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身体活動量の測り方。国際的コンセンサス


📖 文献情報 と 抄録和訳

脳卒中後の身体活動はどのように測定すべきか?国際的コンセンサス

📕Fini, Natalie Ann, et al. "How Should We Measure Physical Activity After Stroke? An International Consensus." International Journal of Stroke (2023): 17474930231184108. https://doi.org/10.1177/17474930231184108
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[背景・目的] 身体活動は脳卒中の二次予防に重要である。現在のところ、脳卒中後の身体活動を測定するためのアウトカムやツールには一貫性がない。
●目的:脳卒中後の身体活動の一貫した測定を可能にするために、国際的に合意された推奨事項を確立すること。

[方法] 脳卒中生存者と介護者を対象に、身体活動測定において何が重要かについてオンライン調査を1回実施した。脳卒中の専門研究者と理学療法士を対象に、キーニーの価値重視思考法を用いて3回の調査を実施した。
調査1では、身体活動ツール、アウトカム、測定上の考慮事項が特定され、調査2で順位付けされた。その後、調査回答に基づいて、コンセンサスグループによりツールに関する推奨事項が策定された。調査3では、参加者がランク付けされた結果と収集された証拠を検討し、コンセンサス勧告への支持を決定した。

[結果] 16ヵ国から25人の脳卒中生存者、5人の介護者、18人の研究者、17人の理学療法士が参加した。測定すべき最も重要なアウトカムとして、中等度から活発な身体活動時間と歩数が挙げられた。測定に際して考慮すべき点は、実際の環境において頻度、強度、継続時間の各領域にわたって測定できること、使いやすさ、快適さ、変化の検出能力などであった。

■ 機器を用いた脳卒中後の身体活動測定に関する推奨事項
<研究での使用が推奨される機器>
・身体活動強度(エネルギー消費量など):Actigraph、Actical、Activ8が推奨される。
・身体活動時間(例:姿勢保持時間):ActivPALが推奨される。
・身体活動頻度(例:歩数):Step Activity Monitorを推奨。
<臨床での使用が推奨される機器>
・身体活動頻度、強度、持続時間の測定には、Fitbit(研究用には足首に装着)を推奨する。

■ 質問表を用いた脳卒中後の身体活動測定に関する推奨事項
以下は、良好な構成概念妥当性と実現可能性を示している:
・国際身体活動質問票(IPAQ): International Physical Activity Questionnaire
・高齢者身体活動スケール(PASE): Physical Activity Scale for the Elderly
・医師による運動スコア評価およびカウンセリング(PACE): Physical Activity Scale for the Elderly
・脳卒中身体活動質問票: Stroke Physical Activity Questionnaire

調査3では、機器の推奨は100%、質問票の推奨は96%が支持された。

[結論] これらのコンセンサス勧告は、身体活動測定ツールおよびアウトカムの選択の指針となる。ツールの選択は、測定の目的、ユーザー知識、およびリソースに依存する。包括的な測定には、機器と質問票の使用が必要である。

🌱 So What?:何が面白いと感じたか?

昨今、身体活動量の研究の進歩が著しい。
様々な対象、セッティング、介入内容、アウトカムに対して網羅的とも思われるほどに、研究数が増えてきていると思う。
だが、その中で課題もある。

その1つが、「測定方法の不均一」だ。
特に、用いている機器の違いは、同じ身体活動を測っていたとしても、アルゴリズムが異なり、自然、結果も異なってくることが予測される。
違う定規で測った数値を、同じ数値として扱うことが妥当かどうか。
その点で、今回の抄読研究のような、測り方を全世界で統制していこうとする営みは重要だと思う。

日本語の窓は狭く、英語の窓は広い。
やはり英語論文から情報収集するようになって、格段に最先端の知見に触れられるようになった。
広いデータ量、Evidenceは、力だと思う。
だったら、日本の田舎で計測した身体活動量だって、全世界の海に合流する方法を模索すべきだろう。
そうなれば、これまで以上に身体活動量の研究が「生かされる」ことになる。
1つ1つの研究を育むと同時に、その生かし方についても、専門家でありたい。

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