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膝関節伸展運動と股関節角度。角度の違いで筋活性化部位に違い


📖 文献情報 と 抄録和訳

股関節屈曲角度は下肢伸展運動における大腿直筋の縦筋活動に影響する

📕Mitsuya, Hiroku, et al. "Hip flexion angle affects longitudinal muscle activity of the rectus femoris in leg extension exercise." European Journal of Applied Physiology (2023): 1-11. https://doi.org/10.1007/s00421-023-05156-w
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[背景・目的] 膝関節伸展運動(leg extension exercise, LEE)中の大腿直筋(rectus femoris, RF)の縦方向の筋活動に及ぼす股関節屈曲角度(hip flexion angle, HFA)の影響を検討した。

[方法] 特定の集団を対象とした急性期研究を実施した。9名の男性ボディビルダーが、3つの異なるHFAで下肢伸展マシンを用いて等張性LEEを行った: 0°、40°、80°。参加者は、各HFA設定で90°から0°まで膝を伸ばし、1反復最大値の70%で10回反復するセットを4セット行った。LEEの前後でRFの横緩和時間(T2)を磁気共鳴画像法を用いて測定した。RFの近位、中位、遠位領域におけるT2値の変化率を解析した。大腿四頭筋の筋収縮の主観的感覚を数値評価尺度(NRS)を用いて測定し、客観的指標であるT2値と比較した。

[結果] 80°において、RF中央部のT2値はRF遠位部のそれよりも低かった(p<0.05)。HFA0°および40°におけるT2値は、近位RF(p<0.05、p<0.01)および中間RF(p<0.01、p<0.01)において、HFA80°における値よりも高かった。

股関節40度屈曲位は近位を含むRF全般の活性化が大きかった。

NRSスコアは客観的指標と一致しなかった。

[結論] これらの結果から、40°HFAは近位RFの部位特異的強化に実用的であり、トレーニングの指標としての主観的感覚だけでは近位RFを活性化できない可能性があることが示唆された。我々は、股関節の角度によってRFの各縦断面の活性化が可能であると結論づけた。

🌱 So What?:何が面白いと感じたか?

研究には、大きく理論に影響を及ぼす側面と、実践に影響を及ぼす側面があると思う。
その中で、今回の研究は強く実践に影響を及ぼす研究だと思う。
まさに、今日の膝関節運動から使える。

今回の結果から、股関節をやや伸展させた肢位(股関節屈曲40度)では近位部を含めた大腿四頭筋活性が期待され、大きな股関節屈曲(80度)では主に遠位部の活性が期待される。
動作中の需要や、触診において大腿四頭筋の近位活性化が必要な方はやや身体を後傾させて、膝関節伸展域での出力や遠位部の活性化が必要な方は身体が後傾しないことを意識して行なってもらうとよさそうだ。

どちらが完全に良い、というわけではなく、要は適応の違いである。

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