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線状降水帯を作る、バックビルディング現象とは?

線状降水帯せんじょうこうすいたいとは、気象状態を解説するための用語です。
非常に厳しい雨が特定の場所に降り続く場合に使われます。
どうして、線状降水帯はできるのでしょう?
その理由を解説したいと思います。

まずは、過去の線状降水帯の例を見てみましょう。

▲気象庁より

図のレーダーは、2020年7月4日に九州地方を中心に襲った線状降水帯です。
横一列に豪雨を表す赤いラインが並んでいますが、このような現象が起こる理由を解説したいと思います。
理由を知っている事で身を守れる場合があるので、ぜひご覧ください。

線状降水帯ができるのは、バックビルディングと呼ばれる現象が原因となっています。
通常、低気圧が接近すると、大気を吸い込み上昇気流が発生します。
上昇気流によって上空に舞った大気は急激に冷やされ、小さな水滴や氷の粒になります。
これが雲です。

寒冷前線が接近すると、上昇気流に乗った大気が急激に冷やされるので、分厚く黒い雲ができあがります。
どうして黒い雲ができるの?
という疑問があると思いますが、本当に黒いわけではないです。

通常、物体を見る事ができるのは、光の反射によるものです。
うすい雲であれば、太陽の光が反射して白く映ります。
しかし、分厚い雲の場合、内部まで太陽の光が届かないため真っ黒に見えるのです。

つまり、真っ黒な雲が接近したら要注意です。
土砂降りを降らせる積乱雲が近づいているからです。
真っ黒な雲が近づくと、『ゴロゴロ…』と音がしますよね。

あれは、積乱雲の中で放電現象が起こっているためです。
氷の粒や水滴が激しく衝突することで、電気を発生させているのです。
やがて重さに耐えきれなくなった積乱雲は、一気に地上に雨として降り注ぐことになるのです。

日本では、にわか雨って言いますよね。
あれです。
さて、バックビルディング現象について説明をしたいと思います。

▲weather newsより

日本上空では、偏西風の影響により雲は西から東に移動します。
大きな積乱雲もこの偏西風により、西から東へ流されています。
通常、流された積乱雲は一過性のものになりますが、一定の条件が揃うと通過した後にも積乱雲が発生し続けます。

この現象をバックビルディング現象と言います。
どうしてバックビルディングなのかというと、最初の積乱雲の西後ろ側(バック)に建物(ビルディング)のように大規模な雲が発生するためです。
次から次へと大規模な雨雲が発生するという意味で使われています。

バックビルディング現象が起こる事を予知するのは非常に難しく、天気予報でもあくまで予想や警告としています。
どうして予知が難しいのかというと、最初の積乱雲が大雨を降らせている最中にバックビルディング現象が起こるためです。
なので、一瞬のできごとなのです。

気象観測システムが感知したときには、すでにバックビルディング現象が起こり、線状降水帯ができあがってしまっているという訳です。
ですので、大型積乱雲が発生することが予想されたら、もしかしたら線状降水帯になるかも…。という予報を立てるしかないのです。

線状降水帯が発生するメカニズムは未だにはっきりとは解明されていませんので、今後の研究に期待したいところです。
特に梅雨から秋雨にかけては、大型積乱雲が発生しやすい時期になります。
危険だと思ったら、高台に避難するなどの準備は必要なのかもしれません。



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