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way_finding
2021年2月25日 13:00
(このnoteは有料に設定していますが、最後まで無料でお読み頂けます)※ウンベルト・マトゥラーナとフランシスコ・バレーラによる『知恵の樹』を読む。マトゥラーナとヴァレラは神経生物学者であると同時に、生命とは何か(生命と非生命のちがいはどこにあるのか)を問う中で、分節以前・区別以前からの分節化のプロセスを区別の体系たる言語によって思考する仏教の思想に接近したというおもしろい方々である。認
ばる|専業読書家(人文学)
2021年2月1日 17:49
先日の記事で、本書の面白さについておおいに語った。本稿では主に、弁論集第6巻で扱われる具体的な裁判記録を手引きとして、当時の法体系とそれを支える思想、そこから垣間見える古代ギリシアの価値観について、具体的に触れていきたい。2,000年以上前の文化と現代の文化の間に横たわる大きな断絶と比べると、両者の法制度の間にある共通点の多さがよほど目を引く。上の記事で書いたのは、そうした側面だった。
かぜかおる (KAZE Kaoru)
2021年1月24日 18:11
ハンナ・アレント『カント政治哲学講義録』読書ノートの後編です。今回は第十一講義から第十三講義をまとめます。全体を貫く謎は「なぜ判断が趣味に基づくのか?」で、判断と構想力や共通感覚の関係性が語られています。分断が話題になる昨今ですが、アレント=カントから「その判断、自分の身内以外にも説明できるの?」と問われ、背筋の伸びる内容になっています。エリートが自己利益のための判断を繰り返しているのが分断の
2021年1月17日 17:09
ソ連の天才的心理学者ヴィゴツキーが提唱した「発達の最近接領域(Zone of proximal development)」理論は、現在の教育改革を支える大切な概念の一つです。学習科学の基礎概念の一つである「足場かけ」の元ネタでもありますし、個人的には「主体的・対話的で深い学び」が「這い回る経験主義」に堕落しないための鍵概念でもあると思っています。教育学の講義では必ず触れられ、様々な教育の議論で引用
2020年11月15日 22:07
これは良かった。すごくよかった。小説を読む全員に、ぜひとも一冊ずつ持っていてほしい。「批評理論」の格好の入門書文学作品の読解と批評の技法として発展を遂げてきた「批評理論」。この領域が本格的に産声を上げたのは18世紀末と、意外にも歴史は浅いのだが、現在に至るまで様々な理論が提出されており、素人にはややとっつきにくい。本書は、そうした批評理論の全体像や、各理論の成立過程と概略を「批評史」として