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そもそも魔王って倒さなきゃ駄目なのか?【第3章 ラスン救済編 9】

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ー活気を失った村 ラスンー




マサアキ    グリル      リリアル
HP 47      HP 40    HP 34
MP 0        MP 9      MP 0
LV.9          LV.7        LV.8



「…こちらになります…我らが修道院です…」


お~、ここが…



修道院

ボロ~ン…
【古びた建物が佇んでいる!】



おぅ…ふ…
「おぅ…ふ…」
「おぉ〜〜ッ!」


「…いかがでしょうか?…」


「…え~と、い…いいんじゃないすか?古風な感じでおもむきあるっすよ」

「ね…ねぇマサアキさん?」


あ……あぁそうだな…


「やっぱりボロッボロだ~!うははは!!」


グリィィィルッ!!!

やっぱりとか予想してたみたいに言うんじゃねぇ!!

ボロボロだからってお化けが出るとは限らねぇだろが!


「マサアキさん!!どさくさ紛れにあなたの本音が少し漏れてるっす!!」


「…お化…け?……」


あ!いやぁ今のはその…ちげーんだ…

壁変色して腐ってんじゃねーか、とかそういう事を言いたいんじゃなくてだな…!


「マサアキさんッ!!あなたも、もう喋らない方が良いと思うっす!」


「……………」


おいやべーよ…なんかウンともスンとも言わなくなったぞ

怒ってんの?怒ってんのかこれ?

ちょっと表情見にくいから見て


「怒ってるに決まってるでしょう!目の前であれだけボロくそに言ったら!」

「とにかく、これ以上失礼な言動は慎んで下さい。仮にも自分らお邪魔する身分なんすからね!」


そ、そうだよな…

すまなかったリリアル、気にしないでくれ。腐ってんのは俺らの方だったな

だから今言ってた事は水に流してくれ。頼む


「マサアキ~見て見てこれ!家にたくさんきのこ生えてるぞ!これ食えるのかな?」


グゥゥゥゥリルゥゥゥ!!

地味にダメージのデカそうな発見すんな!!


「なぁリリねーちゃん!何でお家にきのこ生えてるんだ?ふつーは生えないよな?」


グリルの快進撃が止まらねぇ!それ以上踏み込むなこのクソガキ!!

純真過ぎる質問は時に残酷なんだ!



バタン…!
【修道院の扉が勢いよく開いた!】

「リリィ!?帰って来たの!?もう!連絡なくて心配だったんだか──!!」


ん?


「ひ、ひぃ…!?」

バタン…!!
【扉は勢いよく閉められた!】


な、なんだぁ?誰だ今の?


「………今のは…私と同期のシスター見習いノエラちゃんですね…」


ノエラちゃん?出てきたと思ったら引っ込んじゃったけど、どういうこと?


「…さぁ?……舌舐めずりでもしました?…」


なんでだよ

今の間なら魔物だってしねーぞ


「…じゃあ目つきでもイヤらしかったのではないですか?…きっとそれに怯えたのでしょう…可哀想にノエラちゃん…」


なんか……言葉にトゲあんな

やっぱりさっきの怒ってる?


「…いえ別に……」

「……さぁ…そんな事より早くボロくて腐ったお化け屋敷みたいな修道院に入りましょう…」


入りにくいわ。ごめんて

思ってない。思ってないよ


「……つーん…」


あぁ駄目だ。無視された

これはだいぶ根に持ってるわ。どうしようウマオさん


「自業自得でしょう。誠心誠意謝るしかないっすね」


だよな…


「おいら一番のりがいい!」

ベキッ!
【修道院の出入り口の床が抜けた!】


「お〜?うはは!マサアキ落ちるぞここ!気をつけろよ!」



ギリギリ…!
【リリアルの攻撃!】

【マサアキは首に4のダメージを受けた!】


いやもう…無駄っぽい……謝っても…!


マサアキ    グリル      リリアル
HP 43      HP 40    HP 34
MP 0        MP 9      MP 0
LV.9          LV.7        LV.8



「………ふう…なんとまぁ礼節を欠いた人達なのでしょう…信じられませんよ…」

「…私のアンガーマネジメントが完璧だったから良かったものの…もしこれがお母様なら皆さん確実に死んでいましたよ…」


散々人の首絞めた後に言うことかね…

まぁ元はと言えば俺らが悪いから何も言わんけども


「お母様と言うのは、この修道院にいる方すか?」


あぁ、あの連絡取ってた。例の?


「…えぇ…お母様はこの修道院…ひいてはラスンの村民を束ね取り仕切るシスターです…いわばラスンの長ですね…」

「…皆からはマザーと呼ばれ親しまれています…」


ヘぇ〜、じゃあ結構すごい人なんだ?お前の母ちゃん?


「…母ちゃん…というのが適切かは分かりませんが…確かにすごい人ではありますね…」


………?

そういや、チェーンソー壊した時も……


「…形見はお母さんのです…先ほどお話ししてたのはお母様です…」

第3章 1話より


結局あれ…どういう意味なんだ…?



「…さて…では気を取り直して中に入ろうと思いますが…その前に皆さんにはやってもらいたい事があります…」


やってもらいたい事?


「…扉の前に清めの塩が置いてありますから…一つまみでいいので自分の体に振りかけてください…」


お、これか?


【マサアキは清めの塩を手に入れた!】

清めの塩


はぇ~…そんなんやんなきゃ家に入れねーんだ?


「これには何の意味があるんすか?」


「…簡単な禊の儀式のようなものです…いかに人間の鑑と言われる程の良心を持った人にも…その内側には必ず邪心や邪念といったものが存在します…そういうものを形式的に祓い落とす為にあるのがこの清めの塩なのです…」


要は神聖な手洗いみてーなもんか?

ほんと、案外しっかりしてんだな


「…案外は余計です…」


「一つまみ程度でいいんすか?」


「…はい…三回程が本当は適当なのですが…この清めの塩もタダではありませんし…量が限られていますので…今回は…」


ふーん、こういう所でも苦労してんのな


「…申し訳ありません…本音を言うと…人のお家を容赦なくこき下ろす皆さんにはバケツ一杯分くらい頭から被せて差し上げたいところなのですが…」


だから、悪かったって。めっちゃ言うなぁ…

「てか自分もすか…?失言した覚えないんすけど…」


「…その方が…見てる側からしても面白いのに…」


おい、今面白いとか言ったか?しっかり聞こえたぞ

お前も被らせるからな。もしその時が来たら



「…───さて…皆さん済みましたか?…」


あぁ
「はい」
「え、おいらまだだぞ?」


「…では入りましょう…」


「ちょっと待って!おいらまだだって!」


なんだよグリル、うるせーな


「なんだよって…皆がやったやつ、おいらまだやってないぞ?白いのパッパって」


おっまえ…わかってねーな

いいか?お前は魔族なんだぞ?あんなもん振りかけたらどうなるのか、少しは想像してみろ


「え?どうなるんだ?」


どうなるんだって………そりゃあお前…

溶けるだろ


「溶けるの!?」


「と、溶けるんすか?」


「…いえ…まぁ何らかの反応は出るでしょうけど…無論魔族相手にやったことがないので…」


「…あ…しかしナメクジも塩で溶けると言いますし…もしかしたら溶けるかもしれませんね…」


「おいらナメクジじゃないよ!?」


やってみるか?もしかしたらもっとエグい事になるかもしれないぞ?


「うぅ…じゃあ怖いからいい…」


分かりゃいいんだ

つーかそもそもいいのかよ?魔族を修道院内に入れて

完全なる暴挙だろ。これ


「…ここまで来たらもう良いでしょう…どうせバレませんバレません…」


バレるとかバレないとか、あんまりシスターの口から聞きたくねぇなぁ…



ーラスン 修道院ー

修道院 玄関


へぇ~、中は思いの外ボ……


「………何ですか?…」


…くちゃんの好みに合った造りをしてるじゃねーか。いいね!


「………そうですか…それは良かったです…」


やべぇやべぇ……


「お~?何だこのでっかいお皿!?おいらと同じくらい大きいな〜」

ガタガタ…バリンッ!
【グリルは大きなお皿を落として割った!】


「あ…」


「中、結構広いんすね。何人位のシスターさんが住んでるんすか?」


「…私を入れないで丁度20人ですね…小さな村にしては多い方だと思います…」



「え、液体のり…!」

ガタン…!ガシャア…!!
【グリルは大きな壺を落として割った!】

「ぅ、あぁ…」



「………マサアキさ〜ん…」


わかってる。さっきの塩貰っていいか?


「ごめんなさい!ごめんなさい!」





「───こちらですマザー!リリーが帰ってきたと思ったらボロボロで!!怪しい人たちがっ!」


「やっぱり…!リリちゃんのマギアフォンが突然途絶えたからイヤな予感はしてたのん…!慘鬼君だけでは心許なかったというのねん…!」

「あぁ…ごめんリリちゃん!無事で居てねん…!」











ドスン……ドスン…




ドスン…ドスン…




……………なんか、奥の方からドスドスいってね?何この音?


「…あ…この足音は…お母様が来ます…」


足音だって?こんな床を叩くような激しいのが?

お前の母ちゃん大怪獣?



ドスンドスン…!!


「マサアキさん!次第に大きくなってきてるっすよ!」


おいおい…やべーってこれ!殆ど地震じゃねーか!


「マサアキ!前からなんか来たぞ!!何だあれ!?」


「…お母様です…」


どんどん近付いてくる!!何だありゃ!?


「…だから…お母様です…」


「リリッちゅわぁぁぁぁぁぁんッ!!!」



ギャアァァァァァッ!!!



〜To be continued〜

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