ことばを花束にしてみたって 真っ先に枯れて行く花もあれば いつまでたっても枯れないで 残る花もある そして同じ花束にいるのに 忘れ去られる花もある
貝殻が置いてある 音もしない だからわたしは最初は無視する でも寂しくて 手に取る、耳に当てる すると潮鳴りがしているのだ 最初は黙っていたはずだったのに 誰かに…
蝉の身の上話しを聞いたのです ひとりひとり ジージー啼く蝉の でもわたしが聞いている内に 季節は進み 蝉たちは一斉に 身の上話しを語り初め それどころかいつしか 合唱…
光をたらふく食べた女が よく通る声で話す 台所から街に出ようと 夏の街では手押し車を 押して歩く老女が仏花を差して 何処かに向かう おれと女は その老女を追い抜かぬ…
自分に問いかける時 利己心や嫉妬、憎悪、功名心、 虚栄心その多諸々の ものの洗礼を浴びながら 唯一 自分がひとから してもらったことのみを考え それにどう報いるかを…
あなたは薔薇よ 棘がある しかしわたしを傷つける 棘であってうれしいよ もしあなたが 部屋の片隅にあるカレンダーに付ける 鋲のように 自分自身に棘を突き刺していたの…
わたしは夢の中で 死んだ飼い猫を埋葬している スコップを使い ところが夢の中では地面が 異様にかたい 掘っても掘っても深く掘ることができない これでは墓標すら立てる…
偶然などというものは みなよく知っているはずなのですが 顔も見たこともない 不思議なやつでしてね… 昨日確かに会ったはずなのに 顔も名前も思い出せない そういうやつ…
苦悩は老いても 苦悩のように思えるが 改めて我が老いつつあると 気づく 苦悩も若返り 喜びにもなり得るということを
少年たちよ これからおかすかもしれない 罪など これまでおかしてきた 罪など その夢で 覆い隠してしまいなさい
自分を流す ひとのことばの流れにのってはいけない その流れに身をまかせてはいけない どこまで自分が流されることか 任せてはいけないその言葉に ただし 聞かなければ…
よく眠れる夜は遠くを走る 列車の音が聴こえる コトンコトン いや、まてよ もしかしたら列車ではなく おれの心音かもしれない 最終列車が終わっても 鳴ってるからな コト…
草は風の前では淑やかな女のようだ だがこのわたしが草むらに分けいると その女は草をナイフに変えて わたしの指を切る 切られたわたしのことなど 微塵も気にせずに草は…
きみは僕の話が 本当だなんて耳を傾けなくていい 傾けた拍子にイアリングが 落ちてしまう それを屈んで拾うのなら 最初から話しなどなかったことにしてくれ 何か きみを…
二ヶ月葱を喰ってねぇ どおりで息が臭うわけだ いつの間にか 葱が突き刺さる 土を喰らっていたようだ 悪魔払いの尼僧がおれを呪っている 列車の音がやけにくっきりと 聴…
雨に打たれることは 不幸に違いないだが すべての雨垂れに 打たれることがないように すべての不幸に打たれることはない すべての不幸に打たれ続けることもない お前さ…
smook
2024年7月21日 08:35
ことばを花束にしてみたって真っ先に枯れて行く花もあればいつまでたっても枯れないで残る花もあるそして同じ花束にいるのに忘れ去られる花もある
2024年7月21日 08:33
貝殻が置いてある音もしないだからわたしは最初は無視するでも寂しくて手に取る、耳に当てるすると潮鳴りがしているのだ最初は黙っていたはずだったのに誰かに見せたくなって不意に貝殻を落とすまた音がする今度は悲しい音が…
2024年7月21日 08:30
蝉の身の上話しを聞いたのですひとりひとりジージー啼く蝉のでもわたしが聞いている内に季節は進み蝉たちは一斉に身の上話しを語り初めそれどころかいつしか合唱を始めた感謝の念か、恋の歌か、かみへの賛美か森が震えるように叫んでいたでも季節は進み気づくとひとつずつ消えて行く蝉の啼き声最後にわたしが身の上話しを話す番になると沈黙だけがそれを聞いていたのだった
2024年7月21日 08:27
光をたらふく食べた女がよく通る声で話す台所から街に出ようと夏の街では手押し車を押して歩く老女が仏花を差して何処かに向かうおれと女はその老女を追い抜かぬように歩きひそひそと笑って話し合う長い商店街では自転車と歩行者と犬と季節がせめぎあい老女の前をよぎる老女が向かう墓はきっとあそこだそう思った矢先夏の重みに耐えきれなくなった街がクラクションを鳴らす老女の歩
2024年7月21日 08:24
自分に問いかける時利己心や嫉妬、憎悪、功名心、虚栄心その多諸々のものの洗礼を浴びながら唯一自分がひとからしてもらったことのみを考えそれにどう報いるかを思う心に溢れ返る意趣返し、報復心、憎しみだがそれでもひとから良くしてもらった今はそれが思い返せない程苦しんでいるだけだだが良くしてもらったはず苦しみの中で忘れてしまうものをただ追いかけるどんな
2024年7月21日 08:20
あなたは薔薇よ棘があるしかしわたしを傷つける棘であってうれしいよもしあなたが部屋の片隅にあるカレンダーに付ける鋲のように自分自身に棘を突き刺していたのならおれはいたたまれないから…今日はあなたがおれのこころを鋲で射貫いた記念日さ
2024年7月21日 08:17
わたしは夢の中で死んだ飼い猫を埋葬しているスコップを使いところが夢の中では地面が異様にかたい掘っても掘っても深く掘ることができないこれでは墓標すら立てることができない浅く削った地面にかろうじて猫をいけて見つめる夢の中までわたしは無力で土を掘ることすらもままならないのだ
2024年7月21日 08:14
偶然などというものはみなよく知っているはずなのですが顔も見たこともない不思議なやつでしてね…昨日確かに会ったはずなのに顔も名前も思い出せないそういうやつなのです
2024年7月21日 08:11
苦悩は老いても苦悩のように思えるが改めて我が老いつつあると気づく苦悩も若返り喜びにもなり得るということを
2024年7月21日 08:08
少年たちよこれからおかすかもしれない罪などこれまでおかしてきた罪などその夢で覆い隠してしまいなさい
2024年7月20日 15:44
自分を流すひとのことばの流れにのってはいけないその流れに身をまかせてはいけないどこまで自分が流されることか任せてはいけないその言葉にただし聞かなければならないその川の流れの音を
2024年7月20日 15:41
よく眠れる夜は遠くを走る列車の音が聴こえるコトンコトンいや、まてよもしかしたら列車ではなくおれの心音かもしれない最終列車が終わっても鳴ってるからなコトンコトンおれの詩に乗った客が満足して居眠りしてることだろうこの永久列車の音の中で誰一人こころの踏切を閉じることなく列車は夜を駆け抜けていくコトンコトンコトンコトン
2024年7月20日 15:37
草は風の前では淑やかな女のようだだがこのわたしが草むらに分けいるとその女は草をナイフに変えてわたしの指を切る切られたわたしのことなど微塵も気にせずに草はまた淑女に戻り風の愛撫を受けている
2024年7月20日 15:34
きみは僕の話が本当だなんて耳を傾けなくていい傾けた拍子にイアリングが落ちてしまうそれを屈んで拾うのなら最初から話しなどなかったことにしてくれ何かきみをひざまずかせているようで申し訳ない気がするから
2024年7月20日 15:31
二ヶ月葱を喰ってねぇどおりで息が臭うわけだいつの間にか葱が突き刺さる土を喰らっていたようだ悪魔払いの尼僧がおれを呪っている列車の音がやけにくっきりと聴こえてしかたがねぇのびほうだいの雑草に紛れておれは田畑に忍び込み葱を探す尼僧はまだ呪いの言葉を送っている汚れ放題の土に足跡残して尼僧の声は列車に飛び乗るとどこかへ去って行った「キセルかよ」おれは葱を引き抜
2024年7月20日 15:28
雨に打たれることは不幸に違いないだがすべての雨垂れに打たれることがないようにすべての不幸に打たれることはないすべての不幸に打たれ続けることもないお前さんが海でもない限り