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忌みの街

早朝はやけに涼しい
煙のまち
日の当たらないところ

公園が取り壊しになる
老朽化が進んだ遊具と錆びたフェンス
団地の3番公園
あいつの家 電線 木 俺の家
スーパーのゲームセンターで遊んだ機体
あいつ 新居に置く夢もう叶えたか

夕日と小雨の粒とひかり あとペトリコール
バスを逃すと次は30分後
走る、靴が濡れることを構わず
道はところどころ税金でパッチワークされてでこぼこしている
あいつの親の肌もこんなだったか


"よくオレンジジュースが出た。
俺の家ではジュースが常備されていることはまずなかったから、ありがたかった。
必ず菓子が添えられていて、なぜかサッポロポテトつぶつぶベジタブルがよく出た。
あいつは「またかよ」と親に文句を言っていたが、俺は羨ましかったよ。
ひとつ皮肉なのは、つぶつぶベジタブルはベジタブルを名乗りながら肌を綺麗にしないということだ。

走る、学習道具を詰めた鞄が重たい。
小さい弁当箱を持たされている。
勉強は無駄にならない。"


街は変わらない
知識の証明には程遠い
変わらなくていいのかもしれない
忘れていく

忘れる
覚えることも不自由になる
3番公園のシャボン玉は屋根はおろか2階まで飛ばずに割れた

朝はニワトリが 夜はカエルが鳴く
西日が射し込む
ここは明るい、目が眩みそうだ

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