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「哲学人生問答」 岸見一郎

「誰かに感謝したり、「あの人はすごい」と思えたりするような人との出会いがあることは、その人にとって非常に幸福なことだと思います。」



「哲学人生問答」 岸見一郎


「嫌われる勇気」の著者、哲学者の岸見一郎さんによる高校生からの質問に答えた「哲学人生問答」


岸見一郎さんの母校、京都にある「洛南高校」での特別授業で、高校生が岸見さんにさまざまな質問をしました。


その多くの質問が、人間関係の悩みなんですね。岸見さんも「すべての悩みは対人関係から生まれる」と語っています。


逆に言うと、「生きる喜び」や「幸せ」も対人関係から生まれることが多いということなんです。


高校生による41の質問に対する岸見一郎さんの答えがまとめられた本書。本の帯にはこう書かれています。


「給料とやりがい、どちらで仕事を選べば幸福になれますか」

「自分が比べなくても、人から比べれてしまいます」

「不満を糧に生きています。間違っていますか」

「危機感や焦燥感がないとモチベーションが保てません」

「自殺したい人、闘病中の人に対して何ができるのでしょうか」

「自分の人生をいきることと、他者貢献の割合がわかりません」

高校生と哲学者の本気の人生問答が、老若男女の胸を打つ。


これらの問いを読んで、「自分なら高校生の質問にどう答えられるのか」と考えましたが、これらの問いを未だに自分自身が「問い」として持っているんですよね。


ずっと


「幸福はあるのか?」
「自分は何ができるのか?」
そんなことばかり考えていたので、答えは未だに見つかってません。


なので


その「問い」に対する「哲学的な答え」を求めて、この本を読みました。


そして


読んでいて、立ち止まった質問が


給料とやりがい、どちらで仕事を選べば幸福になれるでしょうか。


お金を得るにしても、何か有用なことのために使っていると思えたら、お金を儲けることが自分の幸福につながります。

ただお金を儲ければいいと考えているのなら、自分のことしか考えていないといわなければなりません。


「儲ける」とは信じる者と書きます。


人のためであったり、人が希望を持てたり、楽しめたり、喜んでもらえたりたり。


人との信頼が築けてはじめて、本当の利益があるのでしょう。また、そのように考え、行動し、結果が伴うと、自分自身の幸福感につながるのでしょうね。


自分の人生を生きることと、他者貢献の割合がわかりません。


僕は他者のために何かをすることは、自分を犠牲にすることで成り立つとずっと考えてきました。


しかし、そうではないのですね。岸見さんはこう語っています。


自分が幸福になることが他者に貢献することになります。他者に貢献することは自分を犠牲にすることではありません。

他者に合わせて、他者のために自分を犠牲にするという生き方をやめましょう。

自分が幸福にならないといけないのです。自分が幸福になれば、その幸福は必ず他者に伝染します。


幸福感を得るためには?


誰かに感謝したり、「あの人はすごい」と思えたりするような人との出会いがあることは、その人にとって非常に幸福なことだと思います。

(中略)

しかし、現実の体験でなくてもいいと思います。本を読むことでもいいのです。教科書と参考書しか読まないということでは駄目ですけれども。

自分自身がこの人生で経験することは限られていますから、本を読むことで、こんな人生があるのだと知ることで、生き方が変わるということはあります。


職場で「あの人はすごい!」とか「感謝できる人」がいなければ、本の中に探してみると結構いるものです。


僕はどちらかといえば、本の中のそんな人たちに助けられたことが多いので、本を読むことで幸福感を得ています。


そして


岸見さんが語っている「幸福になることで他者に貢献することができる」とは、「むしろ幸福を感じていなければ、他者に対して良い貢献ができない」と思いを変えてもらえたし、気持ちが楽になれました。


哲学の中心的なテーマは


「この人生をどう生きるのか」
「幸福とは何か」


ということなのだそうです。


そのために自分はどうするのか?


今は、これが答えなのだと思い当たりました。


「今ここ」です。そう考えて、毎日を丁寧に生きていきましょう。

今日という日を、今日という日のために生きていく。これを繰り返していけば、気がつけばずいぶん遠くまできたことになるでしょう。



【出典】

「哲学人生問答」 岸見一郎 講談社


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