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社会的脆弱性 × フレイル


📖 文献情報 と 抄録和訳

フレイルと社会的脆弱性の関係:系統的レビュー

📕Hanlon, Peter, et al. "The relationship between frailty and social vulnerability: a systematic review." The Lancet Healthy Longevity 5.3 (2024): e214-e226. https://doi.org/10.1016/S2666-7568(23)00263-5
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[背景・目的] フレイル(生理的予備力の低下)と社会的脆弱性(適切な社会的つながり、支援、相互作用の欠如)はともに、高齢になるにつれて一般的になり、有害な結果と関連している。これらの構成要素間の関係の分析は、評価に使用される尺度が多岐にわたるため、限界がある。

[方法] この系統的レビューでは、フレイルと社会的脆弱性の関連、構成要素間の双方向的な縦断的関係、および有害な健康転帰との共同の関連を評価した130の観察研究を総合した。

■ 社会的脆弱性×フレイル:横断的研究
・フレイルは一貫して、孤独感の増加(24研究中23研究)、社会的脆弱性指数の増加(8研究中8研究)、社会参加の減少(10研究中9研究)と関連していた。
・また、ほとんどの研究で、フレイルは社会的孤立(23研究中20研究)、社会的支援(28研究中19研究)、社会的虚弱(14研究中12研究)の程度が高いことと関連していた。

■ 社会的脆弱性×フレイル:縦断的研究
・社会的脆弱性の各要素は、その社会的脆弱性の要素がない場合と比較して、より急速なフレイルの進行や、より低い改善オッズとも関連していた
・例えば、社会的孤立のある人では、社会的孤立のない人と比較して、より急速なフレイルの進行

フレイルと社会的脆弱性の組み合わせは、死亡率の増加、身体機能の低下、認知機能障害と関連していた。

[結論] フレイルや社会的脆弱性を対象とした臨床的・公衆衛生的対策は、フレイルと社会的脆弱性の両方を考慮すべきである。

🌱 So What?:何が面白いと感じたか?

私たちは、網の目のように紡がれたつながりの中で経済活動を行い、社会を構成し、日々暮らしていることを平時には忘れがちだ。
しかし、なくなって初めて気づく前提が数多くある。
そういった前提によって紡がれた網の目は、ますます複雑化し、一部で起こった衝撃がここかしこにも想定もしなかったような影響を与える。
私たちはかつてないほどの「相互依存」の時代を生きているのだ。

学習する組織:訳者前書き

そのような「相互依存」の時代。
その中で、社会を構成する網の目の一部になることを内発的、外発的に止めてしまう場合がある。
そのような個人の状態は社会的孤立、と呼ばれる。
社会的孤立や個人の感じる孤独感は、様々な症状や疾患リスクと関連することが最近の文献において多く報告され始めている(関連 note参照)。

今回の抄読研究は、フレイルリスクに対して社会的脆弱性が及ぼす影響を横断的、縦断的にレビューしてくれた。
その結果、横断的にも、縦断的にも、社会的脆弱性はフレイルを引き起こす、あるいは悪化させる要因であることが示された。
さらに、フレイルと社会的脆弱性の組み合わせは、不良なアウトカム(死亡、身体機能、認知機能)と関連することも示された。
個人的に社会的脆弱性が重要だと感じるのは、介入可能性が高いと思われるからだ。
極端な話だが、「女性であることが要因です」と言われても、介入可能性は低い、「仕方がないじゃないか」という話。
だが、社会的脆弱性に対しては、家族が、社会が、医療者が、何かできる余地が残されている。
それがフレイルに悪影響を及ぼしているなら・・・、何かをしてきたい思いは強まった。

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