の記事一覧

地方行政こそがキーになるかと:読書録「次世代ガバメント」

地方行政こそがキーになるかと:読書録「次世代ガバメント」

・次世代ガバメント 小さくて大きい政府の作り方
責任編集:若林恵
出版:黒鳥社

WIRED日本版の編集長を務めていた「若林恵」氏のムック本。
何かのブログ記事に少し紹介されてて、何気にポチッとしたんですが、これが面白くて…。
途中で中断するのがもったいくて、帰省先まで持ち込んでしまいましたw。

「政治」ではなく、「行政」をターゲットにして、ネットによる効率化とネットワーク活用によって、住民の多

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新たな「物語」(虚構)の指針として:読書録「時間とテクノロジー」

新たな「物語」(虚構)の指針として:読書録「時間とテクノロジー」

・時間とテクノロジー  「因果の物語」から「共時の物語」へ
著者:佐々木俊尚
出版:光文社

ユヴァル・ノア・ハラリは人類の進歩においては「虚構」(物語)が重要な意味を持つとして、「サピエンス全史」で産業革命を経て人間中心主義によって構成される<現在の物語>に至るまでを描き、「ホモ・デウス」でAIとバイオテクノロジーによって構成される<未来の物語>の可能性を指摘。<現在>から<未来>への過渡期にお

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地政学上の「今」の確認:読書録「日韓激突」

地政学上の「今」の確認:読書録「日韓激突」

・日韓激突 「トランプ・ドミノ」が誘発する世界危機
著者:手嶋龍一、佐藤優
出版:中公新書ラクレ

外交ジャーナリストと元・外交官による「地政学」的視点からの国際情勢分析。
3作目かな?
なんかお互いを褒め合うスタンスがあって、チョットそれが気持ち悪かったりもするんですがw、語られてる内容はナカナカ面白い。
まあ「インテリジェンス」とか言われると、チョイと胡散臭さも感じたりするんですが、「地政学」

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ビジネス版「失敗の本質」:読書録「世界『倒産』図鑑」

ビジネス版「失敗の本質」:読書録「世界『倒産』図鑑」

・世界「倒産」図鑑 波乱万丈25社でわかる失敗の理由
著者:荒木博行
出版:日経BP

…と言うのは作者も当然意識してます。
「はじめに」に言及もされてますしね。

その理論的な整理は冒頭のチャート図で示されています。

「倒産の背景」を「戦略上の問題」と「マネジメントの問題」にわけ、それをさらに以下のように区分して、そこに当てはまる企業を置いています。

<戦略上の問題>
・「過去の亡霊」型:そ

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店を始める気はないんですけどねw:読書録「なぜ、あの飲食店にお客が集まるのか」

店を始める気はないんですけどねw:読書録「なぜ、あの飲食店にお客が集まるのか」

・なぜ、あの飲食店にお客が集まるのか  22年続くバーのマスターが人気飲食店オーナーに聞いた仕事と生き方のはなし
著者:林伸次
出版:旭屋出版

著者の林さんの文章はnoteで毎日読んで楽しませてもらってます。
その新作…と言うので、サポートのつもりもあって購入。
特に飲食店を始めようって気はないんですけど(本書は飲食店を始めることを考えている若者がメインターゲットです)、面白く、一気に読んじゃい

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仕掛けの切れ味と切なさの塩梅が絶妙:読書メモ「ジルコニア」

仕掛けの切れ味と切なさの塩梅が絶妙:読書メモ「ジルコニア」

「unnamed memory 」の感想をnoteに上げたのを見に来てくれた「冴月」さんのnoteに上がってた作品。(冴月さん、ありがとうございます)

「古宮九時」さんの別名義作品です。
(電子書籍のみ。Kindle Unlimitedで読ませていただきました)

う〜ん、上手いですねぇ。
短編ですが、切れ味が良くって、それでいて余韻がある。
「信頼できない語り手」の物語ですが、ストレート

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こう来るかぁ:読書録「Unnamed Memory」

こう来るかぁ:読書録「Unnamed Memory」

・Unnamed Memory(Ⅰ〜Ⅲ)
著者:古宮九時
出版:KADOKAWA(Kindle版)

「このライトノベルがすごい! 2020」で書籍部門第1位になった作品。
芥川賞も直木賞も読まないけど、ここ2、3年、なんとなく本屋大賞とコッチは気になるという…w。
ラノベについては個人的に色々思うところもあって…なんですけどね。

で、コレ。
主人公二人(王と魔女)はラノベお得意の「無双系」。

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「今」を考える:読書録「21レッスンズ」

「今」を考える:読書録「21レッスンズ」

・21レッスンズ  21世紀の人類のための21の思考
著者:ユヴァル・ノア・ハラリ  訳:柴田裕之
出版:河出書房新社(Kindle版)

人類の歴史を、「虚構」「物語」(「共同幻想」と言ってもいいかな?)から解き明かした「サピエンス全史」。
現代を支配する「人間至上主義」という<虚構>が、AI・アルゴリズム・バイオロジーにとって変わられる「未来」を描いた「ホモ・デウス」。

圧倒的に面白いこの2

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熱量が低いミステリー?:「OP」

熱量が低いミステリー?:「OP」

例によって朝日新聞の書評欄で取り上げられたマンガ。
…なんですが、一読すると「普通?」
ただ何か不思議な肌合いを感じる作品でもありました。

OP 夜明至の色のない日々(1、2巻)

主人公は保険調査員で、過去のなんらかの「事件」(子供を失ったようです)で感情を失くした(らしい)中年男性。
そこに「尊属殺人」の加害者で、ヒトの感情が「色」で見える少年が同居することになり…
という設定。

彼らが

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梶原・真木兄弟の存在感が…w:読書録「レジェンド漫画家列伝」

梶原・真木兄弟の存在感が…w:読書録「レジェンド漫画家列伝」

・吉田豪のレジェンド漫画家列伝
著者:吉田豪
出版:白夜書房

プロ・インタビュアー吉田豪氏がベテラン漫画家にインタビューしたのをまとめた作品。
他で「本宮ひろ志」や「安孫子素雄」にもインタビューされてると思うんですが、それは収められてない…けど、まあこれで「お腹いっぱい」ですわw。

本書に収められてるのは以下の方々。

バロン吉元
平松伸二
寺沢武一
ちばてつや
一峰大二
小林まこと
えびはら

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まっとうな評論です。:読書録「ミヤザキ・ワールド」

まっとうな評論です。:読書録「ミヤザキ・ワールド」

・ミヤザキ・ワールド 宮崎駿の闇と光
著者:スーザン・ネイビア 訳:仲達志
出版:早川書房

アメリカの日本アニメ研究者による「宮崎駿」論。
個人的には<クリエイター>の個人史やトラウマなんかと<作品>を絡めて論じる評はあまり好きじゃないんですが(そういう意味じゃ、80年代の<テキスト>ブームの残滓があるのかもw)、ある種の「同時代感」を一方的に持っている「宮崎駿」が題材というのと、海外の研究者の

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ポジティブに未来を語…れてる?:読書録「答え合わせは、未来で。」

ポジティブに未来を語…れてる?:読書録「答え合わせは、未来で。」

・答え合わせは、未来で。
著者:氏田雄介、小川哲、カツセマサヒコ、田丸雅智、長谷敏司、藤井大洋、宮内悠介
出版:日産未来文庫(Kindle版)

日産が作った「自動運転車」の未来を語ったSF短編集。
国内のSF作家7名(10作品)+編集者(名前は明かされてません)で計19作が収められています。

「未来」を語るのに<SF>と言うのは便利な媒体。
高度成長期の日本もそうだったし、今、中国でSFが盛り

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