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#政治

哲学者アレントは、大衆を政治的に動員するプロパガンダには、一定の特徴があることを指摘していた

哲学者アレントは、大衆を政治的に動員するプロパガンダには、一定の特徴があることを指摘していた

哲学者ハンナ・アレント(1906~1975)は1951年に『全体主義の起源』という著作の中で、全体主義が形成される過程を独自の視点で検討しているのですが、特に全体主義の確立を目指す政党が大衆を組織する際に使うプロパガンダに一定の特徴があることを指摘していました。

アレントの説によれば、プロパガンダによって政治的目的を達成するためには、プロパガンダの内容に新規性、独創性を持たせてはならず、かつその

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ハンナ・アレント『カント政治哲学講義録』読書ノート(後編)

ハンナ・アレント『カント政治哲学講義録』読書ノート(後編)

ハンナ・アレント『カント政治哲学講義録』読書ノートの後編です。今回は第十一講義から第十三講義をまとめます。全体を貫く謎は「なぜ判断が趣味に基づくのか?」で、判断と構想力や共通感覚の関係性が語られています。

分断が話題になる昨今ですが、アレント=カントから「その判断、自分の身内以外にも説明できるの?」と問われ、背筋の伸びる内容になっています。エリートが自己利益のための判断を繰り返しているのが分断の

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緊縮財政は地方を滅ぼす

緊縮財政は地方を滅ぼす

本日はこちらのニュース。

コロナ財政難の自治体、国が支援へ…地方消費税の減収分を補填

総務省は、新型コロナウイルスの影響で財政難に苦しむ自治体向けに、今年度の地方消費税などの減収分を地方交付税で支援する構えだ。実現すれば、初めての対応となる。武田総務相が近く正式表明する。

政府が地方自治体に向けて支援を行うそうです。やっとかよという感じですが、何もしないよりはマシです。

緊縮財政が地方自治

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暴力を独占する近代国家は、いかにして形成されたのか『暴力と社会秩序』の書評

暴力を独占する近代国家は、いかにして形成されたのか『暴力と社会秩序』の書評

政治史を研究していると、現代の先進国のような形態の国家が西欧で見られるのは比較的最近のことだったことに気が付きます。特に19世紀より前の時代の国家においては、紛争を平和的に解決する司法システムが十分に機能しておらず、内乱やクーデターが起こることも珍しくありませんでした。

政治的な変動に伴って武装勢力が出現し、軍事的な衝突が起こる事態は、今の先進国の政治では考えにくいことですが、古代から近世までの

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