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ストレッチングと神経興奮性。神経の伸張によって何が起こる?

📖 文献情報 と 抄録和訳

神経の興奮性に及ぼすストレッチングの影響

📕Heimburg, Thomas. "The effect of stretching on nerve excitability." Human Movement Science (2022). https://doi.org/10.1016/j.humov.2022.103000
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🔑 Key points
🔹ストレッチングに伴い、膜の転移が低温側にシフトする。
🔹その結果、神経は興奮しにくくなる。
🔹その結果、活動電位の振幅が減少し、反射が抑制される。

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[レビュー概要] 神経は運動中に頻繁に伸張される。我々は、ソリトン理論の枠組みの中で、神経の興奮性に及ぼす伸張の影響を調査している。この神経パルス伝播の熱力学的理論は、神経膜の溶融遷移の存在に依存している。この遷移では、神経膜の面積と神経の厚みが変化する。これは、温度、麻酔薬の化学ポテンシャル、静水圧などの熱力学的変数に依存する。さらに運動科学に関連する変数として、神経の伸縮、すなわち筋肉の収縮、関節の屈曲、四肢の牽引によって引き起こされる神経の張力がある。神経のストレッチは、麻酔薬の作用を連想させる方法で神経の興奮性を低下させると予測されている。一定の刺激では、ストレッチングは、膜の融解遷移への影響により、低温側にシフトし、結果として活動電位振幅の減少をもたらす。このことは、複合活動電位の振幅の減少や反射の抑制という形で明らかになる。

🌱 So What?:何が面白いと感じたか?

大学の学部時代。
僕は、決して真面目一徹の学生ではなかった。
「面白い授業は受ける。でもそうでない授業は・・・」というなんとも上から目線の学生だった。
ある日、とある外部講師(病院勤務の現役PT)がやってきて授業をした。

講師:「はい、今日は生理学の授業をします。伸張反射についてです。お題は、『伸張反射はどのような仕組みで働くか』です」

僕は、「えっ、伸張反射の仕組み?仕組みというか、ただ、『そういうもの』でしょ。それ以下の仕組みなんて、あるの?」と思った。
最初、後傾していた姿勢が、徐々に前のめりになっていた。
そして、その授業はγバイアスに基づいた伸張反射の仕組みを、シンプルに示してくれた。

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その時に、僕はこう感じた。
『おもしれー。』
一見、ただ『そういうもの』と思われがちな生理学的な現象が、からくり人形の如く、単純な力学の集積で成り立っている可能性に、そこに確かな仕組みを有していることに、心震えた。
その頃のぼくは、「理学療法の世界には、PNF、ボバース、徒手療法etc...、たくさんの考え方や技術が氾濫している。一体、何を信じたらいいんだろう・・・」とぼんやり感じていた。
だが、その授業を受けて、僕は思ったのだ。
現実は1つしかない、と。
たくさんの考え方や技術があったとしても、目の前にある現実は、たった1つしかない。
つまり、そこに根ざす仕組みも、真の正解はたった1つ、であるはずだ。
そこで、いまに至るまで貫かれてきた、僕の信念が決まった。

自分自身が、本当に心の底から納得できるものだけを選び、信じる!

So What?(だから何?)。
それが何に役立つのか、それも大事だろう。
だが、So What?だけが、学問だろうか?
何に役立つかは分からないけれど、ただ、学問をするための学問。
それが、面白いから、学問をしたい。という、その感情。
吉田松陰は、死罪になる直前の牢獄で、読書をしていたらしい。そして、こう言ったという。
「いまの読書が、本当の読書だ、本当の学問だ。功利を排した学問こそ、真の学問である」
くしくも、いまも僕を動かし続けているガソリンは、その純粋に「おもしれー。」、という無目的な、なんとも説明のつかない感情なのである。
ストレッチが神経ドライブに及ぼす、その仕組み。
おもしれー。
今日も給油が完了した。
走れ、走れ。

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