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詩にまつわる

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現代詩を読む会(7)マイ・フェイバリット……!②

現代詩を読む会(7)マイ・フェイバリット……!②

「わたしの好きな詩」について、自由に語り合いましょう

詩を読む会を続けています。
語呂がいいので「現代詩」と銘打っていますが、「現代詩」の定義もあいまいですし、広めにとっていきましょう。
今回は好きな詩を持ち寄り、自由に語り合おうという会の2回目です。前回は、津村信夫、石原吉郎、清水哲男、黒田喜夫、マーサ・ナカムラ、季村敏夫、寺山修司、草野理恵子…と、多彩な詩人について語り合うことができました。

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現代詩を読む会(6)終了

現代詩を読む会(6)終了

 2024年3月27日に、「現代詩を読む会」(6)を開催しました。
 第一部は「シュルレアリスムの詩」と題して、上念が資料に即して説明。巌谷國士氏の事典や『シュルレアリスムとは何か』の記述、またブルトンの「宣言」、瀧口修造の「シュルレアリスムの詩論に就て」などを参照しながら、用語、現実への見方、ダダイスムとの関係についてなどの大まかなところを説明した後、西脇順三郎「天気」「世界開闢説」、瀧口修造「

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現代詩を読む会(6)開催

現代詩を読む会(6)開催

6回目も、2本立てです。
① シュルレアリスムの詩、② 和合亮一『such and such』。

①では、戦後につながる1930年代のシュルレアリスムの詩人の紹介。
②は、東日本大震災後twitter(現X)で「詩の礫」を投げ続けた詩人の、「オートマティズムの限界を超え、幾層もの次元をしなやかに飛翔する、言語の新世界」と称される、最新作。

難解と言われがちな現代詩ですが、同じ時代を生きる詩人の

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現代詩を読む会(5)開催

現代詩を読む会(5)開催

現代詩を読む会(5)
①1950年代の詩「荒地」「列島」と谷川俊太郎
②杉本真維子『皆神山』を読む
 詩を読む会を続けています。
 5回目も、2本立てです。① 1950年代の詩、② 杉本真維子『皆神山』。
 ①では、戦後的抒情のはじまりあたりを考えられればと思います。前回鮎川信夫を読みましたので、田村隆一、黒田三郎、そして関根弘を読み、谷川俊太郎と対比したいと思っています。
 ②は、今年の萩原朔太

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詩の朗読とピアノの会 シーレ布施『ネオの詩』を読む 自作朗読会

詩の朗読とピアノの会 シーレ布施『ネオの詩』を読む 自作朗読会

現代詩を読む会エクストラ・エディション
詩の朗読とピアノの会

【第一部】シーレ布施詩集『ネオの詩 - やさしいこえ -』を読む
朗 読:齋藤佳津子
ピアノ:日高由貴  ※シーレ布施を交えた座談会開催

【第二部】来場者による自作朗読会

2023年10月8日(日)17:30開演
西宮市民会館503室(阪神西宮駅市役所口 北すぐ)

参加費:1,500円
申し込み・お問合せ:poetry.hans

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現代詩を読む会(3)マイ・フェイバリット...

現代詩を読む会(3)マイ・フェイバリット...

前2回と異なり、好きな詩を持ち寄り、自由に語り合おうと思います。
対象も広く、「原則として昭和以降の詩」ぐらいにしておきましょうか。立原道造、中原中也……OKです!
もうすぐ昭和100年。近現代詩の魅力をたっぷり語り合いましょう。

2023年8月26日(土)14:00~17:00
(入退場自由)

西宮市大学交流センター 講義室3
(阪急西宮北口駅直結アクタ西宮東館6階)

参加費:700円(定

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第2回「1940年代の詩」お話しのメモ

第2回「1940年代の詩」お話しのメモ

はじめに(お話し用に作った原稿メモです。粗いところや、引用個所の不十分なところもあるかもしれませんが、あくまでメモとしてご覧ください)

 1941年に始まり1945年に終った太平洋戦争、そして戦後、1951年にサンフランシスコ講和条約によって日本が(一応の)主権を取り戻すまでの10年間ということになるのですが、主には太平洋戦争下の営みを取り上げることになります。
 そこでキーパーソンとなるのが「

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鮎川信夫「橋上の人」初出形

鮎川信夫「橋上の人」初出形

7月の読書会前半では、鮎川信夫の「繋船ホテルの朝の歌」を主に読みますが、参考として有名な「橋上の人」の初出形をあげておきます。

橋上の人

高い欄干に肘をつき
澄みたる空に影をもつ 橋上の人よ
啼泣する樹木や
石で作られた涯しない屋根の町の
はるか足下を潜りぬける黒い水の流れ
あなたはまことに感じてゐるのか
澱んだ鈍い時間をかきわけ
櫂で虚を打ちながら 必死に進む舳の方位を

花火をみてゐる橋上

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マチネ・ポエティク詩集について

マチネ・ポエティク詩集について

 次回の読書会の前半では、1940年代の詩ということで、戦中から戦後にかけて、日本の戦後詩の揺籃期について、講義形式でお話をさせていただきますが、その一つがマチネ・ポエティクです。
 福永武彦、中村真一郎、加藤周一がメンバーだったというと、驚かれるかもしれません。1942年に朗読会の形で始まったごくささやかな運動体で、日本語による詩の美的な形式について、日本の古典、フランス文学の知見から考究し、定

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現代詩を読む会(2)を開催

現代詩を読む会(2)を開催

現代詩を読む会第2回を開催します。
レクチャー中心の第一部と、読書会の第二部の二本立てです。
片方だけでも結構です。
少しでも興味をお持ちの方は、ぜひお越しください。

①1940年代の詩戦争賛美、マチネ・ポエティク、鮎川信夫
②最果タヒの言葉を味わう

2023年7月16日(日)
①13:30~14:30(担当:上念)
②15:00~17:00(担当:上念、シーレ布施)
西宮市大学交流センター

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内なる飢えた子供のためにだけ

内なる飢えた子供のためにだけ

黒田喜夫の第一詩集『不安と遊撃』1959年、飯塚書店。第10回H氏賞。
集中に収められている「毒虫飼育」を読んだ時の衝撃は忘れられない。言葉で、これほどまでに気持ちの悪い強烈な世界を創ることができるのかと。そして言葉の持つあくまで断定的な、スピード。1959年の段階で
 おかあさん革命は遠く去りました
 革命は遠い砂漠の国だけです
 (中略)
 革命ってなんだえ
 またおまえの夢が戻ってきたのかえ

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文法を粉砕する美しさ

文法を粉砕する美しさ

『瀧口修造の詩的実験 1927〜1937』1967年、思潮社 1971年に小型版が出た後しばらく版を重ね、2003年に復刻されたようだが、品切れ。
これは、恩師ジョセフ・ラヴさんから、「預かっている」もの。ラヴさんは1992年に亡くなったので、返しようもないのだけれど、そういう意味では、他にもたくさんのもの、ことを預かっていて、お返しできていない。もちろんラヴさんにも、世の中にも。
カトリックの神

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速度記号が必要な詩

速度記号が必要な詩

吉増剛造詩集『草書で書かれた、川』1977年、思潮社
高3の時に、おそらく京都書院で買った。京都書院では、「遊」や稲垣足穂、現代詩文庫、いろんなものを知り、買った。
吉増の詩には、速度記号が必要だ。
「多摩川 高麗川の 川のむこうに 不思議な 病院がたっていて 川を渡ると 消える」
と始まる冒頭の「老詩人」と、
「ぼくの歌集の第一頁には不思議な銅版画がある」
と始まる「空中散歩」では、自ずとスピー

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言葉のアナキズム

言葉のアナキズム

中江俊夫の詩集『語彙集』。1972年思潮社、350ページ、23cmのほぼ正方形。当時の定価4800円。これを1980年12月、大学3年の時に高円寺の大石書店で3000円で買ったと裏見返しに書いてあります。
当時現代詩というものに没入していたぼくは、言葉から意味というものを剥落させなくては、言葉の本当の美しさは獲得できないと思って、どのようにすればよいのかを日夜(←うそ)考えていました。
たとえばこ

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