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筋骨連関。筋体積除去→骨強度低下

📖 文献情報 と 抄録和訳

オスマウスの脛骨骨強度は、隣接筋の体積減少損傷によって悪影響を受ける

📕Schifino, Albino G., et al. "Tibial bone strength is negatively affected by volumetric muscle loss injury to the adjacent muscle in male mice." Journal of Orthopaedic Research® 42.1 (2024): 123-133. https://doi.org/10.1002/jor.25643
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[背景・目的] 本研究の目的は、雄性C57BL/6Jマウスにおいて、体積筋力低下(volumetric muscle loss, VML)損傷に伴う収縮力低下が、隣接する脛骨の構造的・機能的特性にどのような影響を及ぼすかを調べることであった。

[方法] マウスは2つの実験群に無作為に割り付けられた: 12週齢でVMLを受傷し、20週齢まで成長させたマウス(受傷後8週齢、VML)と、20週齢で年齢をマッチさせた未受傷マウス(Uninjured-20)である。脛骨骨強度、骨幹部中央皮質形状、固有材料特性、骨幹部海綿骨構造は、3点曲げおよびマイクロCT(μCT)により評価した。

✅ VMLの方法詳細
・左後肢足底屈筋 (腓腹筋、ヒラメ筋、足底筋)の片側VML損傷は、前述したように、麻酔(イソフルラン1.5%~3.0%)をかけたマウスから筋組織を体積的に除去した。
・マウスにブプレノルフィン(2.0mg/kg2)を投与した後、腓腹筋中部を遠位から近位まで1回切開し、後区画筋を露出させた。
・後区画筋を4mmの標準化された生検ポンチで切開し、約15% (27.60±4.60mg)の筋組織が摘出された。
・出血は軽い圧迫で止血した。皮膚切開は6.0mmの絹縫合糸で閉鎖し、マウスは回復するまでモニターされた。

[結果] 足底屈筋群(腓腹筋、ヒラメ筋、足底筋)の機能的能力、すなわちピーク等尺性トルクとピーク等速性パワーを分析した。VML損傷肢は、未損傷-20マウスと比較して、ピーク等尺性トルクが25%、ピーク等速性パワーが31%低下した(p<0.001)極限荷重は、剛性ではなく、VML損傷肢の脛骨では、未損傷-20マウスの脛骨と比較して有意に減少した(10%)(p = 0.014)。μCT分析によると、皮質骨の厚さは、VML損傷肢の脛骨では、未損傷-20の脛骨に比べて6%少なかった(p = 0.001)。重要なことは、骨極限荷重の主要な決定因子である脛骨の骨断面慣性モーメントが、VML損傷肢の骨では、非損傷肢-20の骨に比べて16%小さかったことである(p = 0.046)。後骨幹部海綿骨構造も、VML損傷肢の脛骨では23%変化していた(p < 0.010)。

[結論] VML損傷後の脛骨の骨構造と機能におけるこのような変化は、12週齢から20週齢の間の自然な成熟期に起こる。このことは、未受傷の20週齢マウスが未受傷の12週齢マウスに比べて脛骨の骨の大きさと強度が大きいことからも明らかである。

🌱 So What?:何が面白いと感じたか?

骨格筋の損傷→筋力低下→関節モーメント低下→骨長軸に加わる荷重負荷低下→骨強度・骨密度低下

以上の図式が、見えてきた。
ここから考えられることは、それが損傷によって引き起こされたものであれ、老化によって自然にもたらされたものであれ、筋力低下が骨代謝に影響を与えうるということだ。
つまり、リハビリテーションによって筋力を向上させることは、同時に長期的な骨代謝にも好影響を与える可能性があるということ。

バタフライ効果、という言葉がある。
バタフライ効果とは、「1つの出来事が、最終的に予想もしていなかったような出来事につながる」ことを意味する言葉である。
今回示された効果も、その1つなのかもしれない。
1つの介入が与える、2次的な影響を具体的に把握した上で、介入していきたい。

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