非荷重患者の廃用性骨減少
📖 文献情報 と 抄録和訳
入院中の非荷重患者における廃用性骨減少症の発生率
[背景・目的] 廃用性骨減少症は、長期にわたる運動不足の結果としてよく認識されているが、非荷重を必要とする整形外科的外傷後のその割合はあまり研究されていない。本研究の目的は、入院した下肢外傷患者における腰椎および大腿骨近位部の廃用性骨減少症の割合を推定することである。
[方法] 2回のコンピュータ断層撮影(CT)検査終了までに厳格な非荷重期間を設けた下肢外傷患者の後方視的カルテレビューを行った。大腿骨近位部または腰椎の放射密度は、非荷重期間内に利用可能な最も古いCTスキャンと最新のCTスキャンから測定した。推定骨密度(eBMD)の変化を廃用性骨減少症の代用として算出した。
[結果] 合計189,111人の患者がスクリーニングされ、大腿骨近位群では17人、腰椎群では15人が除外基準に適合した。大腿骨近位部のeBMDの平均変化率は7.54HU/日の減少であり、95%信頼区間(CI)[3.65, 11.43]であった。腰椎のeBMDの平均変化率は1.45HU/日の増加で、95%信頼区間[-3.15, 6.06]であった。
[結論] 入院中の非荷重整形外科的外傷患者において、大腿骨近位部は非荷重期間中に廃用性骨減少を起こすことが、この新しい研究から示唆された。このデータの臨床的意義は、非荷重制限が必要な患者を治療する際に、すべての医師が廃用性骨減少症を考慮することの重要性を強調するものである。
🌱 So What?:何が面白いと感じたか?
廃用性筋萎縮、廃用性筋力低下。
これは、よく知られているし、文献抄読においても何度か取り上げている。
部位によってその萎縮率は異なるが、大腿四頭筋であれば1日1%くらい減少する(関連note参照)。
だが、骨密度が変わるとは思っていなかった。
なぜなら、骨代謝というのはもっと長期間をかけて増減する印象を持っていたから。
今回の骨密度の単位がどの程度の大きさなのか、それをまだ実感できてはいないが、大腿骨近位部においては1週間程度の非荷重期間において、確かに骨密度が減少した。
そして、大事なことはそれに対して「何ができるのか?」である。
非荷重期間なので荷重をかけることはできない。
ストレッチや筋力トレーニングなどの介入によって骨密度の低下が防げるものか?
また、対側の荷重を増やすことは患側の骨密度減少を防ぐか?
これらは今後の課題になってくるだろう。
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