孤独感の弊害。痛み・疲労・抑うつを予測
📖 文献情報 と 抄録和訳
悪い仲間 高齢者における孤独感は、痛み、疲労、抑うつという症状群を縦断的に予測する
[背景・目的] 疼痛、疲労、抑うつは、しばしば症状群として併発する。がんや自己免疫疾患によく見られる症状であるが、全身疾患や炎症がない場合にも認められる。孤独は、横断的にこのクラスターに関連する一般的な心理社会的ストレス要因である。我々は、孤独感が、疼痛、疲労、うつ病、および症状群の経時的な発現を予測するかどうかを調査した。
[方法] Health and Retirement Studyのデータを使用した。2006~2016年に孤独感と症状群の測定を2回以上行った50歳以上の自己回答者を対象とした(n=5974)。一般化推定方程式(GEE)を用い,社会人口学的共変量,居住形態,ベースライン時の症状の有無を調整した上で,時間変化する孤独感を用いて,その後のウェーブにおける疼痛,疲労,抑うつ,症状群の予測を行った。
[結果] 孤独は、痛み(aOR 1.22,95% CI 1.08-1.37), 疲労(aOR 1.47,95% CI 1.32-1.65), うつ(aOR 2.33,95% CI 2.02-2.68) および症状群(aOR 2.15,95% CI 1.74-2.67) をその後報告する確率を増大させた。ベースラインから最終フォローアップ測定までの期間の中央値は7.6年(IQR 4.1, 8.2)であった。
[結論] 孤独感は、アメリカの高齢者の非臨床サンプルにおいて、疼痛、疲労、うつ病の発症、および数年後のこれら3つの症状の集積を強く予測する。今後の研究では、孤独がこのクラスターを生み出す可能性のある複数の経路を調べるとともに、他の心理社会的ストレス要因もリスクを高めるかどうかを検討する必要がある。高齢者の孤独に対処する介入によって、疼痛、疲労、うつ病のクラスターを予防または軽減できる可能性がある。
🌱 So What?:何が面白いと感じたか?
では、その相互依存の糸が途切れてしまった人々は、どうなるのだろう。
・妻と離別した。
・親が亡くなり、独りになった。
・etc...
この研究は、そのような状況に陥った人々が感じる『孤独感』を測定し、痛み、疲労、うつをどの程度予測するかを調査した。
その結果、とくに『うつ』を強く予測することが明らかとなった。
これは、経験的にも納得のいく結果だと思う。
誰しも、大なり小なり、人生の中で孤独感を強く感じる瞬間はあるものだ。
「誰にも必要とされていない。独りだ。この世界に、独りぼっちなんだ。」
そのときの、心臓のもう1段奥の方が、小さくなっていくような、あの感じ・・・。
担当患者のデモグラフィックデータに、『独居』の文字を見たとき、頭の中でアラートを鳴らそう。
『退院支援に気をつけろ。今後、孤独によって痛み、疲労、うつを発症する可能性が高いぞ』
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