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血管の健康を守るのは“あなた”。運動が高齢女性の血管の健康を維持する

📖 文献情報 と 抄録和訳

時代は今:定期的な運動が高齢女性の血管の健康を維持する

📕Tamariz‐Ellemann, Andrea, et al. "The time is now: regular exercise maintains vascular health in ageing women." The Journal of Physiology (2022). https://doi.org/10.1113/JP282896
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[レビュー概要]

■ Contents:レビューで扱われている目次
● エストロゲン受容体、エストロゲン関連受容体-α、更年期、運動トレーニング
● 血圧
● 血管機能
- 導管動脈機能
- 骨格筋微小血管機能
● 血小板反応性、血栓形成機能
- 血小板反応性
- 血栓の微細構造
● 毛細血管形成と加齢・更年期の影響

■ レビューの重要事項
●運動とエストロゲン:加齢は男女ともに心血管系の健康を損なうが、その時間軸は男女で異なっている。これは、少なくとも部分的には、閉経に伴う中年期の女性のエストロゲンの減少に起因している。エストロゲンは心血管系を保護する作用があり、閉経は心血管系の健康状態を急速かつ著しく低下させる。特に、エストロゲンは核および膜受容体と相互作用し、心血管系の健康に重要なタンパク質の変化をもたらす。エストロゲンと同じタンパク質の発現に影響を与える骨格筋の活動は、閉経によるエストロゲンの喪失を打ち消す可能性がある。運動がエストロゲンの減少を抑制するという仮説は、最近のいくつかの研究で検討されている。
●運動と心血管系の健康:定期的な運動は、加齢だけでなく、閉経による心血管系の健康への有害な影響に対抗することが判明している。血管系への恩恵はすべての年齢で得られるが、閉経後すぐに身体活動を開始した方が、人生の遅い時点よりも効果的である可能性がある。直感的には、失われた血管の健康を取り戻そうとするよりも、減少を防ぐ方が簡単である。この考えは、エストロゲン関連受容体α経路の運動による活性化が、閉経後に比べて閉経直後により効果的であることを示唆する分子レベルの証拠によって裏付けられている。

[結論] 以上のことから、加齢による心血管系の健康低下は完全に防ぐことはできないが、身体的に活動的なライフスタイルは、加齢に伴う心血管系の障害を軽減させることができる。重要なことは、生涯を通じて定期的に身体活動を行うことが、生物学的規範として常に取り組まれるべきであるということである。

🌱 So What?:何が面白いと感じたか?

「血管を何かにたとえてください。」

そう言われたら、あなたは何にたとえるだろうか?
僕は、血管は道路だと思う。
道路があるから、清掃がある。
清掃車が通れる、ゴミを移動できる。
道路があるから、補給がある。
スーパーへ買い物にいける、飲食店へいける、Uber eatsが成り立つ。

身体の中に、清掃(免疫機能)や補給(栄養状態)が、“あるかないか” ではなく、“届くか届かないか”、を決める重要な器官。
その重要さを知りたいなら、糖尿病性壊死を学べばいい。

身体の中に良質な道路をつくる、整備する営みの1つが“運動”だという。
女性の場合には、とくに閉経前後における運動が重要になるらしい。
国家のことは、いち個人の力だけでは、なかなか動かしにくい。
だが、あなたの身体という国家の国土交通大臣は他の誰でもない。
“あなた” なのである。
そこには、責任をもちたい。
僕は今日だって、90分間は道路整備に勤しんでいる。
まだまだ、発展途上…。

求道すなわち道である
永久の未完成これ完成である

宮沢賢治

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