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牛と暮らした日々-そこにあった句#00 はじめに
2023年の秋、牧場をやめることになった。
サラリーマンでいう定年退職である。
自営業なので定年はないが、他の農業と違って酪農は60歳にもなると、かなり体がきつくなる。周りの酪農家も60歳前後で離農している。
息子たちは後を継がない。去年、夫が60歳を迎えたのを機に後継者を探そうと役場に連絡したら、すぐに(本当にすぐに)見つかった。その、跡を継いでくれるKさんが、私のエッセイを読みたいと言ってく
牛と暮らした日々-離農するという事#49 あとがき(前編)
私は、もともと友人が少ない。
それなのに、就農して酪農をはじめたら、仕事の時間や休日が街の人と合わないので、イベントや集まりに行けなくなり、それまでの友人とは疎遠になった。
酪農家の集まりは昼間で時間が合ったから、就農した当初は参加していたが、色々あって、それもだんだんと行かなくなった。
ネットで繋がっていた友人とも、交流サイトを次々にやめて削除を繰り返すうちに疎遠になった。
就農当初はうちに視
牛と暮らした日々-そこにあった句#43 ネコ
猫の死を猫には言はぬ寒日和 鈴木牛後
(ねこのしをねこにはいわぬかんびより)
就農した当時、以前から飼っていた4匹の猫のうち、年寄りの2匹は引き続き自宅で飼ったのだが、若い2匹は牛舎デビューさせた。牛舎では牛の餌を狙ってネズミが出るからだ。
でも、もともと家猫なのですぐに家に帰りたがる。いくら牛舎に戻しても、玄関の引き戸を自分で開けて帰ってくる。猫は開けても閉めないので冬はとても寒いし、