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「喫茶店で松本隆さんから聞いたこと」 山下賢二

「マイナスにはマイナスをかける。そういう詞を書く。」


「喫茶店で松本隆さんから聞いたこと」 山下賢二



松本隆さんの詩は、言葉から物語を感じます。


なので


何度松本隆さん作詞の曲を聴いても飽きないんです。


♪ 木綿のハンカチーフ はもう何十年も聴いているけど、太田裕美さんだけではなく、カバーされている人の歌を聴いても本当にいいなぁ~と感じます。どんな人が歌っても言葉が物語を奏でているのです。


この本はタイトルのとおり、山下賢二さんが喫茶店で松本隆さんと話をしたことが本になっています。松本隆さんの独白形式となってうまくまとめられています。


松本隆さんの言葉=思考の本質が、わずか100ページの中にギュッと凝縮、圧縮されています。


僕は、本屋で自分が好きな装丁があると手にしてみます。


結構な頻度で手にした本は、この本の出版社・夏葉社さんが多いんですよね。


それで、この感じ好きだな~と思って手に取り、本のタイトルを見ると松本隆さんの本だったのです。それくらい誰が書いているのか、誰のことを書いているのか、装丁だけではわかりませんでした。


それから頁をめくり、言葉をめくっていくと、この本を買おう!とレジの方へと向かいました。


才能について
不安について
お金について
倫理について
孤独について
恋について


あと「詞のつくり方」っていうのもありました。


興味深いことがいっぱい書かれていましたが、その中で頁をめくる手がとまったのがここです。


発想について


負のエネルギーがあります。


これは、「負であって絶対にプラスでは置き換えられない」と松本さんは語っています。


つまり


〝マイナスにはマイナスをかけるしかない〟ということ。


どういうことかといいますと、ここにも作詞家・松本隆の言葉の真髄というものが隠されていました。


たとえば、誰かが問題を起こして、その人を助けたいとき、いくらこの人はいい人ですって言ってもみんなにはわからない。

その子にいくらプラスをかけてもマイナスにしかならない。


さらに


マイナスにはマイナスをかける。
そういう詞を書く。

そうすると、その歌手が立ち直る
きっかけをつくれることがあるし、
その人の代表曲になることもある。


きっと、これは実際に松本さんが経験したことなんだろうと思いましたし、負の状況から抜け出す〝鍵〟になるんだと思いました。


そして


それらの経験則というものは、実際に経験すること以外でも補う事ができるのです。


こういうのは経験だよね。

本にしても、漫画にしても、
モデルケースは無数にあるわけで、
何かで学んだことなんだと思う。


この本においても自分で経験せずに、松本隆さんの経験から生まれた真理を体感することができました。


読了後に糧となったことは、いつか、どこかで、必ず活かされるときがくるのでしょう。



【出典】

「喫茶店で松本隆さんから聞いたこと」 山下賢二 夏葉社


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