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激しすぎる運動は長寿に有害なのか?


📖 文献情報 と 抄録和訳

死神を追い抜く:最初の200人の4分未満マイル男子ランナーの寿命

📕Foulkes, Stephen, et al. "Outrunning the grim reaper: longevity of the first 200 sub-4 min mile male runners." British Journal of Sports Medicine 58.13 (2024): 717-721. https://doi.org/10.1136/bjsports-2024-108386
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[背景・目的] 「強度の高すぎる運動は長寿に有害」という説について、1マイル4分以下の記録保持が長寿に与える影響を明らかにすること。一般集団と比較して、1マイル4分以下で完走したランナーの寿命が延びるという仮説を立てた。

[方法] この後方視的コホート研究の一環として、Sub-4 Alphabetic Registerを使用し、サブ4マイルを走った最初の200人のアスリートを抽出した。各走者の生年月日、初めてマイルに挑戦した日、現在の年齢(生存している場合)または死亡時の年齢を国連生命表と比較し、各走者の現在の年齢または死亡時の年齢と出身国別の平均余命との差を求めた。

[結果] 最初の4分未満マイルランナー200人(100%男性)のうち、60人が死亡(30%)、140人が生存していた。サブ4分マイルランナーは平均4.7年平均余命が予測余命を上回っていた(95%CI 4.7~4.8)。

この図は、4分未満で1マイルを走破したランナー(赤い線)と、年齢、性別、国籍をマッチさせた一般集団(青い線)の生存率を比較している。図は「Years since Achieving Sub Four Minute Mile」(4分未満で1マイルを走破してからの年数)と「Proportion Surviving」(生存割合)の関係を示している。

完走した年代(1950年代、1960年代、1970年代)を考慮すると、長寿効果はそれぞれ9.2年(n=22;95%CI 8.3~10.1)、5.5年(n=88;95%CI 5.3~5.7)、2.9年(n=90;95%CI 2.7~3.1)であった。

[結論] 4分未満のマイルランナーは一般集団と比較して長寿であり、極端な持久力運動が長寿に有害であるという考え方に挑戦している。データ利用可能性本研究のために作成および/または分析されたデータセットがないため、データ共有は該当しない。すべてのデータは無料で公開されているデータベースや情報源から入手した。

🌱 So What?:何が面白いと感じたか?

1マイル4分の壁、という話を知っているだろうか。

✅ 1マイル4分の壁
1マイルを4分以内で走ることは、物理学的に不可能と思われていた
事実、それまでの37年間、誰一人として破る事ができなかった
ロジャーバニスターは、トレーニングに科学的な知見を持ち込むことで、この常識を覆した
1954年4月6日、オックスフォード大学のトラックで、1マイルを3分59秒4で走ってゴールしたのだ。
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ここまででも、十分に面白い話。
が、本当に面白いのは、この後。
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一年も経たないうちに、なんとロジャー以外に23人もの選手が
次々と1マイル4分の壁を破るという結果を出した

🌍 参考サイト >>> site.

この話は、『常識の認識』というものの重要性について示唆する例として用いられることが多い。
「実際にできたやつがいる」という事実が、常識を変え、常識が変わることで実際の記録も変わってくる、という。

今回の抄読研究は、その1マイル4分の壁を破った最初の200人を対象として、「強度の高すぎる運動は長寿に有害」という説を検証し、むしろ長寿になるという結果を得た。
1マイル4分の壁は、また1つの常識を破ることになるかも知れない。

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