身体活動種別と高齢者の死亡リスク
📖 文献情報 と 抄録和訳
身体活動の種類、量、強度および経時的変化と高齢者の全死亡率との関連:高齢者-ENRICAコホート
[背景・目的] 高齢者における身体活動(physical activity, PA)の種類、量、強度、経時的変化と全死亡率との関連を評価すること。
[方法] Seniors-ENRICA-1および2コホートで募集された3518人と3273人の高齢者のデータを用いた。PAはEPIC質問票で評価した。参加者は、歩行、自転車、ガーデニング、日曜大工(DIY)、スポーツ、家事に週に何時間費やしたかを報告した。そして、各強度(中等度PA[MPA]、活発PA[VPA]、中等度から活発PA[MVPA]、総PA)の時間を計算した。PAの変化は、ベースラインの面接日からWave 1までで計算した。全死亡は2022年1月31日までに確認された。解析は主要交絡因子を調整したCox回帰モデルで行った。
[結果] 歩行、ガーデニング、スポーツ、家事は死亡率の低下と関連していた(範囲20%~46%)。また、MPA、VPA、MVPAは死亡リスクの低下と関連していた(範囲28%~53%)。PAの変化に関する解析では、(ベースラインでもWave1でも)PAに参加していない人と比較して、歩行、スポーツ、家事の維持(範囲28%~53%)、MPA、VPA、MVPAのレベルの維持(範囲32%~36%)が死亡リスクの低下と関連していた。評価されたPAの種類では、歩行と家事が最も多かった。PA総量が増加、維持、あるいは減少した人は、PAが常に非常に低い人よりも死亡率が低かった(それぞれ57%、52%、36%)。
[結論] 死亡率の低下は、ベースラインの総 PA レベルが高い人に観察された。歩行、ガーデニング、家事などのPAレベルを維持すること、あるいはすべての分析強度で維持することは、死亡率の低下と関連していた。
🌱 So What?:何が面白いと感じたか?
この疑問は、臨床現場においてしばしば交わされる。
身体活動といっても、いったい何をしたらいいのだろう。
今回の抄読研究は、その疑問に対して参考になる結果を与えてくれた。
高齢者の身体活動を種別に分析した上で、死亡リスクとの関連を明らかにしたのだ。
その身体活動の内訳を見てみると、身体活動が多い高齢者は、『家事』と『歩行』によって多くの身体活動を構成していた。
今度は、冒頭の疑問に対して、
「習慣的な散歩と家事が主な身体活動源となる場合が多いですので、まずはその両者を増やすことを考えるといいかもしれません」
と答えることができる。
少しだけ、生活指導がレベルアップした!
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