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静的ストレッチ vs. PNFストレッチ


📖 文献情報 と 抄録和訳

ハムストリングスの筋硬度と可動域に対する静的および固有感覚神経筋促通ストレッチングの急性効果:無作為クロスオーバー試験

📕Železnik, Petra, et al. "Acute effects of static and proprioceptive neuromuscular facilitation stretching on hamstrings muscle stiffness and range of motion: a randomized cross-over study." European Journal of Applied Physiology 124.3 (2024): 1005-1014. https://doi.org/10.1007/s00421-023-05325-x
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[背景・目的] 本研究は、ハムストリングスの柔軟性とせん断弾性率に対する静的ストレッチ(static stretching, SS)固有感覚神経筋促通(proprioceptive neuromuscular facilitation, PNF)ストレッチの急性効果を比較することを目的とした。

[方法] 無作為クロスオーバー試験には、レクリエーションに積極的な若年ボランティア16名が参加した。参加者は、有酸素運動によるウォームアップ(warming up, WU)の後、SSまたはPNFストレッチングを受けた。受動的直立挙上と能動的膝伸展時の可動域(RoM)、および大腿二頭筋(BF)と半腱様筋(ST)の剪断弾性率を、ベースライン時、WU後、ストレッチ後に測定した。

✅ 2種類のストレッチング方法の定義
・いずれのストレッチ法も、参加者を診察台に仰臥位で、膝を伸ばした状態で股関節屈曲を行った。
・ストレッチの強さは、参加者が最初に感じた軽い不快感によって決定された。
・SS法では、膝を伸ばした状態でハムストリングスを30秒間、検者が受動的にストレッチした。
・PNFはホールド・リラックス法を用いて以下のように実施した:ハムストリングスをストレート・レッグ・レイズで5秒間受動的に伸張した後、脛骨遠位部にかけた手技抵抗に対して知覚最大努力の50%で5秒間亜最大性等尺性収縮を行い、さらに20秒間伸張し、その結果、SSの場合と同じ総時間となった。
・それぞれの手技を3セット行い、各セット間に30秒の休息時間を設けた。

[結果] いずれのストレッチ法もRoMを有意に増加させ、SSとPNFの間に差は認められなかった(p<0.001;η2=0.59-0.68)。

しかし、PNFストレッチングのみがBFせん断弾性率の有意な減少をもたらし(時間×ストレッチングタイプの交互作用:p = 0.045;η2 = 0.19)、筋硬度の低下を示した。

STせん断弾性率の変化は、いずれのストレッチ法においても観察されなかった。RoMとせん断弾性率の変化には有意な相関がみられなかったことから、RoMの増加は、筋の力学的特性よりもむしろ伸張耐性の変化によるところが大きいことが示唆された。

[結論] これらの結果は、SSストレッチとPNFストレッチの両方がハムストリングスの柔軟性を効果的に向上させるが、PNFストレッチはさらにBF筋硬度を低下させる可能性があることを示唆している。本研究は、ストレッチング技術に対する個々の筋に特異的な反応を考慮することの重要性を強調し、RoMの急性増加を支えるメカニズムに関する洞察を提供する。

🌱 So What?:何が面白いと感じたか?

僕自身はPNFの手技に長じているわけでも、傾倒しているわけでもない。
だが、脊髄反射レベルでの仕組みを考えると、有効な手技の1つであると認識している。
一方で、静的ストレッチングも同様に、脊髄反射レベルでのしっかりとした仕組みを持っている。
両者が活用している仕組みの種類は異なるが、筋の伸張性や筋硬度が的であることは同様だ。

その両者を比較してみた、という研究が今回の抄読研究。
とても興味深いテーマで、結果としては「両方ともROMは拡大する。その中でPNFは筋硬度も低下させる」というものだった。
この結果から、静的ストレッチング、PNFストレッチングとも同様のROM拡大を示している中で、そのもう一次元下の内実は異なっている可能性が示唆されたわけだ。
気になるところとしては、その内実の違いがその直後のパフォーマンスにどのような影響を及ぼしうるか、という部分。
それによって、場面別のストレッチング方法の適応が明らかになるかもしれない。
ストレッチングは理学療法の基本手技の1つなので、しっかりと学びたい。

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