「花束みたいな恋をした」夢では食えない男が妥協を続けた悲劇を見たような感じがしました
Youtubeに突然オススメが出ました。そこで「花束みたいな恋をした」の考察および解説の動画があり興味を持ちます。
久しぶりにひとりになってお部屋で映画を楽しみました。
仕事が終わったらすぐにでもみたいと思った映画でした。
非常に男女の価値観のズレをめぐる人間関係の理解を深めてくれるような気がしました。
燃えるような恋をしてだんだんすれ違いが生まれていき気になる最後はどうなっていくのかな?
ネタバレはしたくないのでまだ見てない方は以下の文章を読むのをためらってみてくださいね。
一応念の為に空行をこさえておきます。
では、以下ネタバレを気にせずに感想を。
音楽はLとRで分けて聞くのはおかしいから始まるという筋書き。
今になって思います。LとRというのは実は男女の違いという描写の伏線だったのではないかなんて。
LとR。ステレオの音楽。ステレオな暮らし。ステレオな男女。
二股のイヤホンプラグを買えばちゃんと二人でLR揃った音楽は聞けますね。
そこまで用意しないのが惜しいといえば惜しいです。
二人のプレゼント交換ではBluetoothのワイヤレスイヤホンが選ばれていたというのも最後の場面では切なく感じました。
相手の生活を邪魔しないためのイヤホン。自分の世界を殻のように守るだけのためのイヤホン。
そんなふうに読むのはちょっとムリがあるかもしれません。
でもイヤホンはこの映画の大きなテーマになっていたような気がします。
学生生活から始まる恋が社会人生活に変わったら何を尊重して何を我慢していくのか
最初に主人公の麦と絹という間柄とてもまぶしいと思っていました。
でもだんだんと麦が生活のために稼ぎにいくところからギクシャクしはじめますね。
簿記2級を取った絹のほうが先に就職を決めてしまい絵で食べていけたら良かった麦は3カット1000円という薄給に心折れてしまいます。
あそこはとても切ないものを感じました。
1カット1000円でも安いのに3カットで1000円も仕事がもらえないなら
イラスト屋さんの無償イラストでいいという現実に書道でお金を稼ぎたいという私の夢に対してめちゃくちゃ刺さってきています。
月に5万円の仕送りをしていた麦のお父さんは地元に戻ってこない息子への経済的な援助を打ち止めしてしまいました。
子どもが素敵な異性を見つけて夢に向かって努力してるのを非現実的だと?応援しない親ってひどくはないけれど切ないものを感じます。
絹の両親も男に責任を求めて早く稼げと圧力をかけてきました。
絹は男の甲斐性みたいな旧来の価値観には疑問を持ってるようでした。
ところが麦は結局自分が家庭を持つことにばかり夢見て絹の気持ちに歩み寄ろうとしていません。
なんて切ないんでしょうね。二人の時間よりも二人の生活を成立させるために稼ぐための手段が目的に化けてしまいました。
ブラック企業に内定をもらってしまった麦。
絵を描くにも仕事は5時には終わってという内定をもらった際の良い条件も見事に消え去ってしまいます。
思い出のパン屋さんがつぶれたという絹の報告に麦は無神経にも近所のパン屋で買えばいいという返信。
あの場面は「え!思い出のお店なのにさみしいね」ぐらい気を効かせて欲しかったです。
稼ぐためには情緒的な二人の結びつきがどんどんと弱体化していく様が切ない。
もしも二人の間に子どもができてしまったらまた話の筋書きが大幅に変わってしまいそうですね。
あと仕事の間に読んでみたらという絹から渡された本を麦が営業車のトランクに投げ込んでしまう場面。
ひどいことするなぁと思って見てました。
本屋さんで麦が人生の勝算という本を選んでいるのに絹がそれを見てた時の表情がとても複雑だった気がします。
絹は麦に息抜きにゼルダの伝説でもしたらというのに仕事を家にまでも持ち込んで二人の時間にゆとりがないのにはやりきれないものを感じました。
麦の絹へのプロポーズは見事に空回りしてたかのよう
印象に残っていた麦からの絹へのプロポーズの空回りは合計で2回はあったのかな?
1度目。レス3ヶ月なのに結婚を提案する麦に絹が?となっていましたし、いつまでも学生生活が続くわけないと二人の生活が続けたくないのかともう隙間ができてるのにどんどんハードルを下げていこうとする麦の絹に対する思いはやはりほろ苦かった。
あと絹のコミュニケーションとしての性生活と麦の欲を解消するための性生活という価値観のすれ違いがYoutube動画で指摘がされていました。
ところが場面終盤になってプロポーズする際の麦にとっては子どもを作るという手段では性生活してもいいみたいな身勝手さがあったような気がします。
2度目のプロポーズ。友人の結局式が終わった後でのファミレスでの場面。
別れようという決意をふたりとも固めてしまうも麦はやはり別れたくないという気持ちを絹に打ち明けます。
初々しい付き合い始めのカップルに過去の二人を見てしまいふたりとも泣いてしまう場面は私も思わずもらい泣きしておりました。
あの初々しいカップルがいなかったら絹も妥協して麦の説得にうなづいてしまう余地もあったのかな?
高齢の夫婦のパン屋さんの閉店というのも実に二人の関係の終わりを暗示していたかのようで切なかった。
さて、もしも絹が絵のために頑張る麦を応援しようと生活を切り詰めてまで努力していたらどうなっていたんでしょうね。
みすぼらしい生活をしたくないと絹は麦に愛想を尽かすような展開になったんでしょうか?
いや絵を描く麦が絵で生計を立てるようになったとしても商業的な絵を書くのと自分の描きたい絵を描く葛藤でやはり絹へひどいことするような気もします。
仕事も暮らしもそこそこでいいのに。
男女間の対等に付き合うという関係性の成立というのは実に難しい。
ここまでの長文にお付き合いいただきありがとうございます!
皆様におかれましては生活のために夢を犠牲にしないように仕事をしすぎないままで豊かな人間関係が維持できますように。
そしてまたの機会にもお会いできますように。
私は生活が大好きなので最後にここまで読んでくださった方には次の過去の映画をオススメしておきたいと思います。
深く考えたら今度は頭を空っぽにするのもいいと思うんです。
よかったらどうぞ。
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