メディアの「受け手」の戦争責任を問う――「近代日本メディア議員列伝」シリーズ創刊記念対談③
至高のインテリにして大衆政治家
與那覇 夏目漱石の下で「批評家・赤木桁平」を名乗っていた大正前半の池崎は、芥川龍之介と親しく、互角に文学論を戦わせていたくらいですから、名実ともに当時の日本で「最高レベルの教養人」だったわけですよね。ところが文壇で名を売った際の炎上ビジネスの手法を、大正の後半から顕在化してきた大衆社会の商業出版に持ち込んだ結果、昭和初期には「日米は必ず戦う。立てよ国民!」みたいな話ばかりを煽るようになってゆく。その逆説を描く佐藤さんの筆致に接して、やはり日独