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第2回「1940年代の詩」お話しのメモ
はじめに(お話し用に作った原稿メモです。粗いところや、引用個所の不十分なところもあるかもしれませんが、あくまでメモとしてご覧ください)
1941年に始まり1945年に終った太平洋戦争、そして戦後、1951年にサンフランシスコ講和条約によって日本が(一応の)主権を取り戻すまでの10年間ということになるのですが、主には太平洋戦争下の営みを取り上げることになります。
そこでキーパーソンとなるのが「
鮎川信夫「橋上の人」初出形
7月の読書会前半では、鮎川信夫の「繋船ホテルの朝の歌」を主に読みますが、参考として有名な「橋上の人」の初出形をあげておきます。
橋上の人
高い欄干に肘をつき
澄みたる空に影をもつ 橋上の人よ
啼泣する樹木や
石で作られた涯しない屋根の町の
はるか足下を潜りぬける黒い水の流れ
あなたはまことに感じてゐるのか
澱んだ鈍い時間をかきわけ
櫂で虚を打ちながら 必死に進む舳の方位を
花火をみてゐる橋上
マチネ・ポエティク詩集について
次回の読書会の前半では、1940年代の詩ということで、戦中から戦後にかけて、日本の戦後詩の揺籃期について、講義形式でお話をさせていただきますが、その一つがマチネ・ポエティクです。
福永武彦、中村真一郎、加藤周一がメンバーだったというと、驚かれるかもしれません。1942年に朗読会の形で始まったごくささやかな運動体で、日本語による詩の美的な形式について、日本の古典、フランス文学の知見から考究し、定