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健康寿命と歩数


📖 文献情報 と 抄録和訳

毎日の歩数と健康寿命との関連:日本における全国横断研究

📕Nishi, Masahiro, Reo Nagamitsu, and Satoaki Matoba. "Association between daily step counts and healthy life years: a national cross-sectional study in Japan." BMJ Health & Care Informatics 31.1 (2024): e101051. https://doi.org/10.1136/bmjhci-2024-101051
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[背景・目的] 毎日の歩数と死亡率または疾患リスクとの関連に関するエビデンスが蓄積されているにもかかわらず,毎日の歩数が健康寿命と関連しているかどうかは不明である。

[方法] 2019年に日本の無作為抽出一般集団を対象に実施された生活実態総合調査と国民健康・栄養調査の統合データセットを用いた。成人参加者4957人について1日の歩数を測定した。多変量ロジスティック回帰モデルを用いて、1日の歩数と日常生活における活動制限 (健康寿命の AI 指標(HCAL))および自己評価による健康との関連を評価した。日歩数の閾値推定における不確実性を軽減するためにブートストラップ法を採用した。

[結果] 年齢中央値は60歳(44~71歳)、2592人(52.3%)が女性であった。1日の歩数の中央値は5650歩(3332-8452)であった。隣接する1日歩数に対する日常生活における活動制限の調整済みORは、全年齢で0.27(95%CI 0.26~0.27)、最も低い高齢者で0.25(95%CI 0.25~0.26)であり、有意な関連の閾値は9000歩であった(隣り合う歩数間の調整オッズ比は、年齢に関わらず 9,000 歩/日に達するまで 95%信頼区間の上限が 1.0 未満で統計的に有意)

自己評価による不健康状態のORは、全年齢で0.45(95%CI 0.44~0.46)、最も低い高齢者で0.42(95%CI 0.41~0.43)であり、閾値は歩数11,000歩であった。

[結論] 毎日の歩数は、健康寿命の決定因子としての日常生活における活動制限および自己評価による健康と、それぞれ9,000歩および11,000歩まで有意に関連していた。これらの結果は、健康寿命の延伸のために、健康施策の中で毎日の歩数を目標とすることを示唆している。

🌱 So What?:何が面白いと感じたか?

患者教育、生活指導において重要なこととは何か。
その1つの答えは、『具体的に!』である。
例えば、「退院後、とにかく歩いてください」では行動につながりにくい。
だけれども、「退院後、1日に9,000歩は歩いてください」だと行動につながりやすい。
人間は、大海原を泳ぎつづけることは苦手だが、25m先のプールを泳ぐことはできるのだ。

今回の抄読研究は、健康寿命の延伸を念頭においた場合に、『9,000歩』が目標値になることを示してくれた。
しかも、対象は日本の高齢者、で。
退院支援、生活指導における指標の1つにしていきたい。

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