シビレル古本屋

自営業。新古書店を経営してます。

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最近の記事

【古典的名作とは、読んで面白い小説ではなく、読み終わった後に面白い小説である】

こんばんは。 しびれる古本屋でございます。 僕は現代小説というよばれるものが、あまり好きではありません。 たとえば、芥川賞をとった「火花」。 「火花」は確かにおもしろい小説です。 しかし、又吉さんのファンのかたには申し訳ないのですが、僕は「火花」を読みおわったあとに、なにもこころに残りませんでした。「火花」を読んで、なにか論じたいとはおもいませんでした。色々なところで賞賛されていましたが、遠くの国の知らない人のはなしのようでした。 ただ、「火花」は読んでるときはおも

    • 本に挟まったお金

      こんばんは。しびれる古本屋でございます。 最近ネガティブなnoteを書いているので、今日は古本屋らしい話を書いてみたいとおもいます。 実は先日、買取した本のあいだから畳まれた1000円札を見つけました。もちろん査定中だったり、これから買取金額をお支払いする場合など、本の所有者がはっきりしてる場合は見つけたお金をお返しするのですが、買取手続きが終わっており、誰の本だか分からなくなっている本に関しては、申し訳ないですがスタッフがいただいております。 そういえば、つい数年前に

      • 本が変われば人が変わる

        こんばんは。しびれる古本屋でございます。 最近、詩の朗読をしていませんでした。しかし、再び朝に朗読を始めるようになってから、詩の朗読がいかに素晴らしいかということを再確認することとなりました。 人間と言うものは、絶えずいろいろなものから影響受けています。それがテレビである人もいるし、ネットである人もいるでしょう。 もちろん僕は本の影響受けているわけですが、海外文学の古典的な名作を読んでも、自分の文章が良くなることはありませんでした。 海外文学作品を読めば、おそらく考え

        • 閉店する前の整理整頓

          お久しぶりです。 しびれる古本屋でございます。 本日は現状報告です。大した内容ではありません。 じつは古本屋を閉める算段に入っています。時期は今年中を予定していますが、お客様にはお伝えしておりません。 理由はもちろん新型コロナの影響です。とはいえ、当店は現在も赤字ではありません。ただただ、将来を見据えたら今のお店での営業に不安をかんじたからです。首がまわらなくなってから慌てるのはいやなので、はやめの決断をしました。 そういうこともあり、閉店するための準備を続けていますが

        【古典的名作とは、読んで面白い小説ではなく、読み終わった後に面白い小説である】

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        • 詩の朗読
          4本
        • 文章の書き方
          4本
        • 読書にまつわる話
          28本
        • エッセイ
          1本

        記事

          SNSの言葉が変わる

          こんばんは。しびれる古本屋でございます。 最近、Twitterを仕直しました。古本屋の名前で凡庸なことをつぶやくだけなのですが、以前より反応がよくなり、拡散してくれるひともふえました。 もちろん僕はネットで有名になるという野心はないので、純粋にお店のことを知ってもらいたいと考えての振る舞いです。ただ、「Twitterを見ました」といってくださるお客さんとの世間話はとても楽しい。理由はわかりませんが。 「なぜ僕のTwitterに以前より反応してくれるひとがふえたのか?」

          SNSの言葉が変わる

          本について語る資格を持つ

          こんばんは。しびれる古本屋でございます。 さびさの更新となります。以前こちらのnoteで紹介させていただきましたとおり、ただいま本の執筆に挑戦しています。僕はあれやこれや同時できるタイプではないので、スイッチが入ってしまった以上、そちらを優先しております。 そうはいっても読書は毎日つづけています。いそがしくとも、あさは早起きして長編の小説をすこしづつ読む。そして本の執筆もする。ひるから店を開け、本を読み、閉店後にふたたび本の執筆にあたる。そういうお金のかからない生活を繰り

          本について語る資格を持つ

          こころに響く書評を書くために

          こんばんは。しびれる古本屋でございます。 身近なアウトプットとして、読書感想や書評をネットに投稿されているかたが増えてますよね。僕のnoteのタイムラインにも、それらの投稿がよく表示されますので、時おり読ませていただいております。 ただ、不思議なことに、すごく文章がうまいかたの書評を読んでも、こころに響かないことが多々あります。 僕は書評を書いているかたの主観で、「本を読んでどう感じたか」を知りたいのですが、その辺はあまり伝わってこないことがおおいです。 そこで、今日

          こころに響く書評を書くために

          人格を形成する小説を読みたい

          表題の通りです。僕はもう若くはないのですが、残りの人生の中で、できるだけ「人格を形成する小説を読みたい」と考えています、 例えば「罪と罰(ドストエフスキー著)」を読めば、人間の本質を嫌でも知ることとなります。落ちついて話をしいた人が、とつぜん饒舌にしゃべりだす。下品なわらいが漏れる。かとおもったら落ち込む。環境や状況に影響され、一瞬一瞬で変化していく人間のこころの性質を見事に表現しています。フィクションなのにリアル。読むのは大変ですが、僕はドストエフスキーの小説から本当に影

          人格を形成する小説を読みたい

          「今、読むべき本」を間違えない方法

          こんばんは。しびれる古本屋でございます。 「本を読みたい!」と欲求が高まり本を手にとったものの、読んでみたら期待していた内容とは違ってた。そんな経験は誰にでもあるかとおもいます。 だからこそ、多くの人がネットの評価や書評を気にしながら本を選んでいますよね。でも、それらは他人の意見ですし、中には評価を操作しているような人もいます。だからこそ、自分で本を選べるようになることはとても大切です。 そこで、今日は「今、読むべき本」を間違えない方法というテーマでnoteを書きます。

          「今、読むべき本」を間違えない方法

          本を紹介するときには「冗長」に気をつける

          こんばんは。しびれる古本屋でございます。 皆さんは誰かに本を紹介したことがありますか? 僕は古本屋をやっているので、お客さんから本の紹介をたのまれたり、お父さんお母さんから子供に読ませる本の選書を依頼されることがあります。 先日、知り合いのお母さんから子供に読ませる本のチョイスを依頼されました。その子は高校生の女の子で、本を紹介するのは今回で3回目になります。1回目と2回目がうまくいったようなので、今回も引き続きおねがいしますという流れになりました。 しかし、本を紹介

          本を紹介するときには「冗長」に気をつける

          noteを始めて良かったこと

          こんばんは。しびれる古本屋でございます。 明日から新年度がスタートするということで、今日までが旧年度?の一区切り。そこで、最近のnoteの反省をすこしだけ。 このnoteで読書の情報発信をするようになってから、僕の生活はだいぶ変わりました。ただ単に自分でたのしく読書をするだけでなく、読書について考えること、世の中の人につたえたいことを言語化すること、それらが僕の生活の多くを占めることになりました。そのことによりアイディアがうかび、さらに読書がすすむようになりました。 そ

          noteを始めて良かったこと

          【原文の読書】で著者が生きる時代へ

          こんばんは。しびれる古本屋でございます。 現在、講談社学術文庫の「五輪書 (鎌田茂雄著) 」を読んでます。以前パラパラと目を通したときは難しく、理解が及びませんでしたが、今回は腰を据えてとりくんでいるので、なんとか読みすすめられています。 この本は硬い本にありがちな、まず最初に「原文」、そのあとに「訳文」、そのあとに「解説」が続くというスタイル。 できるだけ原文を読んでから解説と訳文を読むようにしていますが、難しすぎる文章に関しては先に訳文を読むこともありますし、場合に

          【原文の読書】で著者が生きる時代へ

          「本を読めない日」にこそ本を買う

          こんばんわ。しびれる古本屋でございます。 「今日はなんだか本を読む気分にならないな〜」どなたにでも、そんな日があるかとおもいます。 実はそれ、古本屋ではたらく僕もです。 とはいえ、僕の本をめくる手は止まりません。それは本に囲まれているという環境によるものが大きいのですが、いろいろ試行錯誤した結果でもあります。そこで、今日は僕が見つけた読書が止まらない小さなアイディアをご紹介したいとおもいます。 そのアイディアとは、「新しい本」を読み始めることです。 以前のnoteに

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          速読は甘美な響き也

          「速読」。この甘美な響きに読書になやむ人々は一筋の希望を見いだし、夢を託すことでしょう。 しかし、いざ速読を習得した者はその効果の範囲を知っており、東大に受かった学生が「東大は大したことがない」と言うように、その効果を得意げに言い散らすことはありません。 その理由は、拾った言葉を頭の中でつなぎ合わせ理解することが「速読」の本質だからです。本を早く読むこと自体に意味があるのではなく、速読より得た知識や見識を役立ててこそ意味がある。 凡庸な人間が「そこそこの努力」で速読らし

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          読書にも修行が必要

          こんばんは。しびれる古本屋でございます。 スポーツは練習をしてから試合に臨みます。仕事も研修をうけてから実務につきます。試験だって勉強してから受けるはず。なのに、読書は難しい古典作品をぶっつけ本番で読む人は少なくありません。 僕は自分の店にならぶ本をガムシャラに読み挫折を味わった(なにも身につかなかった)経験もありますし、実直に読書にとりくみ徐々に成果がでるようになった経験もあります。その結果、僕は【読書にも修行が必要】という考えに至りました。 では、読書の修行とは、い

          読書にも修行が必要

          【スタンバイ】が読書を夢中にさせる

          こんばんは。しびれる古本屋でございます。 昨日は体調が優れず、読書ができなかったのですが、今日はその反動でめちゃくちゃ本を読みました。お店の棚から気になった本を抜き、夢中になって読みました。 でも、大人が「夢中になって本を読む」と言ってもピンとこない人もいるかとおもいます。いや、もしかしたら普通の本好きの人でも淡々と読む人が多く、僕と同じようにいい歳して夢中になるタイプの人は少ないかもしれません。 そこで、今日は夢中になって本を読むようになる段取りを、ひとつだけご紹介し

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