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【architecture】住吉の長屋①|安藤忠雄

【architecture】住吉の長屋①|安藤忠雄

建築家安藤忠雄氏の名目的なデビュー作が『住吉の長屋』である

1976年に完成したこの『住吉の長屋』を武器にこれまで世界中で闘ってきたと言っても過言ではない

安藤忠雄氏の建築の精神は、先日取り上げた『表参道ヒルズ』もすべて、遡れば『住吉の長屋』に繋がっている

『住吉の長屋』はその名の通り、大阪の住吉大社のすぐ近くに位置する
私は今から18年前の学生時代に『住吉』という地名だけを頼りに探し回り実

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【architecture】GALLERIA[akka]|安藤忠雄

【architecture】GALLERIA[akka]|安藤忠雄

大阪ミナミの繁華街にひっそりと主張するでもなく静かにこの建築は建っている

時はバブル真っ只中の1988年に完成した商業建築だ
建築家安藤忠雄氏は今でこそ大規模な美術館や公共建築を手がけているが、この頃は小さな商業建築にコミュニティの可能性を見出そうと多くの商業建築を設計している

その中でもとりわけ秀逸なのがGALLERIA[akka]である

(外観写真はこちらのHPより引用)

間口8m奥行

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【architecture】光の教会④|安藤忠雄

【architecture】光の教会④|安藤忠雄

教会完成から10年後、教会の隣の敷地で新たな建築の話が持ち上がった
もちろん選ばれた建築家は安藤忠雄である

『日曜学校』と名付けられたこのホールは教会の増築という形でつくられた

教会がストイックな祈りの場であるのに対して、日曜学校は信者さんやそのお子さんが一緒に学んだりコミュニケーションを取る場である

コンクリートの打ち放しではあるが木が多用され明るく優しい空間である

ここで教会という場に

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【architecture】光の教会③|安藤忠雄

【architecture】光の教会③|安藤忠雄

前回までの記事はこちら↓

教会は完成した
少しこの建築に秘められた設計意図を私なりにまとめてみようと思う

(資料は下記のHPより引用)

まずこの建築の肝は正面の十字の切り込みである
(図面の①のところ)
それであれば箱に切り込みさえあれば表現はできる
ではL字型の壁がなぜ貫通しているのか…

ひとつは光の調節である
恐らく法律上の採光を確保することと最低限の明かりをいわゆる窓を設けることなく

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【architecture】光の教会②|安藤忠雄

【architecture】光の教会②|安藤忠雄

前回の続きである(前編はこちら↓)

基本設計がまとまり、具体的な詳細設計に入ると単純な箱のはずの設計は困難を極めた

正面にある十字の切り込み
この建築の肝である

一見単純だが切り込みにより構造的には切り込みから上の壁は浮いたことになる
その浮いた壁を支えるためにこの壁の中に大量の鉄筋が埋め込まれているのだ

コンクリートは型枠の中に鉄筋があり、そこにコンクリートの塊を流し込むことでできる

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【architecture】光の教会①|安藤忠雄

【architecture】光の教会①|安藤忠雄

ところで、建築家の選択として、あなたがベストだと思うけれど、条件として、われわれにはお金がなない。したがって、これもあなたに頼むのが適当だという理由である

時は1987年。
はじめて建築家安藤忠雄の元に教会建設の依頼に訪れた施主は、建築家にこのように話した

かつて、織田裕二と財前直見が出演したドラマ『お金がない』はトレンディドラマ全盛期にヒットした

建築家の選定に『お金がない』からという理由

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