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糖尿病になりたくない?『植物由来食品』を食べなさい

📖 文献情報 と 抄録和訳

食事療法と糖尿病予防。植物ベースの食事は解決策になるか?

📕Schlesinger, Sabrina. "Diet and Diabetes Prevention: Is a Plant-Based Diet the Solution?." Diabetes Care 46.1 (2023): 6-8. https://doi.org/10.2337/dci22-0041
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[レビュー概要] 食事は2型糖尿病の予防に重要な役割を果たす。植物由来の食品および食事成分、例えば、全粒粉製品、食物繊維、植物性脂肪、植物性タンパク質の摂取は、2型糖尿病のリスク低下と関連するという説得力のある証拠がある。一方、肉類、特に赤肉や加工肉、動物性脂肪の摂取量が多いと、2型糖尿病のリスクが高くなることが知られている。この2つの側面を合わせて、植物由来の食事パターン(植物由来製品の摂取量が多く、肉や動物性食品の摂取量が少ない)の遵守が2型糖尿病リスクと関連するかどうかを調べた研究がある。

✅ 最近発表された3つのMeta-analysis
①Plant-based dietary patterns:9つの前向きコホート研究のメタ分析では、植物由来の食事パターンへのアドヒアランスが高いと、低い場合に比べて2型糖尿病のリスクが23%減少することが示された(📕Qian, 2019 >>> doi.)。
②Vegetarian diets:別の系統的レビューおよびメタ解析では、ベジタリアンの食事パターン(肉および肉製品を除く)と2型糖尿病の発生率に明確に焦点を当てた。その結果、ベジタリアンの食事をしている人は、雑食の人と比べて2型糖尿病の有病率や発症率が低いことも示された(📕Lee, 2017 >>> doi.)。
③Vegan diets:菜食主義者は、魚、乳製品、チーズ、卵などの動物性食品を一切摂らないため、より厳しい食事制限となる。ビーガン食による糖尿病予防のエビデンスは非常に限られている(📕Selinger, 2022 >>> doi.)。

🌱 So What?:何が面白いと感じたか?

この文献を読んで、3つ感じたことがあった。

(1) どちらにせよ、偏りは善ではないかも
植物由来食品は、糖尿病の有病率や発症率に善の効果を持つ。
これは、今回の結果を見ても、直感的にも、そうなのだろうと思う。
だが、注目すべきはVegan dietsの効果に関するエビデンスが非常に限られた点だ。
植物由来がいいといっても、動物性食品にも、独自の良さがある。
それを全く摂取しないということが、仕組みはどうあれ、弊害を引き起こすのかも知れない。
植物由来食品に比重を置いた方がいい、だが極端はいけない、ということだろう。

(2) 進化的ミスマッチで説明できる
進化的ミスマッチとは、遅々とした生物学的進化に比べて、環境や社会の変化が早いことで生じるミスマッチのこと。

古来、人間は狩りによって動物性食品を得てきた。
それは、毎日たくさん採れるようなものではなかったろうと思う。
自然、食品としては植物由来食品を多かったことだろう。
つまり、生物学的には植物由来食品にマッチしてきたことが推察される。
しかしながら、近年、畜産業の発展により安定して動物性食品を得られるようになり、毎日肉、魚を食べるという異常事態が発生した。
生物学的には、支障をきたしてもおかしくない。

(3) 年齢により至適バランスは変わるかも
近年、若年成人では肥満が、高齢者では低体重が問題になるObesity paradoxに関する報告が増えている。

食事内容についても、似たようなことがあるのではないだろうか。
感覚として持っているのは、若年成人では植物由来が、高齢者では動物性が善である気がする。
あくまでも直感的なのだが、至適な植物/動物食品バランスは、年齢によって異なる可能性があると思っている。

とにかく、少し意識して植物由来食品を増やしてみようと思う。

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