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書籍『植物と叡智の守り人』

ロビン・ウォール・キマラー (著), 三木 直子 (翻訳)
出版社
築地書館‏
発売日 2018/7/25
単行本 496ページ



公式サイト

※「目次」と内容紹介は、詳細な情報が素晴らしい公式サイトより御覧ください


レビュー

 とても広大で豊かな内容でした。
 以下に、幾多の心に残る描写の中より2つの文章を抜粋し、レビューを終えたいと思います。
 ※そうした方が本書を、より多くの方へとアピール出来るように思うため

 私たちと地球の関係についての物語は、本よりも土地そのものに正直に書かれている。そこに書かれた物語は消えることがない。
 土地は、私達が言ったことやしたことを覚えている。物語を語るというのは、土地や、土地と私たちの関係性を復元するための最も強力なツールの一つだ。私たちは、土地に書かれた古い物語を掘り起こし、そしてさらに、新しい物語を作り始めなければならない。私たちは単に物語の語り手であるだけではなくて、物語の書き手でもあるのだから。
 古い物語の糸から新しい物語が織られ、全ての物語はつながっている。

本書より

 人間がベリーの世話をすれば彼らの贈り物は増えるし、なおざりにすれば贈り物は減る。私たちは、相互に与え合うという契約で結ばれている。私たちを養ってくれるものを私たちがお返しに支え、互いに責任を果たしあう約束だ。空のボウルはそうやってまたいっぱいになるのである。
 
 ところがある時点で、人間はベリーの教えを放棄してしまった。豊かさの種をまく代わりに、私たちはことあるごとに未来の可能性の芽を摘んでいる。未来への不確かな道筋は、言葉を見るとよくわかる。
 ポタワトミ語では、土地のことをemingoyak、「私たちに与えられたもの」と言う。英語では土地は「天然資源」とか「生態系サービス」などと呼ばれる。まるで人間以外の生き物は人間の所有物だとでも言いたげに。
 地球はベリーがいっぱいのボウルではなく、露天掘りの鉱山で、掘削ショベルがスプーンだとでも言うように。
 
 隣人がギブアウェイを開いている間に誰かがその家に押し入り、好きなものを奪っていったとしたらどうだろう。その道徳を欠く行為に、私たちは激怒するに違いない。地球も同じことだ。地球は、風や太陽や水のパワーを無償で提供してくれているのに、私たちは地を裂いて化石燃料を盗む。
 私たちが、与えられたものだけを受け取っていたら、受け取った贈り物にお返しをしていたら、今ごろ私たちは、自分が吸い込む空気を怖がらずに済んだのだ。

本書より



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