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地政学上の「今」の確認:読書録「日韓激突」

・日韓激突 「トランプ・ドミノ」が誘発する世界危機
著者:手嶋龍一、佐藤優
出版:中公新書ラクレ

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外交ジャーナリストと元・外交官による「地政学」的視点からの国際情勢分析。
3作目かな?
なんかお互いを褒め合うスタンスがあって、チョットそれが気持ち悪かったりもするんですがw、語られてる内容はナカナカ面白い。
まあ「インテリジェンス」とか言われると、チョイと胡散臭さも感じたりするんですが、「地政学」ってそういうトコありますからね。


本書が扱うのは「トランプ」登場によって国際情勢の「常識」がグラグラになってる中(トランプ・ドミノ)、朝鮮半島・中東において日本がどういう位置づけにあるか、って話。

トランプ・金の米朝会談によって朝鮮情勢が一変し、「南北統一」を視野に入れて、韓国が「半島国家」となりつつある(その結果、中国圏に含まれる)…と言うのは、僕もそう思っています。
今回GSOMIA廃棄がギリギリで回避されて、その進展にはストップがかけられていますが(アメリカの働きかけが大きかったのは確かですが、香港への中国の対応が韓国サイドを躊躇させたのでは…と僕は見てます)、大きな流れとしてはこの可能性は高い。
少なくともトランプ・金の関係性がある限りは、このリスク(日本にとっては)は無視できないんじゃないですかね。
(「反日」という点で通底する巨大な経済・文化圏がお隣にできてしまうリスクです)

一方、イランを軸とした中東情勢に関しては僕もあまり知らなかったことが多くて、興味深かったです。
作者お二人はここでの安倍外交を評価してるんですよね。(決して政府寄りのスタンスを常に取ってらっしゃる二人じゃありませんが)
「出光」の件とか、過去のイランとの関係には一定の知識もあったんですが、それが今に至るまで繋がってる…ってのは認識外でした。


大きく言えば、
「欧米に伍して外交を展開する潜在力は日本にはあるが、近隣国家との関係において<地雷>を抱え続けている」
って感じですかね。
如何に前者でのプレゼンスを高めても、後者でのリスクを軽減しない限り、日本の安定的な発展には疑問符がつかざるを得ない(お隣の国を代えるわけにはいけませんから)
僕はそう思ってますし、そこに手をつけることがこれからの最大の課題であると考えています。


まあ、「トランプ再選」がどうなるかってのは、確かにあります。
あるんだけど、「一度開いたパンドラの箱は閉じない」。
たとえトランプが再選されなくても、これまでの流れを「なかったこと」にはできないでしょう。


日本にとっては、この50年ほどは幸せな時代であった。

結局、そういうことかもしれないな、と思ってます。
次代にもその「平和」を繋いでいくために、何をすべきか。
それを考えるためにも、本書で示されるような見方は知っておくべきだとお思います。
「正解」はないですけどね。


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