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BJSM誌掲載。腱構造の美しい図


📖 文献情報 と 抄録和訳

腱病理の病因における腱内圧の役割を探る:叙述的レビューと概念的枠組み

📕Pringels, Lauren, et al. "Exploring the role of intratendinous pressure in the pathogenesis of tendon pathology: a narrative review and conceptual framework." British Journal of Sports Medicine 57.16 (2023): 1042-1048. http://dx.doi.org/10.1136/bjsports-2022-106066
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[レビュー概要] アスリートにおける腱病変の有病率は高いにもかかわらず、その根底にある病因はいまだ十分に解明されていない。過去に様々な病因論が発表され、否定されてきたが、腱細胞反応モデルは未だに真実である。このモデルでは、腱細胞が細胞外マトリックスの重要な調節因子であり、組織の恒常性の乱れに対する適応に失敗することで病態が誘発されることを説明している。このような障害は、様々な種類のストレス要因(例えば、機械的、熱的、虚血的)に起因しているが、病因を完全に理解するためには、重要な要素が欠けているように思われる。重要なことは、組織圧の恒常性の障害は、多くの病態と関連しているにもかかわらず、その要因のひとつとは考えられていないことである。そこで我々は、腱病理の病因における腱内圧の役割の可能性について、広範な文献レビューを行った。このレビューでは、腱と構造的に類似した他の疾患の病因における圧力の動態と組織圧力の役割に関する現在の理解を探る。これらの知見と腱病態で起こる既知の構造的変化を結びつけることにより、概念モデルを構成した。このモデルは、腱内圧の上昇が腱病理の発症と進行にどのように関与し、腱性疼痛の一因となる可能性があるのか、そのメカニズムの概要を示している。さらに、腱内圧を低下させ、腱の治癒を促進させる治療法も提案されている。我々の仮説を検証し、腱病態における腱内圧の関連性について議論を始めるために、さらなる実験的研究が奨励される。

■ 腱構造の美しい図①:階層的な腱構造

1. エピテノン: 腱鞘内の腱の外側の被覆。腱の修復過程において最も重要な構造。
2. エンドテノン: 腱全体のコラーゲン線維の小束を取り囲む、血管を有する緩い細胞組織。
3. パラテノン: パラテノン:腱全体を取り囲む弾力性のある緩い有膜組織で、腱の滑りを良くする。腱に血液を供給しており、腱の手術後は再補充する必要がある。腱の血液供給の大部分を担う。

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■ 腱構造の美しい図②:腱と骨が隣接する部分に線維軟骨が存在する

🌱 So What?:何が面白いと感じたか?

筋-筋束-筋細胞-筋原線維

筋における階層構造は理解していた。
今回の抄読論文では、腱における階層構造を美しい図で示してくれた。
さらに、腱と骨の隣接部分には、線維軟骨が存在しているという。

「解剖学は、学校で習いました」

そういう感じで、社会に出てから解剖学がアップデートできていない人も多いのではないだろうか。
いやはや、解剖学という大陸は、まだまだ未開の地だらけだ。
その未開の地が一境地拓けるごとに、臨床に新たな恵みが与えられる。
今回のイメージが頭の中にインストールされたので、腱のストレッチをかけている時の僕の頭の中には、階層的な腱構造が引き伸ばされているイメージ、または線維軟骨も伸張されるようなイメージが思い浮かぶことだろう。
イメージを、現実に起こっていることに少しでも近づけていきたい。

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