Vol.004 「自分」との渉り合い(1)〜ひよこクラブの基本精神《4 ベテランにはできないことをやれ 》 について〜
③毎朝、早めに教室前やフロアに立って生徒に「おはよう」する。について
教育現場でも働き方改革が進んで、規定の労働時間外での労働については以前より遙かに厳しく制限されています。
また、最近は若い先生方の考えも、時間に間に合えば問題ないという考えの方が少なからずいらっしゃるかと思います。このような考えは支持されるべきであり、「昔はああだったこうだった」と懐古趣味に走るつもりも毛頭ありませんが、価値観が大きく変わったということを、この記事を読んでくださっているみなさんと共有しておきたいので、昔の事例を挙げさせていただきます。
会社ならいざ知らず、もともと教員は一国一城の主的な独立性の高い職業です。
先輩と後輩はいても、上司と部下の関係はない。
善くも悪くもこれが一般的な教員の世界です。それでもかつては若手は早く出勤して職員室を開けたり自習室を開けたりポットの水を入れ替えて沸かしたりして、後は教材研究をする人が大勢いました。
《アオキ先生の話》
ここで、個人的な思い出話、させてください。うんざりな方も、たぶん読んだら何かのヒントになるのではないかと思いますので、戯言につきあってください。
教育って、というと難しくて考えにくくなりますが、学校の先生って、、、
と、事あるたんびに想い出すことが2つあります。
それはどんなことかと申しますと、
1つ目は、まだ私が教員になりたてのころの話なのでもう20余年昔のことになりますが、当時、アオキ先生(もちろん仮名です)という若い先生がいらっしゃいました。
私よりひとつ年が若かったかと思います。でも私は29才で今の学校に勤めるようになったので、アオキ先生の方が先輩でした。
当時から私はわりに早め(7時半ぐらいです。8時15分から始業時間です。)に学校に来ていたんですけれども、アオキ先生はいつももっと先に来ていて、ちょうどそういうタイミングだったんでしょうが、毎朝、たまたまアオキ先生が自分のHR教室から出てくるところに出くわしていました。
教員用下駄箱の並びにある1階教室が、アオキ先生の担任していたクラスです。
当然、「こんな朝早くに生徒がまだ来ていないのに、教室で何やってんだろう」って、なんとなく気になっていました。
ある朝、「いつも何してんスかあ?」と聞いてみました。するとアオキ先生は、
「クラスのね、換気してるんですよ。あいつらほっとくと一日窓開けないで空気悪くなるでしょ。健康に良くないですよ」
と答えました。
「それに、窓開けて空気入れ替えると気持ちいいじゃないですか」
そう付け加えました。
まあ、それだけの話です。
2つめは、これは現在の話でして、ある先生なんですが、廊下にゴミが落ちていると、どんなに小さなものでも必ずデカくてイカつい身体をサッと屈めてゴミを拾う姿を、遠くで近くでよく見かけます。
常に立ち居振る舞いが流れるようで、一分の隙もないゴルゴ13みたいな先生だなあって思っていて、心の中ではごく個人的に「デューク東郷」とか「オーッ、ゴルゴ、オーッ、ゴルゴ」って呼んでリスペクトしてるんですけど、その先生がフロアや階段に落ちている小さなゴミを見過ごすことなくスナイプするわけです。
その先生が歩いた後には、綿ゴミひとつ落ちていない。
これもまあ、それだけの話です。
2つともそれだけの話なんですが、そのことを想い出しては、「学校の先生って、こんなだよなあ」と何故だかしみじみと思います。
「健康管理しっかりしろ」「きみたちの体調が心配」って365回HRで言うことも大切なことです。
ただ、生徒に「先生さみいよ〜っ。窓開けんなよ」と文句言われながらも毎朝一番にHR教室に入って、窓を開けることはもっと大切なことだと思います。
また、「ゴミの分別をきちんとしなさい」「ゴミをきちんと捨てなさい」と365回HRで言うことも大切なことです。
ただ、自身が誰よりもよく気づき、自らサッと拾うことはもっと大切だと思います。
たとえ生徒の誰一人、そのことを知らないまま卒業していったとしても、です。
思い出話はここまでです。みなさんはこの2人の先生のやっていた(やっている)ことをどう思いますか? 特に何も思いませんか?
次回はこのエピソードについて、みなさんにぜひ考えていただきたいことをお話しいたしますので、そこんとこよろしくお願いします。
最後まで読んでくださってありがとうございます。感謝します。
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