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青年期と高齢期の運動習慣。男女で異なるサルコペニアリスク

📖 文献情報 と 抄録和訳

青年期および高齢期の運動習慣が高齢者のサルコペニアリスクに及ぼす影響:文京区健康調査

📕Tabata, Hiroki, et al. "Effects of exercise habits in adolescence and older age on sarcopenia risk in older adults: the Bunkyo Health Study." Journal of Cachexia, Sarcopenia and Muscle (2023). https://doi.org/10.1002/jcsm.13218
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[背景・目的] 背景サルコペニアは、加齢に伴う骨格筋量と機能の低下と定義され、要介護の主要なリスクファクターである。青年期と高齢期の身体活動は、若年期の筋機能のピークを高め、高齢期の筋機能低下を防ぐため、両期間の運動習慣がある高齢者はサルコペニアのリスクが低いと考えられる。我々は、地域在住の日本人高齢者において、青年期および高齢期の運動習慣とサルコペニアおよびその構成要素との関係を調査した。

[方法] 本研究では、文京区健康調査に登録された、骨格筋指数、握力、歩行速度の測定を含む健康診断が完了した1607人の地域在住者(65-84歳、中央値73歳、男性679人、女性928人)を対象とした🇯🇵。青年期と高齢期の運動習慣によって、どちらの時期も運動しない(non-non;NN)、青年期のみ運動する(active-non active;AN)、高齢期のみ運動する(non-active;NA)、両方の時期で運動する(acitive-active;AA)の4群に分けた。

多変量調整ロジスティック回帰モデルを用いて、NN群と比較して、低筋肉量および低筋力パフォーマンスと定義されるサルコペニアの有病率について、各群のオッズ比(OR)および関連する95%信頼区間(CI)を算出した。筋力低下とは、筋力低下および/または歩行速度低下と定義した。

[結果] サルコペニアの有病率は男性6.6%(45/679人)、女性1.7%(16/928人)、低筋肉量の有病率は男性14.3%(97/679人)、女性5.2%(48/928人)、低筋力パフォーマンスの有病率は男性25.6%(174/679人)、女性19.6%(182/928人)であることがわかった。
男性では、サルコペニア、低筋量、低筋力パフォーマンスのOR(95%CI)はAA群で有意に低かった(サルコペニア:0.29 [0.09-0.95], P = 0.041; 低筋量: 0.21 [0.09-0.52], P = 0.001; および低筋力パフォーマンス:: 0.52 [0.28-0.97], P = 0.038).
女性では、低筋力パフォーマンスのOR(95%CI)は、AA群で他の群より有意に低かった(0.48 [0.27-0.84], P = 0.010)が、サルコペニアと低筋力量のORはいずれも有意ではなかった。

[結論] 青年期と高齢期の両方で運動習慣のある高齢男性は、サルコペニア、低筋肉量、低筋力パフォーマンスのリスクが低く、一方、両方の時期に運動習慣のある高齢女性は、低筋力パフォーマンスのリスクが低いことが示された。

🌱 So What?:何が面白いと感じたか?

生きるか死ぬかってときに、男も女も関係ないわ
ジュラシックパーク  エリー サトラー

男性と女性。
確かに、人間であるという点は同じ。
だが、ときどき全然違う生き物のようにも感じるのも事実。

それは形態的な意味合いにおいても、
機能的な意味合いにおいても、
趣味嗜好的な意味合いにおいても。

そして、研究領域においてもその違いは重要視されてきている。
近年、SAGERガイドラインというものが報告された。
すなわち、研究において性別をどのように扱ったら良いかのガイドラインだ。

✅ SAGERガイドラインとは?
- SAGERガイドラインは、研究計画、データ分析、結果、および所見の解釈における性別および性別情報の報告のための包括的な手順。
- これらは主に著者が原稿を準備する際のガイドとして設計されているが、編集プロセスの不可欠な部分として、編集者が性別と性別の評価をすべての原稿に統合するのにも役立つ。
- 2016年、 SAGERガイドラインがOpen Access BMC Research Integrity and PeerReviewJournalにSexandGender Equity in Research: SAGERガイドラインの理論的根拠と推奨される使用法というタイトルで 公開された。

🌍 参考サイト >>> site.
📕 Heidari, Shirin, et al. Research integrity and peer review 1.1 (2016): 1-9. >>> doi.

今回の研究は、性別による違いが如実に現れた。
男性は運動習慣の違いにより、形態は変わるが機能は影響されにくい。
一方、女性は運動習慣の違いにより、機能は変わるが形態は影響されにくい。
うーむ、やっぱり重要だ、性別。

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