もう戻れない口づけ

見つめてしまう、哀しいほうを。
目を閉じて、口づけしよう。
煙草の煙が芳り甘く溶けていく。

惹かれてしまう、永遠の迷路のよう。
終わりもなく、出口もなく
包まれていたいの。

探してしまう、悲しいほうを。
目を瞑って、口づけしよう。
痺れてどちらからも帰ろうとはせずに。

息さえ止めて、潜っていく
二人だけの世界
全てを忘れさせて欲しいの。

邪魔しないで、探さないで
二人だけの呼吸
迷い込んで意識の向こう側を。

止まらないで、揺れていたいの
二人だけの忘却
何も言わず、空から落ちていく。