フレイル × 生活習慣
📖 文献情報 と 抄録和訳
中年期後期から老年期にかけてのフレイルの予測因子としての中年期後期の生活習慣関連因子:出生コホート縦断研究
[背景・目的] 生活習慣関連因子とフレイルの縦断的変化を調べた研究はほとんどない。
[方法] ベースライン時に57~69歳であった2,000人のコホートにおいて、個々の生活習慣要因(運動、食事、睡眠、アルコール、喫煙、体組成)、ベースライン時のそれらの合計、17年間の追跡期間中の変化、およびフレイル指数値の変化率との関連を線形混合モデルを用いて検討した。
[結果] ベースライン時の健康的な生活習慣関連因子の数が多いほどフレイルのレベルは低かったが、中年期後期から老年期にかけての変化率とは関連していなかった。定期的な運動を中止した参加者(調整後β×時間=0.19、95%CI=0.10、0.27)と睡眠障害を経験し始めた参加者(調整後β×時間=0.20、95%CI=0.10、0.31)は、中年期後半から老年期にかけてフレイルがより急速に増加した。逆に、睡眠が改善した人(調整β×時間=-0.10、95%CI=-0.23、-0.01)は、中年期後半以降のフレイルの増加が緩やかであった。
生活習慣関連因子を手放した参加者(3つ以上の因子の減少 vs 変化なし)は、中年期後期から老年期にかけてより早くフレイルになった(調整β×時間=0.16、95%CI=0.01、0.30)。
[結論] フレイルにおける生活習慣に関連した差は、中年期後期にすでに明らかであり、老年期まで持続した。新たに1つの健康的な生活習慣関連因子を取り入れることは、フレイルのレベルの急峻な上昇をわずかに抑える程度であった。規則正しい運動と睡眠習慣の維持は、フレイルの急激な増加を防ぐのに役立つかもしれない。
🌱 So What?:何が面白いと感じたか?
これは、生活習慣の指導において、もっとも当たり前で、使い古された文言だろうと思う。
だが、やはりこの2つが重要なのだろう・・・、今回抄読した研究からそう思わされた。
今回の研究の結果、運動をしていない、あるいは運動をやめた者はフレイル進行リスクが高い。
また、一貫した睡眠障害、あるいは途中から睡眠障害を経験した者はフレイル進行リスクが高い。
この2つがことさらに重要だと感じられるのは、“意志的に変更することができる” からだ。
運動を意識的に生活に取り入れようとすれば、できる。
早めに床に入ったり、睡眠を高めるような生活上の工夫は、できる。
変更可能性が高い2つの生活習慣なのだ。
それらが、将来のフレイルリスクと関わっている。
その知識を持つことで、「生活習慣を変えなきゃ!」と思える可能性が高まるかもしれない。
当たり前の生活習慣の重要性を教えてくれた一論文であった。
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