📖 文献情報 と 抄録和訳
多様な病態における患者の痛みの性差:10件のランダム化比較試験33,957人の患者データのメタアナリシス
[背景・目的] 痛みの経験は多くの要因によって決定され、QOLに大きな影響を与える。本研究は、複数の大規模国際臨床試験において、多様な病態の参加者が報告した疼痛の有病率と強度における性差を明らかにすることを目的とした。
[方法] 2000年1月から2020年1月までに発表された無作為化対照試験のEuroQol-5 Dimension(EQ-5D)質問票による疼痛データを用いて、George Institute for Global Healthの研究者により、個々の参加者データのメタ解析が行われた。女性と男性の疼痛スコアを比較し、年齢と無作為化治療について調整した比例オッズロジスティック回帰モデルを、ランダム効果メタ解析にプールした。
[結果] EQ-5Dの疼痛スコアデータを有する33,957人の参加者(38%が女性)を含む10の試験において、平均年齢は50~74歳であった。女性の方が男性よりも痛みを報告する頻度が高かった(47% vs 37%;P<0.001)。また、女性は男性よりも高いレベルの痛みを報告した(調整オッズ比1.41、95%CI 1.24-1.61;P<0.001)。
層別解析では、疼痛は疾患群によって差がみられたが(異質性のP<0.001)、年齢群や募集地域による差はみられなかった。
[結論] 多様な疾患、全年齢、地域にわたって、女性は男性と比較して痛みを訴える傾向が強く、またそのレベルも高かった。本研究は、多様な生物学を反映し、疾患プロファイルに影響を与え、管理に影響を及ぼす可能性のある、女性と男性の類似点と相違点を明らかにするために、性別を分けた分析を報告することの重要性を補強している。
🌱 So What?:何が面白いと感じたか?
「性差医療」という言葉がある。
男女平等という旗印のもと、社会的には次第に平等に近づいていている印象がある。
しかしながら、身体構造、身体機能の面では、やはり違いはあるようだ。
今回の論文は、「疼痛感受性」においての性差を明らかにした。
いわく、女性は男性より疼痛感受性が高い、つまり疼痛を感じやすく、強い痛みを訴えやすい。
臨床的には、患者の訴える疼痛の解釈に役立つ情報だ。
学術的には、アウトカムが疼痛の場合には、性別はかなり重要な交絡因子となってくる。
男性と女性。
同じ人間でありながら、構造も機能も違う。
興味深いものだ。
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