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ものがたり

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#詩

再生

再生

ぼくらの病気は蔓延している
森は呼吸をやめない
隆起した丘に影が差そうとも
綿毛が散る
ささくれだった夢について
ぼくらの病気は蔓延している
美しさをやめない
不揃いになったコマ送りの
嘘を想う日夜
走り書いた水溜まりのこと

なにもないよ ほんとのはなし
逆さまになった休日
一等よい迷彩の隙間
沈みこむ融けるよに
張り巡らされているのはネットワークだけではない
どうか不遇をかこつことなかれ
汚れ

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肖像

肖像

柔軟な衝立があって
甘噛みしている野生に包帯を巻く

言葉

知性だけ 蒸留される
迎えに来て

付箋だらけの英和辞典
爪に釘を刺すように



数珠は天然石
輝きを増す

干渉を許す
冷たい美術
土嚢でできた
秋の祭典

話者ではない
共通言語ではない

膝の上
世界で一番美しくなりたい

狂いそうに狂っている
折り重ねられた 灰
灰と束ねられた髪
切り取り
畳み
浸けられる

唇はいらな

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綴じる

綴じる

雨でも降ってくれたらいいのに
あい、を探す
私とそれ以外 あい

トー横はひとりぼっちで溢れかえっているらしい
優しい人から死んでいくから
友達と呼べないのは ひとりを選びたくないから

クリーニングに出している上着を受け取りにいかなくちゃ
たばことコーヒーの染み
ぜんぶ漂白されて ね

隠したいから服を選ぶ
ここ から ここ まで 着たい
眼鏡でもいいよ ね

兄に会いたい
たったひとり産み落と

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その暮らしだけが確か

その暮らしだけが確か

カーテンの向こう側に見える
鹿の親子が遠くから見ている

視界はクリアで
どこかで行われている反抗と無縁

素直になれる気がしていた
朝露で濡れた草花
カリカリに焼かれたベーコン

お揃いの枕並べて眠ろう
目が覚めなくてもいいよ

これは愛だ
なんて言えないよ 顔が紅潮する
手と心臓が繋がったみたいです

左右が揃ってない靴下とか
角に溜まったほこりとか
面倒な話し合いはまたどうか

迷子になって

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ラッカー(いろ)

ラッカー(いろ)

人はたいていちたいをさらしているし、
なにゆえにナップサックの紐を調整してみたり
終電前の火災はこだまだし
羽の生えたみずいろは泳いでいるし
しっちょうしてるからぶんれつしてるから
雨天りょうようで持ち直すし
ヘップバーンを身勝手と言うにはまだあおいとおもうよ

フィルムを装填するとき銃口を突き付けるような心理になる
ホッピーを教えてくれたとき 始まって終わった
始まってなかったから終わった
両手

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バグ おこしつ

バグ おこしつ


僕がここにいるのにどれほどの意味があ

残寒 満ち

あいつ
なんて遊び やめ
よう

お前なにしてる
煙草 墓 朽ち

僕がここにいるのにどれほどの意味があ

鱗屑 落ち

酔狂はやめにしつ
席を立たないでください
事故防止のた



ある
様子

ある
様式は美しつ

迫りつ来る 来る くる き

この文字列にどれほどの意味が

ない
様子

ない

なかった

そこには誰も

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忌みの街

忌みの街

早朝はやけに涼しい
煙のまち
日の当たらないところ

公園が取り壊しになる
老朽化が進んだ遊具と錆びたフェンス
団地の3番公園
あいつの家 電線 木 俺の家
スーパーのゲームセンターで遊んだ機体
あいつ 新居に置く夢もう叶えたか

夕日と小雨の粒とひかり あとペトリコール
バスを逃すと次は30分後
走る、靴が濡れることを構わず
道はところどころ税金でパッチワークされてでこぼこしている
あいつの親の

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反魂

反魂

昨日の快晴が嘘みたい
眺めているだけで参加できない夢めとあなたは言った
搾取されては余ったものをうまいうまいという
ハンバーガーかハンバーグかの違い

ほんとに?ほんとうに?ほんとーに?
ほーーんとに?

朝目が覚める 窓を開けても見慣れない風景が流れる
はやい たかい
人は鏡と教えられた人だけが見える

食べたグリーンカレーが美味しかった
小さなじゃがいもが柔らかかった
辛くて鼻水が止まらないや

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