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本を紹介するときには「冗長」に気をつける

こんばんは。しびれる古本屋でございます。

皆さんは誰かに本を紹介したことがありますか?

僕は古本屋をやっているので、お客さんから本の紹介をたのまれたり、お父さんお母さんから子供に読ませる本の選書を依頼されることがあります。

先日、知り合いのお母さんから子供に読ませる本のチョイスを依頼されました。その子は高校生の女の子で、本を紹介するのは今回で3回目になります。1回目と2回目がうまくいったようなので、今回も引き続きおねがいしますという流れになりました。

しかし、本を紹介されるかたであれば一度は経験したことがあるかとおもいますが、本をあまり読まない人に本を紹介すると、最初は感謝されたのに、途中から「まだ前の本を読んで無いから…」とか、本の話が出なくなったりすることが結構あるんですよね。読書がとつぜん止まってしまう人が少なからずいるんです。

前置きが長くなりましたが、このように読書を止めないためにはどうしたらいいでしょうか?

僕の経験から話をさせていただきますと、途中で読書をやめてしまった人のほとんどは「その人にとって負担となる本を手にしたとき」です。

逆を言えば、選書さえうまく続けていけば、そのままずっと本を読む習慣が身につく可能性があります。

では、具体的に、どういった本が負担となるのか?

それは「冗長な本を選んでしまった時」です。

もちろん「難しすぎる本を選んでしまった時」や「興味がない本を選んでしまったとき」も読書は止まりますが、本を紹介する人は本好きなので、その辺はきちんと避けているはず。

問題なのは長さなんです。本好きの人は長い文章が平気ですが、そこまで本に慣れてない人は、短い文章の方が好きなんです。そして、最後まで読めたかどうかに結構こだわるんです。だから短い文章でサクサク読めるような薄い本の方が合うんです。長い本、厚い本はできたら避けたほうが無難です。

極論を言ってしまえば、アマゾンで1円になっている本や、ブックオフで100円で売られているような、読んだらすぐに売ってしまいたくなるような本の方が、初心者には読みやすい本となります。また、僕としては相手が大人であっても、「バカにされている!」と感じない程度の児童書をすすめることもあります。

ただ、間違ってはいけないのは、読みやすい本の中には自分のセミナーの勧誘などのために書いている変な目的の本も混ざっています。そういった本は避けなければいけません。読みやすくても、よい本でなくてはいけません。

失敗の実例としては、少し読書が面白いと感じてきた人に、本人が興味を持っている分野の長めの本を渡してしまったり、太宰治のような誰もがすすめる名作を渡してしまったりというケースです。

あと、それと近い話になりますが、本屋さんで本を読書初心者本人に選ばせるというのも実はリスクがあります。少し読めるようになると、たとえ読書初心者でも、少し背伸びして厚い本に挑戦したくなりますが、その厚い本が読書を止めてしまうことがあるからです。

もし本屋さんで本を選んでいて、読書初心者の人が難しい本や厚い本に手を伸ばしたら、できたらもういっさつ、やさしめの本も買ってあげてください。要は、挫折しそうになった時に、避難先としてもう一つ本を用意しておくことが保険になります。

そして、「1冊を最後まで読まなくてもいいんだよ」ということを教えてあげてください。どんなに読書家の人であっても、すべての本を1冊最初から最後まで読んでいるなんて事はありませんから(おそらく)。

古本屋店主として親子の会話を聞いていると、お母さんが「この前買ってあげた本、まだ読んでないでしょ!」と怒っているところを見かけますが、それは悪手です。3冊くらい買ってあげて、1冊でも読んでくれたらラッキーとおもってあげてください。くれぐれも、「読め!」といわないこと。その方が、長い目でみてきっと本に興味を持つチャンスが生まれてくるとおもいます。

本日も最後までお読みいただき、ありがとうございました。

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