糖質/脂質制限食の是非。男性と女性で異なる死亡との関連
📖 文献情報 と 抄録和訳
日本人集団における炭水化物および脂肪の食事摂取と死亡リスク:日本多施設共同コホート研究
[背景・目的] これまでのコホート研究では、食事からの炭水化物および脂肪の摂取量と死亡リスクとの関連について矛盾した所見が得られている。
●目的:炭水化物および脂肪の摂取と死亡率との長期的関連を検討した。
[方法] このコホート研究では、35~69歳の男性34,893人、女性46,440人(平均肥満度はそれぞれ23.7kg/m2、22.2kg/m2)🇯🇵をベースライン調査(2004~2014年)から2017年または2018年末まで追跡調査した。炭水化物、脂肪、総エネルギーの摂取量は、食物摂取頻度調査票を用いて推定した。炭水化物および脂肪のエネルギー摂取割合に応じて、全死因死亡率および原因特異的死亡率のハザード比(HR)および95%信頼区間(CI)を推定した。
[結果] 平均8.9年の追跡期間中に2783人の死亡が確認された(男性1838人、女性945人)。
■ 炭水化物摂取量と死亡リスク(男性)
・炭水化物からのエネルギー摂取が50%~55%未満の男性と比較して、炭水化物エネルギー摂取が40%未満の人は全死因死亡リスクが有意に高かった(多変量調整HR:1.59;95%CI:1.19-2.12;P-trend = 0.002)。
■ 炭水化物摂取量と死亡リスク(女性)
追跡期間5年以上の女性では、炭水化物摂取量の多い女性は全死亡リスクが高かった;多変量調整HR(95%CI)は、炭水化物からのエネルギーが65%以上の場合、50%以上55%未満の場合と比較して1.71(0.93-3.13)であった(P-trend = 0.005)。
■ 脂質摂取量と死亡リスク(男性/女性)
脂肪摂取量の多い男性はがん関連死亡リスクが高かった;多変量調整HR(95%CI)は、35%以上で1.79(1.11-2.90)であったのに対し、20%以上25%未満では1.79(1.11-2.90)であった。脂肪摂取は、女性における全死因死亡およびがん関連死亡のリスクとわずかに逆相関していた(それぞれP-trend = 0.054および0.058)。
[結論] 男性では低炭水化物摂取、女性では高炭水化物摂取において死亡率との好ましくない関連が観察された。高脂肪摂取は、比較的炭水化物摂取量の多い日本人成人における女性の死亡リスクの低下と関連しうる。
🌱 So What?:何が面白いと感じたか?
いや、どうやら関係あるらしい。
こと、食事摂取量と死亡リスクの関連においては。
今回の抄読研究は、このことを明らかにした。
男性においては低炭水化物摂取が危険、女性においては高炭水化物摂取 & 低脂質摂取が危険だという。
昨今、糖質制限食、脂質制限食が流行っていることを肌に感じる。
職場の同僚でも、履行者は少なくはない。
これらの制限食の長期的な帰結は、最近本格的に取り入れられたものだからこそ、不明である点が多い。
今回のような帰結にしっかりと目を向け、何を、どのように取り入れるかには慎重になった方がいい。
特に、男性で良かったことがそのまま女性には当てはまる訳ではないことに注意が必要だ。
今回の結果が示したように、まるで相反する結果を示すことすらあり得る訳なので。
男性と女性はまったく違った対象群である、という認識が必要だろうと思う。
⬇︎ 関連 note✨
○●━━━━━━━━━━━・・・‥ ‥ ‥ ‥
良質なリハ医学関連・英論文抄読『アリ:ARI』
こちらから♪
↓↓↓
‥ ‥ ‥ ‥・・・━━━━━━━━━━━●○
#️⃣ #理学療法 #臨床研究 #研究 #リハビリテーション #英論文 #文献抄読 #英文抄読 #エビデンス #サイエンス #毎日更新 #最近の学び