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若年時の過体重。将来の脳卒中リスク

📖 文献情報 と 抄録和訳

青年期および若年期の過体重と成人期の脳血管疾患との関連:NFBC1966研究

📕Mikkola, Ursula, et al. "Overweight in Adolescence and Young Adulthood in Association With Adult Cerebrovascular Disease: The NFBC1966 Study." Stroke (2024). https://doi.org/10.1161/STROKEAHA.123.045444
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[背景・目的] 成人期における脳血管疾患の危険因子はよく知られている。しかし、生涯を通じた個人の危険因子に関する研究は限られている。この前向きコホート研究の目的は、早期発症脳血管疾患に及ぼす体格指数(BMI)とその青年期および若年成人期における変化の影響を明らかにすることである。

[方法] 本研究はNorthern Finland Birth Cohort 1966の10491人(女性5185人)を対象とした。身長、体重、BMIは14歳と31歳で測定した。過体重と肥満の定義には、性・年齢別のBMI範囲を用いた。14~54歳の虚血性脳血管疾患および出血性脳血管疾患に関するデータは、国立病院および死亡登録から抽出した。Coxプロポーションハザードモデル(95%CI)を用いて、BMIまたはその変化と脳血管疾患との関連を推定し、女性の場合は性別、喫煙、教育レベル、他の時点のBMI、初潮年齢で調整した。さらに、性-BMI相互作用も計算した。

[結果] 合計452人(4.7%)が追跡期間中に脳血管疾患を経験した。虚血性脳血管障害のリスクは、標準体重を基準として、14歳(ハザード比[HR]、2.49[95%CI、1.44-4.31])および31歳(HR、2.13[95%CI、1.14-3.97])で過体重の女性で増加し、14歳(HR、1.87[95%CI、0.76-4.58])および31歳(HR、2.67[95%CI、1.26-5.65])で肥満の女性で増加した。これらの結果は、BMIの初期・後期とは無関係であった。同様の関連は男性では認められなかった。出血性脳血管障害のリスクは、肥満女性(HR、3.49[95%CI、1.13-10.7])および肥満男性(HR、5.75[95%CI、1.43-23.1])の両方で31歳時に上昇した。14歳時の過体重に関連する脳血管疾患のリスクは、男児より女児で2.09倍高かった(95%CI、1.06-4.15)。31歳時の肥満に関連した虚血性脳血管障害のリスクは、男性より女性で6.96倍高かった(95%CI、1.36-35.7)

[結論] 女性において、思春期または若年成人期に過体重であることは、それ以前またはそれ以後のBMIとは無関係に、脳血管疾患、特に虚血性脳血管疾患のリスクを増加させる。

🌱 So What?:何が面白いと感じたか?

脳血管疾患リスクを高める要因の1つに「過体重」がある。
そして、近年「ライフコース疫学」という分野の研究が増えつつある。
ライフコース疫学とは、個⼈が胎児期から死亡するまでの間に受ける様々な曝露が、⻑期的に健康に及ぼす影響を研究する学問のことである。
今回は、脳卒中リスクに対する過体重の関連を、若年期(14歳、31歳)→将来(14~54歳)で調査している。

その結果は非常に興味深いもので、女性は関係が強く、男性ではあまり関係なさそうだった。
考察を読み込むと、どうして女性で関連が強くなるかの仮説が提示されていた。

・性ホルモンや思春期のタイミングの違いが、女性における過体重と脳血管疾患リスクの強い関連を説明する可能性がある
・早い初潮年齢が心血管疾患リスクと関連することが示されている

とにかく、女性と男性で若年期の過体重がリスクになるかどうかは異なるようだ。
男性と女性の違い。どの分野においても、「性差医療」の視点は重要になってきている。

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