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社会的フレイル。有病率と関連因子のメタ解析

📖 文献情報 と 抄録和訳

高齢者における社会的フレイルの有病率: システマティックレビューとメタアナリシス

📕Zhang XM, Cao S, Gao M, Xiao S, Xie X, Wu X. The Prevalence of Social Frailty Among Older Adults: A Systematic Review and Meta-Analysis. J Am Med Dir Assoc. 2023;24(1):29-37.e9. https://doi.org/10.1016/j.jamda.2022.10.007
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✅ 前提知識:社会的フレイル(Social Frailty)とは?
・社会的フレイルは、2010年にGobbensらによって初めて提唱された(📕Gobbens, 2010 >>> doi.)。
・2017年、社会的生産機能論における社会的ニーズの概念に基づき、社会的フレイルは、基本的な社会的ニーズを満たすための社会資源、社会的行動、社会活動、自己管理能力を失うリスクがある、または失っていることの連続体であると定義された(📕Bunt, 2017 >>> doi.)。
・社会的フレイルについては、Makizako Social Frailty Index、Social Frailty Screening Index、Tilburg Frailty Indicatorなど、様々な評価ツールが存在する。
・5項目からなる牧迫社会的フレイル指数が最も一般的な評価方法である。これは牧迫ら(📕Makizako, 2015 >>> doi.)によって開発され、高齢者の間で広く使用されている。
・社会的フレイルは、心身の健康に悪影響を及ぼし、セルフケア能力の低下、高齢者のうつ病の増加、さらには死亡リスクの上昇をもたらすため、高齢者における深刻な懸念事項となっている(📕Ragusa, 2022 >>> doi.)。
・また、高齢者における孤独と社会的フレイルの間には関連がある(📕Ge, 2022 >>> doi.)。孤独が高齢者に最も多く見られることを考えると、社会的フレイルは非常に重要であり、より注目される必要がある。

[背景・目的] 高齢者の社会的フレイルの全体的な有病率を報告し、政策立案者や当局が政策や社会的ケアの開発に活用するための情報を提供する。

[方法] デザイン システマティックレビューとメタアナリシス。設定と参加者: 4つのデータベース(PubMed、Embase、Web of Science、Google Scholar)を検索し、創刊から2022年7月30日までの論文を探した。60歳以上の成人における社会的フレイルの有病率を提供する横断研究およびコホート研究を、いかなる環境においても対象とした。方法 3名の研究者が独立して文献をレビューし、データを取得した。各研究の質を評価するために、Risk of Biasツールを使用した。ランダム効果メタ分析によりデータをプールし、サブグループ分析、感度分析、メタ回帰を実施した。

[結果] 761件の記録から、83,907人の参加者を含む43件の研究を抽出し、メタ分析に用いた。
■ 社会的フレイルの有病率 & 少ない国ランキング
病院環境における社会的フレイルのプールされた有病率は47.3%(95%CI:32.2%-62.4%)地域環境における研究では、プールされた有病率は18.8%(95%CI:14.9%-22.7%、P < .001)であった。
・様々な機器を用いた各国の限られたコミュニティ研究に基づくと、社会的フレイルは中国(4.9%;95%CI:4.2%-5.7%)で最も低く、スペイン(11.6%;95%CI:9.9%-13.3%)、日本(16.2%;95%CI:12.2%-20.3%)、韓国(26.6%;95%CI:7.1%-46.1%)、ヨーロッパ都市部(29.2%;95%CI:27.9%-30.5%)、オランダ(27.2%;95%CI:16.9%-37.5%)と続いています。

■ 社会的フレイルの有病率の関連要因
・社会的フレイルの有病率は、Tilburg Frailty Indicator(32.3%、95%CI:23.1~41.5%)で評価した場合、Makizako Social Frailty Index(27.7%;95%CI:21.6%~33.8%) や Social Frailty Screening Index(13.4%;95% CI:8.4%~18.4%) を上回った。
・その他のサブグループ分析では、グループ間で統計的に有意な有病率の差は認められなかった。

[結論] 高齢者における社会的フレイルの有病率は高い。設定、国、社会的フレイルの評価方法が有病率に影響を与えた。より有効な比較は、測定ツールに関するコンセンサスと地理的に代表的な集団に関するさらなる研究を待つ必要がある。しかし、これらの結果は、公衆衛生専門家や政策立案者が、高齢者を対象とした研究やプログラム計画において、社会的フレイルを真剣に考慮すべきことを示唆している。

🌱 So What?:何が面白いと感じたか?

社会的フレイル、という単語の意味をよく知ることができた。
この研究を読んで思ったことは、まず『牧迫先生、凄すぎる!』ということ。
世界的にメジャーな評価ツールを開発している。
恥ずかしながら、それを今の今まで知らなかった。
もっともっと、勉強しなければならない。
その上で、牧迫先生のように、日本発の創造物を世界に提供できるようになりたい。

そして、社会的フレイルについて知ることは回復期リハにおける退院支援にとって重要だと思った。
社会資源、社会的行動、社会活動、自己管理能力。
どれも低ければ何らかの支援が必要になるだろう。
社会的フレイルについて、勉強を進めていこうと思う。

できるだけ人を知り、
できるだけ人に知られなさい
福沢諭吉

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