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足底腱膜と下腿筋膜。解剖学的構造を示す3つの図


📖 文献情報 と 抄録和訳

ヒラメ筋膜は足底筋膜炎に関与するのか?

📕Ryskalin, Larisa, et al. "Do the fasciae of the soleus have a role in plantar fasciitis?." Clinical Anatomy 37.4 (2024): 413-424. https://doi.org/10.1002/ca.24102
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[レビュー概要] 本稿の目的は、足底筋膜炎の解剖学的および生体力学的基盤について、ほとんど無視されているが、新たに出現した筋膜系に特に重点を置いて議論することである。

✅ 足底腱膜(plantar aponeurosis、PA)の解剖学的構造

<左図>
・Lateral band(外側束): 足底腱膜の外側部分を示す。
・Central band(中央束): 足底腱膜の中央部分を示す。
・Medial band(内側束): 足底腱膜の内側部分を示す。
・Digital slips of the plantar aponeurosis(足底腱膜の指節): 足底腱膜が各指に向かって伸びる部分を示す。
・Tuberosity of the calcaneus(踵骨の隆起): 足底腱膜が踵骨(かかとの骨)に付着する部分を示す。
<右図>
・保存処理を施していない人間の遺体から見た足底腱膜の全体像を示す。
・LG, length of the PA along the main longitudinal axis(LG、足底腱膜の主たる縦軸に沿った長さ): 足底腱膜の縦方向の長さを示す。
・WP, proximal width of the PA near the heel insertion(WP、足底腱膜の踵骨付近の近位幅): 足底腱膜が踵骨に付着する近くの幅を示す。
・WD, distal width of the PA(WD、足底腱膜の遠位幅): 足底腱膜の遠位端(指に近い部分)の幅を示します。
足底腱膜は足の裏全体に広がり、歩行や立位時に足のアーチを支える重要な構造である。踵骨から始まり、各指に向かって広がることによって、足の弾力性や強度を高める。

✅ 下腿の横断面と筋膜

この図は下腿の横断面を示しており、前部、外側、深部後部、表層後部の4つの区画が描かれている。
主な構造
・Interosseous membrane of the leg(下腿の骨間膜): 脛骨と腓骨をつなぐ膜で、脚の安定性を高める役割を持つ。
・Soleus(ヒラメ筋): 下腿の後部に位置する筋肉で、歩行や立位時に重要な役割を果たす。
・Deep fascia(深筋膜): 筋肉を包む強い結合組織の膜。
・Intramuscular aponeurosis of soleus(ヒラメ筋の筋内腱膜): ヒラメ筋内部にある腱膜で、筋力を効率的に伝える。
・Superficial fascia(表層筋膜): 皮下組織と深部筋肉を隔てる膜。

✅ ヒラメ筋, 腓腹筋と筋内腱膜

<図A>
・lhGM(lateral head of the gastrocnemius muscle): 腓腹筋の外側頭で、ふくらはぎの外側部分を形成する。
・mhGM(medial head of the gastrocnemius muscle): 腓腹筋の内側頭で、ふくらはぎの内側部分を形成する。
・MUSCLE LENGTH: ヒラメ筋全体の長さを示す。
・LATERAL INTRAMUSCULAR APONEUROSIS: 外側筋内腱膜で、筋肉内の支持構造として機能する。
・MUSCLE BELLY: ヒラメ筋の腹部を示す部分。
・MEDIAL INTRAMUSCULAR APONEUROSIS: 内側筋内腱膜で、筋肉の内側部分を支持する。
・ACHILLES TENDON: アキレス腱で、ヒラメ筋と腓腹筋の筋力を踵骨に伝える。
<図B>
・Medial intramuscular aponeuroses(MiA): 内側筋内腱膜を示し、筋肉内の張力を伝える。
・Lateral intramuscular aponeuroses(LiA): 外側筋内腱膜を示す。
・Central tendon(CT): 中央腱で、筋力を効率的に伝える役割を持つ。
・Achilles’ tendon(AT): アキレス腱で、ふくらはぎの筋力を踵骨に伝える。
<図C>
・MiA(Medial intramuscular aponeuroses): 内側筋内腱膜の詳細。
・LiA(Lateral intramuscular aponeuroses): 外側筋内腱膜の詳細。
・CT(Central tendon): 中央腱の詳細。
・AT(Achilles tendon): アキレス腱の詳細。
これらの構造は、歩行や走行時に重要な役割を果たし、下肢の動きを支える。アキレス腱は特に重要で、ヒラメ筋と腓腹筋の力を踵骨に効率的に伝えることで、足首の動きをサポートする。

🌱 So What?:何が面白いと感じたか?

最近は、シューフィッターの勉強をしていることもあり、足部の構造や解剖学への興味が高まっている。
そんな折、今回の論文に出会った。

この論文の好きなところは、なんと言っても“図”である。
綺麗な図とともに、足底腱膜や下腿筋膜の解剖学的な構造や機能、その関連性について、豊富なエビデンスに支持されながら解説されている。
これが、Open Access!
必読、目を通すだけでも、ストックしておくだけでも、将来的に役立つと思う。

自分が好きだった映画は、ストーリーで好きになったんじゃない
ワンショット見た瞬間に、「あぁ、これは素晴らしい」って、それが映画だと思っているから

宮崎駿

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