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セルフモニタリングは、高齢者の身体活動を高める


📖 文献情報 と 抄録和訳

日本における介護保険高齢者の身体活動に対する加速度計による自己モニタリングの効果:無作為化比較試験

📕Kitamura, Masahiro, et al. "Effects of self-monitoring using an accelerometer on physical activity of older people with long-term care insurance in Japan: a randomized controlled trial." European Geriatric Medicine (2024): 1-10. https://doi.org/10.1007/s41999-024-00935-w
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🔑 Key points
🔹日本の介護保険制度に加入している高齢者において、歩数を促進し、座りがちな行動を減らすための自己モニタリング介入の有効性を調査した。
🔹研究結果加速度計を用いた自己モニタリング介入を5週間追跡したランダム化比較試験の結果:介入群では対照群と比較して歩数、軽度の身体活動、座位行動が改善した。
🔹加速度計を用いたセルフモニタリングは、介護保険を有する高齢者の1日の歩数や軽い身体活動量を増加させ、座りがちな行動を減少させるのに有効である可能性がある。

[背景・目的] 本研究は、日本の介護保険制度に加入している高齢者において、歩数で測定される身体活動の増加を促進し、座りがちな行動を減少させるための自己モニタリング介入の効果を調査することを目的とした。

[方法] 2022年10月~2023年1月にデイケアセンターで実施した無作為化比較試験である。補助具の有無にかかわらず歩行可能な介護保険を有する高齢者52名を介入群(n=26)と対照群(n=26)に割り付けた。5週間の追跡期間中、介入群には身体活動や自己モニタリングに関する教育(目標設定、自己管理、フィードバックなど)が行われた。

■ 介入群の介入内容
1. 加速度計、パンフレット、カレンダーの配布 (対照群も共通)
2. 身体活動の教育を受ける (対照群も共通)
3. 歩数と座位行動の目標を設定
4. 歩数と座位行動時間をカレンダーに記載 (セルフモニタリング)
5. 週に1回のフィードバック

主要アウトカムは歩数、副次アウトカムは座位行動であった。

[結果] 5週間の追跡調査終了時まで研究を完了した参加者と、アウトカムデータが入手可能な脱落参加者を最終的な解析対象者とし、57名(介入群24名(79.8±8.8歳、男性25.5%)、対照群23名(82.5±8.5歳、男性39.1%))を対象とした。ベースライン時の両群間の比較では、有意差は認められなかった。2(群:対照群、介入群)×2(項:ベースライン、5週間フォローアップ)の因子を含む二元配置混合分散分析(ANOVA)の結果、歩数、座位行動、軽い身体活動において交互作用が観察された(p<0.05)。

[結論] 加速度計を用いた身体活動の自己モニタリングは、LTCIを有する高齢者の歩数および軽度の身体活動を増加させ、座りがちな行動を減少させるのに有効である可能性がある。

🌱 So What?:何が面白いと感じたか?

以前に、セルフモニタリングについてのnoteを書いたことがあった。

この効果は、いったいどのような仕組みから生まれるのだろうか。
個人的には、ホーソン効果が関係しているのではないかと考えている。
ホーソン効果とは、「モニターされていることを意識すると行動が変わる」というもの。
セルフモニタリングは、個人内でホーソン効果を引き起こす手法だと思う。

今回の研究においては、加速度計とカレンダーというツールを用いて、セルフモニタリングを行なっている。
このような、実際に身体活動を変えることのできる方法を明らかにしていくことが重要だと感じた。

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