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詩を書くことが好きで読んでいただけたら光栄です。詩が好きです。群馬に住んでいます。司馬…

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詩を書くことが好きで読んでいただけたら光栄です。詩が好きです。群馬に住んでいます。司馬遼太郎や村上春樹をよく読みます。子供がいないので、子育てをされている方を尊敬し、かつあこがれています。小説や詩、随筆を書かれる方も尊敬しています。

記事一覧

忘却の花束

ことばを花束にしてみたって 真っ先に枯れて行く花もあれば いつまでたっても枯れないで 残る花もある そして同じ花束にいるのに 忘れ去られる花もある

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1日前
2

音もしない

貝殻が置いてある 音もしない だからわたしは最初は無視する でも寂しくて 手に取る、耳に当てる すると潮鳴りがしているのだ 最初は黙っていたはずだったのに 誰かに…

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1日前
1

蝉の身の上話し

蝉の身の上話しを聞いたのです ひとりひとり ジージー啼く蝉の でもわたしが聞いている内に 季節は進み 蝉たちは一斉に 身の上話しを語り初め それどころかいつしか 合唱…

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1日前
3

夏の重み

光をたらふく食べた女が よく通る声で話す 台所から街に出ようと 夏の街では手押し車を 押して歩く老女が仏花を差して 何処かに向かう おれと女は その老女を追い抜かぬ…

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1日前
3

こころとの対話

自分に問いかける時 利己心や嫉妬、憎悪、功名心、 虚栄心その多諸々の ものの洗礼を浴びながら 唯一 自分がひとから してもらったことのみを考え それにどう報いるかを…

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1日前
2

あなたは鋲

あなたは薔薇よ 棘がある しかしわたしを傷つける 棘であってうれしいよ もしあなたが 部屋の片隅にあるカレンダーに付ける 鋲のように 自分自身に棘を突き刺していたの…

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1日前
2

埋葬の夢

わたしは夢の中で 死んだ飼い猫を埋葬している スコップを使い ところが夢の中では地面が 異様にかたい 掘っても掘っても深く掘ることができない これでは墓標すら立てる…

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1日前
1

覚えていない

偶然などというものは みなよく知っているはずなのですが 顔も見たこともない 不思議なやつでしてね… 昨日確かに会ったはずなのに 顔も名前も思い出せない そういうやつ…

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1日前
2

若返り

苦悩は老いても 苦悩のように思えるが 改めて我が老いつつあると 気づく 苦悩も若返り 喜びにもなり得るということを

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1日前

少年たちよ

少年たちよ これからおかすかもしれない 罪など これまでおかしてきた 罪など その夢で 覆い隠してしまいなさい

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1日前
1

ながれる

自分を流す ひとのことばの流れにのってはいけない その流れに身をまかせてはいけない どこまで自分が流されることか 任せてはいけないその言葉に ただし 聞かなければ…

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2日前
3

最終列車

よく眠れる夜は遠くを走る 列車の音が聴こえる コトンコトン いや、まてよ もしかしたら列車ではなく おれの心音かもしれない 最終列車が終わっても 鳴ってるからな コト…

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2日前
3

風の愛撫を

草は風の前では淑やかな女のようだ だがこのわたしが草むらに分けいると その女は草をナイフに変えて わたしの指を切る 切られたわたしのことなど 微塵も気にせずに草は…

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2日前
2

耳飾りの乙女

きみは僕の話が 本当だなんて耳を傾けなくていい 傾けた拍子にイアリングが 落ちてしまう それを屈んで拾うのなら 最初から話しなどなかったことにしてくれ 何か きみを…

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2日前
1

二ヶ月葱を喰ってねぇ どおりで息が臭うわけだ いつの間にか 葱が突き刺さる 土を喰らっていたようだ 悪魔払いの尼僧がおれを呪っている 列車の音がやけにくっきりと 聴…

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2日前
1

雨に打たれて

雨に打たれることは 不幸に違いないだが すべての雨垂れに 打たれることがないように すべての不幸に打たれることはない すべての不幸に打たれ続けることもない お前さ…

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2日前
3
忘却の花束

忘却の花束

ことばを花束にしてみたって

真っ先に枯れて行く花もあれば

いつまでたっても枯れないで
残る花もある

そして同じ花束にいるのに
忘れ去られる花もある

音もしない

音もしない

貝殻が置いてある
音もしない

だからわたしは最初は無視する

でも寂しくて
手に取る、耳に当てる

すると潮鳴りがしているのだ
最初は黙っていたはずだったのに

誰かに見せたくなって
不意に貝殻を落とす

また音がする
今度は悲しい音が…

蝉の身の上話し

蝉の身の上話し

蝉の身の上話しを聞いたのです
ひとりひとり
ジージー啼く蝉の

でもわたしが聞いている内に
季節は進み

蝉たちは一斉に
身の上話しを語り初め
それどころかいつしか
合唱を始めた

感謝の念か、恋の歌か、かみへの賛美か

森が震えるように叫んでいた

でも季節は進み

気づくと
ひとつずつ消えて行く蝉の啼き声

最後にわたしが身の上話しを話す番になると

沈黙だけがそれを聞いていたのだった

夏の重み

夏の重み

光をたらふく食べた女が
よく通る声で話す
台所から街に出ようと

夏の街では手押し車を
押して歩く老女が仏花を差して
何処かに向かう

おれと女は
その老女を追い抜かぬように歩き
ひそひそと笑って話し合う

長い商店街では
自転車と歩行者と犬と
季節がせめぎあい
老女の前をよぎる

老女が向かう墓はきっとあそこだ
そう思った矢先

夏の重みに耐えきれなくなった
街がクラクションを鳴らす

老女の歩

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こころとの対話

こころとの対話

自分に問いかける時

利己心や嫉妬、憎悪、功名心、
虚栄心その多諸々の
ものの洗礼を浴びながら

唯一
自分がひとから
してもらったことのみを考え

それにどう報いるかを
思う

心に溢れ返る
意趣返し、報復心、憎しみ
だが

それでも
ひとから良くしてもらった

今はそれが思い返せない程
苦しんでいるだけだ

だが良くしてもらった
はず

苦しみの中で
忘れてしまうものをただ追いかける

どんな

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あなたは鋲

あなたは鋲

あなたは薔薇よ
棘がある

しかしわたしを傷つける
棘であってうれしいよ

もしあなたが
部屋の片隅にあるカレンダーに付ける
鋲のように
自分自身に棘を突き刺していたのなら
おれはいたたまれないから

今日はあなたが
おれのこころを鋲で射貫いた記念日さ

埋葬の夢

埋葬の夢

わたしは夢の中で
死んだ飼い猫を埋葬している
スコップを使い

ところが夢の中では地面が
異様にかたい

掘っても掘っても深く掘ることができない
これでは墓標すら立てることができない
浅く削った地面にかろうじて猫をいけて
見つめる

夢の中まで
わたしは無力で
土を掘ることすらも
ままならないのだ

覚えていない

覚えていない

偶然などというものは
みなよく知っているはずなのですが

顔も見たこともない
不思議なやつでしてね…

昨日確かに会ったはずなのに
顔も名前も思い出せない
そういうやつなのです

若返り

若返り

苦悩は老いても
苦悩のように思えるが
改めて我が老いつつあると
気づく

苦悩も若返り
喜びにもなり得るということを

少年たちよ

少年たちよ

少年たちよ
これからおかすかもしれない
罪など
これまでおかしてきた
罪など

その夢で
覆い隠してしまいなさい

ながれる

ながれる

自分を流す
ひとのことばの流れにのってはいけない

その流れに身をまかせてはいけない
どこまで自分が流されることか

任せてはいけないその言葉に

ただし
聞かなければならない

その川の流れの音を

最終列車

最終列車

よく眠れる夜は遠くを走る
列車の音が聴こえる
コトンコトン

いや、まてよ
もしかしたら列車ではなく
おれの心音かもしれない

最終列車が終わっても
鳴ってるからな
コトンコトン

おれの詩に乗った客が満足して
居眠りしてることだろう

この永久列車の音の中で
誰一人こころの踏切を閉じることなく

列車は夜を駆け抜けていく
コトンコトン
コトンコトン

風の愛撫を

風の愛撫を

草は風の前では淑やかな女のようだ

だがこのわたしが草むらに分けいると
その女は草をナイフに変えて
わたしの指を切る

切られたわたしのことなど
微塵も気にせずに草はまた淑女に戻り

風の愛撫を受けている

耳飾りの乙女

耳飾りの乙女

きみは僕の話が
本当だなんて耳を傾けなくていい
傾けた拍子にイアリングが
落ちてしまう

それを屈んで拾うのなら
最初から話しなどなかったことにしてくれ

何か
きみをひざまずかせているようで
申し訳ない気がするから

葱

二ヶ月葱を喰ってねぇ
どおりで息が臭うわけだ
いつの間にか
葱が突き刺さる
土を喰らっていたようだ

悪魔払いの尼僧がおれを呪っている

列車の音がやけにくっきりと
聴こえてしかたがねぇ

のびほうだいの雑草に紛れて
おれは田畑に忍び込み
葱を探す

尼僧はまだ呪いの言葉を送っている
汚れ放題の土に足跡残して

尼僧の声は列車に飛び乗ると
どこかへ去って行った
「キセルかよ」

おれは葱を
引き抜

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雨に打たれて

雨に打たれて

雨に打たれることは
不幸に違いないだが

すべての雨垂れに
打たれることがないように

すべての不幸に打たれることはない
すべての不幸に打たれ続けることもない

お前さんが海でもない限り