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静的ストレッチの障害予防効果


📖 文献情報 と 抄録和訳

ストレッチ介入は筋損傷を予防できる:系統的レビューとメタ分析

📕Takeuchi, Kosuke, et al. "Stretching intervention can prevent muscle injuries: a systematic review and meta-analysis." Sport Sciences for Health (2024): 1-11. https://doi.org/10.1007/s11332-024-01213-9
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[背景・目的] これまでのメタアナリシス研究では、静的ストレッチングの介入は健康な活動的個人における全死因傷害を減少させることはできないと結論付けられている。一方、静的ストレッチング介入は筋損傷を減少させる可能性があるが、そのエビデンスは統合されていない。本研究の目的は、論文を系統的にレビューし、健康な活動的参加者における筋および腱の傷害に対する静的ストレッチング介入の予防効果を分析することである。

[方法] 2023年6月にPubMed、Web of Science、EBSCOのコンピュータ検索を行った。筋・腱損傷の予防を目的とした静的ストレッチの無作為化対照試験を対象とした。

[結果] 同定された5575報の論文のうち、4報が含まれた(3報は筋損傷と腱損傷の両方を検討したもの、1報は腱損傷のみを検討したもの)。筋損傷については、メタアナリシスの結果、静的ストレッチ介入群は対照群と比較して筋損傷を有意に減少させた(オッズ比=0.37;95%信頼区間、0.16-0.85;p<0.01;I2=63%)。腱損傷については、静的ストレッチ介入群と対照群との間に有意差はないことがわかった(オッズ比=0.57;95%信頼区間、0.25-1.33;p=0.194;I2=63%)。

[結論] これらのデータから、静的ストレッチング介入は、健康な活動的参加者において、筋損傷は予防できることが明らかとなった。腱損傷についてはさらなる研究が必要であることを示唆している。

🌱 So What?:何が面白いと感じたか?

「ストレッチは怪我を防ぐために重要です。ウォーミングアップ、クールダウンでしっかりストレッチをしましょう」

いつも、スポーツ現場でこのような声掛けで選手たちに啓発している。
だが、今回の研究で思わされたのだが、「どのような損傷に、どのようなストレッチが効果があるか」はあまり明確ではなかった。
今回の研究において示されたのは、筋損傷に対して静的ストレッチングが効果的である、ということだ。
腱損傷に関しては、オッズ比が大きいので効果がある可能性は残されているが、さらなる研究が必要である。

損傷の種類、ストレッチングの種類、数多ある。
その中で、筋損傷に対して、静的なストレッチングが効果的であることが示された。
これからは、

「ストレッチは怪我を防ぐために重要です。ウォーミングアップ、クールダウンでしっかりストレッチをしましょう。特に、肉離れなどの筋損傷を防ぐためにゆっくりとした持続的なストレッチングは効果的です。」

のような声かけができることだろう。
ストレッチ介入の選択、導入が、少しだけレベルアップした。

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