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歩行

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#歩行

歩行ケイデンスを変化させた後進歩行練習

歩行ケイデンスを変化させた後進歩行練習

結論

後進歩行練習は運動機能向上に有効。

後進歩行練習は、ハムストリングスや腓腹筋の筋活動が高くなると報告されている。

後進歩行を行うためには、後方へのバランス能力や力の調節能力が必要である。

力の発揮のタイミングと強度は選択的に調整されており、これを力の調整能力という。

力の調整能力とは意図的な加速、減速などの変化にも対応できる適応的な随意運動のこと。

意図的な加速と減速の適応的な歩

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生活期における装具の必要性

生活期における装具の必要性

装具無し歩行では装具歩行に比べ病巢側運動前野, 両側補足運動野, 非病巢側運動前野,内側一次運動野,病巣側外側一次運動野と推定される箇所にて有意な増加がみられた.

短下肢装具の使用では,前頭葉の運動関連領野の活動が限局されていることが確認された。

このことは,装具歩行ではパターン化された前頭葉の運動関連領野の活動に限局されているが,装具
なし歩行では,内反出現や立脚期における不安定が多くの領域

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装具を決めるための簡単な検査

装具を決めるための簡単な検査

背臥位

①SLRが可能な場合、短下肢装具の適応

②膝軽度屈曲位でわすかに踵が持ち上がる場合、さらに努力すると下肢屈筋共同運動パターンが出現する場合は短下肢装具の適応

③SLRが保持出来ず、膝屈曲できても踵が持ち上がらない場合は長下肢装具の適応

④全く下肢が持ち上がらない場合、座位保持が可能なら長下肢装具の適応

立位

①膝折れがある場合、長下肢装具の適応

②膝軽度屈曲位で保持可能なら短

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脳卒中片麻痺患者の歩行再建における重要なルール

脳卒中片麻痺患者の歩行再建における重要なルール

脳卒中片麻痺患者の歩行再建における重要なルール

歩行練習のゴールは

「速く歩けるようにすること」
     ↓
たくさん歩く・大股で歩く
     ↓
立脚後期を鍛えること

①脳卒中片麻痺患者の歩行能力の特徴、問題点は何か?

歩行の実用性は歩行速度により規定される。

・歩行速度0.8m/秒以上の地域生活者は制限なく屋外歩行可能

・屋外歩行のカットオフ値 快適速度0.61m/秒 最大速度

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歩行中に足部が内反してしまう場合

歩行中に足部が内反してしまう場合

足部内反と歩行

平行棒内歩行にて、麻痺側立脚期に臀部が麻痺側後方へと変位し、安定性が低下する症例をよく見かける。

●歩行評価・分析

麻痺側LR~MStで股関節内転乏しい。距骨下関節の回外に伴い足部全体が空間的に回外し、その直後から、横足根関節の回内に伴い前足部と中足部の回内が生じるのが乏しい。

→右下腿が過剰に外側傾斜し、身体全体が右側へ傾斜してしまう。

足背屈に伴う下腿前傾が生じ、同時

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倒立振子運動を形成するためには

倒立振子運動を形成するためには

IC以降に生じる下肢への衝撃をLRで吸収しつつ、前方への推進力を得る必要がある。

ICからLRにかけて、床反力ベクトルは足関節の後方を通過し、足関節底屈方向の外的モーメントが発生するが、前脛骨筋の活動により底屈にブレーキをかけ足底接地の衝撃を緩衝し、同時に踵と床との接触点を軸にして下腿が前方へ傾斜していくheel rockerを形成する。

IC時に膝関節の前方に位置していた床反力ベクトルは、h

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生活するために必要な歩行速度とは?

生活するために必要な歩行速度とは?

田代らは脳卒中片麻痺患者の屋外を実用的に歩行するために必要な快適歩行速度は約36m/minと報告している。

Perryらは脳卒中患者の地域で制約なく活動するために必要な歩行速度は48m/minであると報告している。

被殻出血の予後を予測しよう

被殻出血の予後を予測しよう

歩行自立/非自立の判別は内包後脚中部の損傷度と出血量を用いる

内包後脚中部には上下肢の運動性下行性線維である皮質脊髄路が走行しているからである。

出血量について

出血量は

{血腫が最大に描出されているスライスでの血腫の長径(cm)×長径に直交する血腫の径(cm)×血腫が確認できるスライス数×スライス厚(cm)/2}で求められる

平行棒外歩行が可能であった割合は出血量20㎖未満であれば70

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Gait Solutionを使う意味とは?

Gait Solutionを使う意味とは?

歩行の力学的パラダイムについて

①踵接地時に進行方向への運動エネルギーが最大になる

②立脚相前半までの間に、運動エネルギーは徐々に失われ、身体重心が上昇することにより位置エネルギーに変換される。

③立脚期の中間地点で位置エネルギーは頂点に達し、後半に入ると身体重心の低下に伴って、位置エネルギーが徐々に失われ、運動エネルギーに変換される。

Gait Solutionは油圧機構による底屈制動機

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底屈バンパー付短下肢装具を知ろう

底屈バンパー付短下肢装具を知ろう

ヒトは股関節・膝関節の屈曲ー伸展運動や骨盤の回旋などの動きを行うことによって、歩行時の安定と運動効率を高めている。

正常歩行は立脚中期での股関節伸展で体幹・骨盤を前方に移動させている。その際膝の前方に移動した床反力ベクトルが膝伸展を補助している。

しかし脳卒中後の歩行は立脚期に足関節底屈と膝屈曲が生じず、衝撃吸収が不十分となる。

装具を背屈位で固定すると、膝・骨盤は前方に移動しやすく膝が折れ

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歩行時に骨盤を安定させる!

歩行時に骨盤を安定させる!

歩行では立脚下肢の踵接地に先行して大殿筋上部線維、中殿筋の筋活動が生じ、MSt以降は中殿筋前部線維とTFLの筋活動が生じる

という連続的補充活動により骨盤の側方安定化が達成される。

参考文献 歩行開始時における立脚側骨盤側方安定化メカニズム

について 吉住浩平 他 理学療法基礎系 24

臨床での歩行トレーニング

臨床での歩行トレーニング

健常者の直線歩行は、床反力は膝関節中心を通過する。

歩行中は膝関節周囲に強い筋力を発揮させなくてもよい。

股関節の伸展筋力を使い、膝関節の中心に床反力を通過させる歩行が獲得できれば、倒立振子運動は成立する。

ということは、重度片麻痺で膝の制御が難しい症例では、装具によって膝関節を固定し、股関節屈曲および伸展運動を十分に引き出し、股関節周囲筋、下腿三頭筋を賦活してその後、膝関節の制御の獲得へと

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歩行の評価

歩行の評価

歩行の基本的評価(ローテク)

片麻痺患者における歩行速度と生活空間

0.8m/s以上:地域での移動可能

0.4〜0.8m/s:地域での移動に制限あり

0.4m/s未満:屋内移動

歩行耐久性

6分間歩行テストが有用。困難な場合は2分間歩行テストが信頼性が高い。

膝伸展パターンの歩行について・中期膝伸展パターン(MSt以降に膝が過伸展する)

LRで前脛骨筋の活動が大きくなるが、拮抗筋の

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歩行の基礎

歩行の基礎

正常歩行の姿勢制御運動パターンの生成を脳幹・脊髄の低位の層が担い、運動の計画や開始・終了、調節や学習を高位の階層が担うという中枢神経系の階層性制御が存在。

正常歩行と片麻痺歩行のバイオメカニクスロッカー機能の観点で歩行を評価するには足関節を中心に下腿と大腿が前方回転することと体幹の直立が着目すべき点。

片麻痺患者は、

麻痺側立脚後半に足関節底屈モーメントの低下によりpush offが減少し、

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