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特攻文学としての《ゴジラ-1.0》

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太平洋戦争末期、小笠原諸島に位置する大戸島の守備隊基地に不時着した特攻隊員・敷島浩一(演:神木隆之介)が偶然、ゴジラに遭遇したところから始まる映画《ゴジラ-1.0》。『特攻文学論…
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特攻文学としての《ゴジラ-1.0》|第19回|井上義和・坂元希美

特攻文学としての《ゴジラ-1.0》|第19回|井上義和・坂元希美

(構成:坂元希美)

⑲最終回【特攻文学要素メーター】発表!
坂元 連載で取り上げた映画作品の【特攻文学要素メーター】の発表です。メーターは0~5レベルで各要素の濃さを表しています。

《ゴジラ-1.0》
創作特攻文学映画の新境地を切り開く!第1~8回参照

未来     ■■■■■■ 5
父になる   ■■■■■■ 5
自発的な行動 ■■■■■■ 5
祖国の想像力 ■■■■■■ 5
カタルシス 

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特攻文学としての《ゴジラ-1.0》|第18回|井上義和・坂元希美

特攻文学としての《ゴジラ-1.0》|第18回|井上義和・坂元希美

(構成:坂元希美)
(タイトル写真:山﨑孝泰)

⑱創作特攻文学映画の感動を言語化するということ
坂元 創作特攻文学映画とは何か、その作品から受ける感動はどこから沸き起こるのかを《ゴジラ-1.0》を軸にして、読み解いてきました。

井上 エンターテインメント作品、とくに特攻エンタメについては、これまで政治的正しさ(特攻を美化していないか)や歴史的正しさ(史実から逸脱していないか)などの基準に照らし

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特攻文学としての《ゴジラ-1.0》|第17回|井上義和・坂元希美

特攻文学としての《ゴジラ-1.0》|第17回|井上義和・坂元希美

(構成:坂元希美)

⑰ビミョーに特攻文学? 《ディープ・インパクト》

なぜか内容をよく覚えていない「彗星の地球衝突を回避する物語」坂元 「まだまだある特攻文学映画」のラストとなる紹介映画は、《ディープ・インパクト》(1998年5月)です。監督はミミ・レダー、スティーヴン・スピルバーグが製作総指揮の大作で、なんと《アルマゲドン》(1998年7月)とテーマがド重なりしている上に公開されたのがほぼ同

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特攻文学としての《ゴジラ-1.0》|第16回|井上義和・坂元希美

特攻文学としての《ゴジラ-1.0》|第16回|井上義和・坂元希美

(構成:坂元希美)

⑯まだまだある特攻文学映画
《ターミネーター1、2》 

未来にコミットするのか、操作するのか
坂元 今回は近未来SF作品《ターミネーター》シリーズから、映画の《ターミネーター2》です。1作目込みで考察します。

 特攻文学はサイボーグでも成立するのか、ちょっと自信がないのですけれども、「未来」「死」「父」「自発的な行動(brave)」が揃っていて、観た人にカタルシスをもたら

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特攻文学としての《ゴジラ-1.0》|第15回|井上義和・坂元希美

特攻文学としての《ゴジラ-1.0》|第15回|井上義和・坂元希美

【番外編 2】国葬儀のルールなき日本で公に尽くした名もなき死者たちを「弔う」には (取材/構成:坂元希美)

 1926年に定められた国葬令が戦後に効力を失って以来、どのような人をどのような場合に国葬儀とするのか、明確なルールがこの国にはない。安倍晋三元首相が2022年7月8日に凶弾に倒れ、「葬儀を国において行う」と閣議決定してから、葬儀実行幹事会が3回の会議を行って一般献花の実施要項まで決まった

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特攻文学としての《ゴジラ-1.0》|第14回|井上義和・坂元希美

特攻文学としての《ゴジラ-1.0》|第14回|井上義和・坂元希美

【番外編 1】安倍元首相の国葬を「語られた言葉」から考える国家として弔うべきなのは総理経験者だけではないはずだ

(取材/構成:坂元希美)

 2022年9月27日、国民の賛否が激しく割れる中で安倍晋三元首相の国葬が営まれた。第二次世界大戦後では1967年の吉田茂元首相以来、2回目の国葬である。会場の日本武道館周辺では、献花に訪れる人たちの長蛇の列と「国葬反対」「弔意の強要をやめて下さい」等のサイ

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特攻文学としての《ゴジラ-1.0》|第13回|井上義和・坂元希美

特攻文学としての《ゴジラ-1.0》|第13回|井上義和・坂元希美

(構成:坂元希美)

⑬まだまだある特攻文学映画 《ラスト・フル・メジャー》と《ハクソー・リッジ》
ピッツとドスの違いはなんだ

公の死者と命のタスキ中継者坂元 ジミー・バー(ピーター・フォンダ)という頭に銃弾を受けた帰還兵は、深いPTSDから小さな一歩を踏み出して、ピッツェンバーガーの名誉勲章授章式に当時の軍服を着て出席することができました。さらにピーターズ空軍長官の演説によって命のタスキの中継

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特攻文学としての《ゴジラ-1.0》|第12回|井上義和・坂元希美

特攻文学としての《ゴジラ-1.0》|第12回|井上義和・坂元希美

(構成:坂元希美)

⑫まだまだある特攻文学映画 《ラスト・フル・メジャー》
兵士に贈る「最高の名誉」とは

★ネタバレ注意★
映画《ゴジラ-1.0》《ラスト・フル・メジャー》のネタバレが含まれていますので、知りたくないという方はこの先、ご遠慮ください。そして、ぜひ作品鑑賞後にまた読みにいらしてください。

ベトナムで戦死した衛生兵に報いたい
坂元 今回は2019年公開のアメリカ映画《ラスト・フル

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特攻文学としての《ゴジラ-1.0》|第11回|井上義和・坂元希美

特攻文学としての《ゴジラ-1.0》|第11回|井上義和・坂元希美

(構成:坂元希美)

⑪まだまだある特攻文学映画 《インデペンデンス・デイ》《アルマゲドン》
Brave Storyが祖国を立ち上げる

★ネタバレ注意★
映画《ゴジラ-1.0》《インデペンデンス・デイ》《アルマゲドン》のネタバレが含まれていますので、知りたくないという方はこの先、ご遠慮ください。そして、ぜひ作品鑑賞後にまた読みにいらしてください。

《インデペンデンス・デイ》
人類絶滅の危機に命

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特攻文学としての《ゴジラ-1.0》|第10回|井上義和・坂元希美

特攻文学としての《ゴジラ-1.0》|第10回|井上義和・坂元希美

(構成:坂元希美)

⑩まだまだある特攻文学映画 《Fukushima 50》
★ネタバレ注意★
映画《ゴジラ-1.0》《Fukushima 50》のネタバレが含まれていますので、知りたくないという方はこの先、ご遠慮ください。そして、ぜひ作品鑑賞後にまた読みにいらしてください。

特攻隊が出てこない「特攻文学」作品もあるはず
坂元 本連載の第4回で《ゴジラ-1.0》における特攻文学的な要素は、特に

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特攻文学としての《ゴジラ-1.0》|第9回|井上義和・坂元希美

特攻文学としての《ゴジラ-1.0》|第9回|井上義和・坂元希美

(構成:坂元希美)

⑨まだまだある特攻文学映画  《あの花が咲く丘で、君とまた出会えたら。》

★ネタバレ注意★
映画《ゴジラ-1.0》《あの花が咲く丘で、君とまた出会えたら。》のネタバレが含まれていますので、知りたくないという方はこの先、ご遠慮ください。そして、ぜひ映画鑑賞後にまた読みにいらしてください。

特攻文学が人を感動させるのはなぜか、改めて考える
坂元 特攻文学で人が感動するというの

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特攻文学としての《ゴジラ-1.0》|第8回|井上義和・坂元希美

特攻文学としての《ゴジラ-1.0》|第8回|井上義和・坂元希美

(構成:坂元希美)

⑧なぜか日本だけに襲来するゴジラ 専守防衛を戦え!
★ネタバレ注意★
映画《ゴジラ-1.0》のネタバレが含まれていますので、知りたくないという方はこの先、ご遠慮ください。そして、ぜひ映画鑑賞後にまた読みにいらしてください。

人びとの心をつなぎ、力を発揮させる「祖国スイッチ」坂元 第7回で「祖国」というキーワードが出てきました。最初に少しおさらいしておきたいのですが、「祖国」

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特攻文学としての《ゴジラ-1.0》|第7回|井上義和・坂元希美

特攻文学としての《ゴジラ-1.0》|第7回|井上義和・坂元希美

(構成:坂元希美)

⑦更地から立ち上がる建国神話 「祖国」が生まれるとき
★ネタバレ注意★
映画《ゴジラ-1.0》のネタバレが含まれていますので、知りたくないという方はこの先、ご遠慮ください。そして、ぜひ映画鑑賞後にまた読みにいらしてください。

祖国の想像力は「更地」から生まれる井上 太平洋戦争後の更地となった東京で敷島たち赤の他人同士が出会い、コミュニティーをつくり、チームとなり、家族をつく

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特攻文学としての《ゴジラ-1.0》|第6回|井上義和・坂元希美

特攻文学としての《ゴジラ-1.0》|第6回|井上義和・坂元希美

(構成:坂元希美)

⑥焼け跡で出会った他人同士がコミュニティーをつくるには

★ネタバレ注意★
映画《ゴジラ-1.0》のネタバレが含まれていますので、知りたくないという方はこの先、ご遠慮ください。そして、ぜひ映画鑑賞後にまた読みにいらしてください。

子どもを守るためにコミュニティーをつくる他人たち坂元 敷島にとって血の繋がっていない「未来」である明子とは、偶然に出会います。

 典子が東京大空

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