量より規則性。睡眠の規則性×死亡リスク
📖 文献情報 と 抄録和訳
睡眠の規則性は睡眠時間よりも死亡リスクの強い予測因子である:前向きコホート研究
[背景・目的] 睡眠時間が異常に短かったり長かったりすることは早死にと関連しており、最適な睡眠時間を達成することが睡眠健康ガイドラインの焦点となっている。新たな研究では、睡眠規則性(睡眠と覚醒のタイミングの日々の一貫性)は、睡眠時間よりも健康上の転帰を予測する強い因子となりうることが示されている。しかし、死亡率における睡眠規則性の役割については、客観的なデータを有する大規模コホートでは調査されていない。そこでわれわれは、睡眠規則性と睡眠時間が全死因死亡率および原因別死亡率のリスクをどのように予測するかを比較することを目的とした。
[方法] UK Biobank参加者60,977人(62.8±7.8歳、女性55.0%、SRI中央値[IQR]:81.0[73.8-86.3])の1,000万時間を超える加速度計データから睡眠規則性指数(Sleep Regularity Index, SRI)スコアを算出した。
[結果] 1859人の参加者において、7.8年後までの死亡率が報告された(1000人年当たり4.84人死亡、平均(±SD)追跡期間6.30±0.83年)。規則正しい睡眠は、最も規則正しくない5分位群と比較して、上位4つのSRI5分位群全体で、全死因死亡リスクの20%~48%低下(p<0.001~p=0.004)、がん死亡リスクの16%~39%低下(p<0.001~p=0.017)、心代謝死亡リスクの22%~57%低下(p<0.001~p=0.048)と関連していた。結果は、年齢、性別、民族、社会人口統計学的因子、ライフスタイル因子、健康因子で調整された。睡眠の規則性は睡眠時間よりも全死因死亡率の強い予測因子であった(同等の死亡率モデルの比較、および睡眠時間を含むSRI-死亡率モデルと含まないSRI-死亡率モデルの入れ子の比較)。
[結論] これらの所見は、睡眠規則性が死亡リスクの重要な予測因子であり、睡眠時間よりも強い予測因子であることを示している。睡眠規則性は、一般的な健康と生存を改善するための単純で効果的な目標である可能性がある。
🌱 So What?:何が面白いと感じたか?
物事には、リズムというものがある。
例えば、一流のプロバスケット選手のシュート練習を見ていると、一定のリズムを刻んでいるように見える。
また、イチローに代表される、パフォーマンス前のルーティーンだって、一種のリズムだ。
さらにリズムは、アスリートやフィジカルにおけることだけに留まらず重要だ。
小説家の志賀直哉は以下のように述べている。
(少し長文になるが、全体の印象を伝えたいのでお付き合いを)
リズム、一定の周期、それを作り出すこと、保持すること、維持すること、それはあらゆる点で重要なものかもしれない。
今回の抄読研究は、睡眠においてリズムが重要であることを明らかにした。
解析の結果、死亡リスクの低減に対して、睡眠時間(量)より睡眠の規則性(リズム)が重要であった。
死亡リスク以外のアウトカムに対しては、睡眠の規則性はどのように機能しているだろう。
患者さんは、睡眠の規則性が著しく損なわれているように思われるが、それはどうなのだろう。
睡眠に関する疑問は、深まってゆくばかりだ。
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