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日々のエッセイ

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2019年から湖畔暮らし。自然、ヤギ、トリ、仕事、考え事の日々。
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2022年1月の記事一覧

古い家には物語がある

古い家には物語がある

昨年末にnoteからお知らせが届いた。「あなたの2021年の記録まとめ」というもので、恐らくnoteユーザー全ての人に送られたのではないかと思う。

まとめの中で「今年よく読まれた記事」が5本取りあげられていた。それによると、自分が書いた記事で一番読まれたのは以下だった。

この記事は、我が家(築50年平屋)の一部改装を手伝ってもらった大工さんの話を紹介したものである。

この大工さんは、古民家や

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いちご狩りの夜に

いちご狩りの夜に

一日を楽しく過ごせたか、楽しく過ごせなかったかは、鏡の中の自分を見ればすぐに分かる。一日の中で自分の顔をよく見るのは、起床時とお風呂前。

特にお風呂前の自分の顔はとっても正直だ。

その時の顔がいきいきしていると、単純に嬉しい。反対に、眉間にシワが寄っていたり、表情筋を使えずにむくんだ顔を見ると悲しい。自分のことなのに、他人事のように「今日は楽しかったんだね」とか「今日は悪かったんだね」とか、そ

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待つのを辞める

待つのを辞める

「いってらっしゃい」

この言葉の意味を一番よく理解している人は、母だと思う。

母は父と結婚してすぐ、それまで勤めていた会社を辞めた。子供ができたこともあったけれど、私の親世代は結婚出産を経て退職する女性がほとんどだったそう。今では男性が育児休暇を取得したり、専業主夫という言葉ができたり、「生き方」が多様化している。一世代前とはかなりの差があるみたいだ。

父は海外出張が多い仕事をしていて、年に

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白銀の眩しさ

白銀の眩しさ

「食わず嫌い」という言葉に象徴されるように、やっていないこと、見ていないこと、に対して負のイメージを持つことは誰でもあることだと思う。なぜ先行して負のイメージが付いてしまうのか、それは生きている中でたまたま育まれた防衛本能なのかもしれない。

苦手な環境に放り込まれたり、嫌な人に絡まれたり、そういうものを経験しながらみんなが生きている。だからこそ自分を守るために、似たような臭いを嗅いだとき「食わず

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削られることのない鉛筆

削られることのない鉛筆

とても大切にしている一本の鉛筆がある。まだ先端すら削られておらず、本来の使われ方を一度もされたことのない新品同様の鉛筆だ。そこにはこう彫られている。

「人に頼るな 自分でなせば叶う」

湯島天神の刻印も入っているから、恐らく神社で入手できるものなのだろう。私は今でも頑張らないといけない瞬間にこの鉛筆をぎゅっと握りしめる。

***

この鉛筆をくれたのは、勉強の「べ」の字も知らなかった自分に勉強

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