【要約】荻野弘之著『奴隷の哲学者エピクテトス』が教える、人生を楽しく生きる方法【書籍レビュー】
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『奴隷の哲学者エピクテトス 人生の授業――この生きづらい世の中で「よく生きる」ために』は、古代ローマの奴隷でありながら後に哲学者となったエピクテトスの教えを紹介する一冊です。
荻野弘之氏によって書かれたこの本は、現代の私たちが直面する困難や不安を乗り越え、より良く生きるための哲学を学ぶことができます。エピクテトスの教えは、どんなに厳しい環境にあっても幸福に生きるための指針を示してくれます。
自分でコントロールできないことを軽く見る
エピクテトスは、人生には「自分でコントロールできるもの」と「自分ではどうにもならないもの」が存在すると述べています。たとえば、生まれた国や家庭環境、身体的な特徴、才能などは、私たち自身では変えられないものです。
彼は、このような自分ではどうにもならないことに執着し、悩むことは無駄であり、それが幸福を遠ざける原因だと教えています。エピクテトスの提案は、これらの不可避な現実を「軽く見る」ことです。
そして、私たちがコントロールできること、つまり自分の行動や考え方に集中し、それを改善することに力を注ぐべきだと説いています。
恐怖や不安を軽く見る
エピクテトスは、病気や事故、老化、死といった避けられない恐怖についても同じ考え方を適用しています。これらはどれだけ避けようとしても完全には避けられないものです。彼は、このような恐怖に怯えすぎることが、かえって私たちの心を蝕むと警告します。
重要なのは、自分でコントロールできる範囲内で健康に気を使い、自己管理を行うことです。しかし、それでも避けられないことが起きたときには、それを受け入れ、過度な不安や恐怖に支配されないことが大切だと説いています。
他人の行動や評価を気にしすぎない
他人の行動も、私たちがコントロールできない要素の一つです。私たちはしばしば、他人からの評価や行動に過剰に反応し、自分の幸福を左右されてしまいます。しかし、エピクテトスは、他人の評価や行動をコントロールすることはできないため、それを気にしすぎることは無意味だと教えます。
代わりに、自分自身の行動や態度に集中し、それを改善することが重要だと述べています。他人にどう評価されるかではなく、自分がどうありたいかを大切にすることで、真の幸福を手に入れることができるのです。
過去と未来よりも「今」に集中する
エピクテトスは、過去や未来に囚われることなく、「今この瞬間」に集中して生きることの重要性を説いています。過去の出来事や未来の不確かなことに悩むのは、エネルギーの浪費に過ぎません。
私たちがコントロールできるのは、現在の自分の行動だけです。今この瞬間に集中し、できる限り最善の選択をすることで、未来の不安や過去の後悔にとらわれることなく、充実した人生を送ることができます。
与えられた役割を精一杯演じる
エピクテトスは、私たちが生まれ持った環境や才能は自分で選べないものだと考えています。彼は、どんな役割を与えられたとしても、それを全力で演じきることが重要だと説きます。
例えば、自分が望んでいた役割とは違っていても、それを精一杯に生きることで、自分自身の成長や幸福を見出すことができるのです。
エピクテトス自身も、足の不自由な奴隷という厳しい状況にありながら、その役割を精一杯に果たすことで、最終的には解放され、哲学者として活躍するに至りました。
快楽を遠ざけ、長期的な幸福を追求する
エピクテトスは、快楽に飛びつくのではなく、むしろ小さな苦痛を選択し、それを乗り越えることが真の幸福につながると説いています。瞬間的な快楽は一時的な喜びをもたらしますが、それに溺れることは将来的な苦痛を生むことが多いです。
ダイエットや勉強など、今目の前の小さな苦痛を受け入れて取り組むことで、長期的には大きな達成感や幸福を得ることができるのです。
自分を客観視する
最後に、エピクテトスは自分自身を客観的に見ることの重要性を説いています。私たちはしばしば、自分自身の失敗や不幸に対して過度に厳しくなりがちです。しかし、エピクテトスは、他人に対してかけるような優しい言葉を自分にもかけることで、心の平穏を保つことができると教えています。
失敗したときや落ち込んだときには、自分自身を責めるのではなく、他人に接するように優しく自分を励ますことが大切です。
まとめ
エピクテトスの教えは、どんなに厳しい状況でも幸福に生きるための具体的な方法を示しています。彼の哲学は、現代の私たちが直面する多くの困難に対する強力な指針となり得ます。自分でコントロールできないことに囚われず、できることに集中することで、より良い人生を築くことができるのです。
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